【SteelSeries Tusq レビュー】FPSに特化したゲーミングイヤホンで足音や定位感を調査しました!
こんにちは、ハッサンです^_^
ApexLegendsではもっぱらGameDACを使用している今日この頃です。
今回はGameDACの販売元であるSteelseriesから新しくゲーミングイヤホンが発売されたので、一定期間使用した感想など書いていきます。
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目次
Steelseries Tusq について
SteelSeriesはデンマークのゲーミングブランドになります。ゲーミングヘッドセット、ゲーミングマウス、ゲーミングアンプなど数多くのゲーミング製品を開発・販売しています。
Tusqは2021年3月19日に発売されたゲーミングイヤホンになります。足音を聞き分けやすいチューニングが為されており、付属しているブームマイクも高品質なものになっています。
SHURE掛けできるイヤホンであり、動いても外れにくく安定感があります。
• 信頼のSteelSeries製品
• FPSに特化したチューニング
• ブームマイクが高音質
• SHURE掛けできる
スペック
メーカー | SteelSeries |
価格 | 4,255円 Amazon 2021年4月17日時点 |
イヤホンタイプ | インイヤー(カナル型) |
周波数特性 | 20〜20,000Hz |
感度 | 102 dBSPL @ 1 kHz、1 mW |
全高調波歪み | <1% |
マイク | 周波数特性:100〜10,000Hz 特性パターン:全方向性 感度:-44dBV / Pa ブームマイク着脱:取り外し可能 |
接続 | 3.5mm 4極プラグ |
ケーブル長 | 1.2 m |
ケーブル材質 | ラバー |
開封
- Tusq イヤホン
- ブームマイク
- イヤーチップ
- キャリングポーチ
- 製品情報ガイド
▼Tusq イヤホンになります。
▼左のイヤホンになります。ブームマイクの差し込み口があります。
▼ブームマイクを差し込むとこんな感じです。
▼イヤホン外側になります。SteelSeriesのロゴがあります。
▼イヤホンには音抜けを良くするベント穴もあります。
▼ケーブルにはインラインマイクがあります。
▼側面にはマイクのミュートスイッチがあります。
▼マルチメディアボタンもあります。スマホの再生や一時停止、電話の受信など様々な用途で使用できます。
▼接続は3.5mm 4極プラグなのでPS5やPS4コントローラー、ニンテンドースイッチ等に直接差し込んで使用できます。
▼3種類(イヤホンに装着済み含む)のイヤーチップが付属しています。
使用した感想
耳掛け(SHURE掛け)できるので、それなりに安定して装着できます。ただイヤーカップ部分が耳から少し出てしまうため、カナル型特有の安定感は損なわれています。総じて装着感は普通という印象です。
ブームマイクの音声はとてもクリアに聞こえます。ただしインラインマイクに関しては、それなりな音質なので、マイクを使用するのであれば、ブームマイクをおすすめします。ただ、マイクは無指向性なので、キーボードの音などを拾ってしまうことが注意点です。ブームマイクは取り外し可能なので、ボイスチャットしない方も邪魔になりません。
音質について
ここから先は、『エージング前』と『エージング後』の音について大まかな印象を書いて行きます。その後、改めて『エージング後』の音質について、より深く触れていきます。イヤホンにおけるエージングとは長時間音を鳴らし、音質を安定させることです。エージングは個体差や個人差もあるので、参考程度に捉えてください。
【エージング方法】
DAP(Sony NW-F886)を使用し、1週間ハイレゾ音源を含む音楽を『通常の音楽鑑賞するレベルの音量』で『イコライザや音響効果を未使用』のまま流し続けました。エージングの為に流す音楽も、音のタイプが偏らないよう(高域、中域、低域、それぞれの音域を使うような曲を中心に50曲程をランダムループ)に設定しました。
【エージング進捗の確認方法】
24時間毎に1時間前後、試聴して音質を確認しました。日常で使いながらエージングをしてしまうと『イヤホンがエージングされたのか、耳がイヤホンの音質に慣れてきただけなのか違いが判断できない』ため、普段からこのような方法でエージングを実施することが多いです。今回は合計で150時間程エージングを実施しています。
エージング前
エージング前、つまり購入直後の音質は、「ドンシャリ系(低音と高音が強調されている)」だと感じました。この時点で「今まで試聴してきた数あるゲーミングイヤホンと比較しても、かなりゲーム向けな音づくりをしているな」という印象を強く受けました。
エージング前の段階では「イコライザを調整すれば、音楽もなんとか聴けるかも?」という感じでした。
あくまで個人的な感覚から「この音傾向の場合は、エージングでもあまり音が変わらないタイプのイヤホンかな?」という印象も持っていました。理由としては「開封直後の時点で、既に中域の音だけが前に出ていて、ゲーミングイヤホンとして必要な音質が十分に確保されている印象が強かったため」です。
よくドンシャリ系で見られる『低域と高域が強調されている』というものとはまた違った印象を受けました。
確かに低域と高域の音はそれぞれ強調されています。そして、それ以上に中域が『前に出ている』ような、強調された音の鳴り方をしていました。
上記のような音の傾向から、エージング前は「中域は強調されているが、低域と高域もそれなりに強調されていて、音がややゴチャゴチャに聴こえる場合があるかな?」という感想でした。
エージング後
想定していた以上に音質が変わりました。
エージング前には『いかにもドンシャリ系』といった、シャリシャリ感が強く全体的に音のメリハリが強めでした。しかしエージング後は低域と高域のシャリシャリ感が柔らかめになった印象を受けます。この影響により、エージング前の「音がゴチャゴチャした感」がかなり改善されています。
結果として中域近辺が聞き取りやすくなっています。
エージング前から感じていた『中域が前に出ている』という音傾向は変化がありませんでした。『中域を強調する』という点においてはエージングによる音質の差は無いです。エージングにより低域と高域のシャリシャリ感が減少したことで中域以外の音の強調が緩和されています。また、相対的に中域の『前に出ている』感じが強まったという印象です。
この『前に出ている感』というのは、伝え方がやや難しいのですが、単に『強調されている』や『音量が大きい』という訳ではありません。『中域だけが音空間上で他の音に比べて一歩前に出たように、他の音域に比べて浮き上がって聞こえてくる』という音の鳴り方をします。より厳密に言うと『低域内における響くような低めの音も結構出ている』のですが、第一印象としては中域の突出さが目立ちます。
上記の性質から、『イコライザ調整をしなくても、イヤホンとしての音質自体がFPS向けに特化してチューニングされている』という印象を受けました。これまで多数試聴してきたヘッドセットやイヤホンの中でも、今回のTUSQはかなり『音質をFPS向けに寄せたチューニング』です。『ゲーム向け』ではなく『足音を聞きたいFPS向け』という点が重要なポイントです
ApexLegendsでの足音について
PS5でApexLegendsの足音について確認しました。
エージング後に確認しました。エージング前ではシャリシャリの度合が強いため、ここから先の感想よりも定位がやや分かりにくいと思います。
PS5の3Dオーディオについて
まず、PS5にて無線接続状態のコントローラにTusqを接続してみました。3Dオーディオ(バーチャルサラウンド)についてはこちら。
PS5の3Dオーディオや、各種アンプなどを使用しない状態でも、足音が聞き取りやすい音のバランスでした。
左右だけではなく前方と後方の定位についても、それぞれの聞き分けがしやすいです。後方がちゃんと「後ろの方から聞こえている感」がある音の鳴り方だと感じました。前方、後方から『接近してきている』『遠ざかっている』『回り込まれている』という情報が分かりやすいです。
この分かりやすさは、FPS以外で音質を確認したときに感じた『中域が前に出ている感』と、重低音近辺の低域が強めに出ていることがプラスに働いているためだと思います。
まさに『FPS向けにチューニングされたイヤホン』という言葉がピッタリの製品です。
スナイパーライフル系の『甲高い音』は、エージング前の状態では純粋に『耳に刺さる音』として聞こえます。そのため音量の調整には注意をしてください。エージングが進むと音がややソフトになり、耳に刺さる感じは緩和されます。
PS5コントローラにTusqを接続し、3Dオーディオを使用したときの音質には賛否が分かれそうです。
音響効果が無くとも定位が聞き取りやすいTusqですが、音響効果を有効にすると空間表現がぼやけ、分かりにくいようになりました。
通常時に聞き取りやすかった前方と後方の定位が、3Dオーディオの効果を使用すると全体的にぼやけ、さらに前方定位での足音の輪郭が抜け落ちたような音質になります。
前方と後方の判別自体は、しっかりと感じることは可能です。しかし、前述したように音そのものがぼやけてしまうため、結果的に定位自体が分かりにくい印象を受けました。
好みなどで個人差があるとは思いますが、『Tusqをコントローラに接続して使用する場合は、3Dオーディオは無効の方がFPSで使いやすい』と感じます。
ただ、誤解が無いように補足をしておきますが、Tusqが3Dオーディオと相性が悪いというわけではありません。むしろ、適切なUSB-DACを使用し、3Dオーディオを有効にした場合には、前方の足音もぼやけ過ぎず、後方は後方らしさをきちんと表現した程良い音響効果が得られていました。
少なくとも、GameDacを使用した場合には、3Dオーディオを有効にするのもおすすめです。本来あるべき3Dオーディオの『違和感の無い音響効果』という利点を十分に発揮できていました。
今回の検証結果から「Tusqは音源の品質が良い程、それに見合った効果をきちんと得られる」ことが分りました。
Tusqの価格帯でDACの品質によって、音の聴こえ方がここまで影響を及ぼすイヤホンは少し珍しいです。
SteelSeries GameDACのレビューはこちら▼
MixAmp Pro TRのDolbyサラウンドについて
MixAmpProTRと接続しDolbyサラウンドの検証を行いました。Dolbyサラウンド(バーチャルサラウンド)についてはこちら。
Dolbyを有効にした場合、無効にした場合、それぞれで特徴は異なりますが、どちらもおすすめです。
Dolbyを無効にした場合には、MixAmpの音質を純粋に活かし、定位もわかりやすいです。コントローラに挿した場合の上位互換と考えて差し支えなく、足音の輪郭・距離感の把握がしやすいと感じました。
Dolbyを有効にした場合にも、高品質なゲーム効果を得られることができます。
通常、Dolbyを有効にすると『お風呂場感』が強くなりがちです。そのため、使用には好みが分かれることが多いです。ですが、Tusqでは、他のイヤホンヘッドセットに比べ、Dolbyによる『お風呂場感』が弱めであると感じました。
Tusqの音質が全体的にクリアな印象を受けるため、音響効果による音の変化が過剰に掛かっていないことが考えられます。
ASTRO’s PLAYROOM(アストロプレイルーム)
PS5にプリインストールされているアストロプレイルームをプレイしました。ApexLegends同様に、3Dオーディオを有効・無効で試しました。
基本的な感想としては、ApexLegendsの時と同じく「PS5コントローラにTusqを接続した場合は、3Dオーディオは無効にした方が違和感が少ない」と感じました。
ただ、3Dオーディオを無効にしている場合でも「何か音響効果を付けているような感覚」でした。この感覚の理由は、Tusqの音質が『低域の中でも重低音寄りの低周波数帯も強めであるため』だと考えられます。
Tusqを使って色々な音を聴いていると「低域はそれほど強くないようでいて、その割にお腹に響くような低音は結構鳴っているな」と感じる事が多いです。
少し言い換えると「低域の音量は控え目なのに、重低音としては響いている」というべきでしょうか。
TusqはFPS以外のゲームでも、PS5コントローラ無線接続では、3Dオーディオ無効をおすすめします。
ApexLegendsでTusqを使用した感想と同様、TusqでPS5の3Dオーディオを使いたい場合には別途高品質なUSB-DACを用意しましょう。
Nintendo SwitchでのApexLegendsについて
PS5と同様に、ニンテンドースイッチでも足音は聞き取りやすいです。携帯ゲームという性質上、USB-DACを使わずにイヤホンを直接挿す事が多いと思います。
DACでの音調整無しでも手軽にFPSに適した音質を得られるTusqはおすすめです。PS5で確認した時のように、足音の輪郭もしっかりと感じる事ができました。
同様の理由でスマホのFPSゲームにも適しています。
Razer Hammerhead Pro V2との比較
同価格帯の「Razer Hammerhead Pro V2」(以下V2と表記)とも比較してみました。
V2とTusqを聞き比べると、音質の特徴が大きく異なります。まずはそれぞれの特徴を羅列して比べてみました。
Tusqは『エージング後の評価である』点には十分注意してください。エージング前のTusqはエージング後に比べてV2に音がやや似た派手さが残っています。また、あくまでも相対評価であり、絶対評価ではないことを留意してください。
【V2】
- 典型的なドンシャリ系+FPSを意識した中域上げの音質
- 『ゲーム映え』を意識した華やかな音質
- 低域は出ているものの、お腹に響くような重低音は少な目
- 音量を上げると高域は刺さりがち
【Tusq】
- ドンシャリというよりは、FPSに特化した中域上げの音質
- 低域の総量は控え目なものの、お腹に響くような重低音は強め
- 刺さるような高域は少ない(特にエージング後)
V2とTusqは、中域によくある足音や音声の聞こえ方だけ比較すると「ややTusqの方が、中域が前に出ているかな?」という程度で、ほとんど似たような性能になっています。
そんな一見似ている2機種について、今回の比較で注目すべきは『中域以外の音傾向』です。
V2は『典型的なゲーミング系』な派手さを重視したドンシャリです。様々なゲームの演出に見合った、『派手さ』のある低域と高域をもった音質になります。
そのため、多くの人にとって『ゲーム演出を楽しみやすい』という要素と『派手さ故に、やや耳に刺さるような高域』という2つの要素を兼ね備えている製品です。
対するTusqは『低域高域はV2ほど突出していない』です。Tusqの音質には『主役はあくまで中域』という傾向が感じられます。
また、FPS以外のゲームで利用した場合には、V2のような派手さとは全く違った形でゲームを演出してくれます。
Tusqの音質上、ゲームでのBGMがより『BGMっぽく』聴こえます。あくまでBGM(背景音楽)というスタンスで、自己主張し過ぎずに一歩引いてくれるとでも言うべきでしょうか。
V2の場合は「BGMもゲーム演出だ!」という姿勢で、ゲーム上のBGMの音も前面に出してきます。
どちらが良いかについては「好みによる」のですが、長時間プレイしても疲れないのはBGMが自己主張し過ぎていないTusqです。
音楽用途は微妙
楽曲によってはイコライザの調整で良い感じに聴こえるものもありました。
元の音楽に中域が多用されていない場合や、ゲームのBGMのようなものは、Tusqの性質で強調される情報が少ない事が多く違和感もあまりありませんでした。
ただ、ヴォーカル曲において(特にヴォーカル音が500~2000Hz、それ以降の帯域を中心として鳴っている場合)イコライザでの音調整では限界がありました。
イコライザでどれだけ音の傾向を調整しても「しっくりこない、違和感が残る、聴き心地がイマイチ」という印象が強かったです。
『FPSに特化』した特徴的な音傾向の為、音楽鑑賞用途にはあまり適正が無いといえます。
それぞれの音域の量をイコライザなどで調整し、音楽の聴きやすいチューニングが無いか模索をしてみましたが、どうにも個人的に納得のできる設定にたどり着きませんでした。
大きな理由は、FPS用途においてプラスになっている『中域の独特な性質』が音楽鑑賞においてはマイナスに働き、イコライザではその性質を完全に払拭できなかったためです。
もし「音楽用途としても使用できるイヤホンが欲しい」という方は、より高級なヘッドセット・イヤホンの購入を検討する必要があります。
音楽ゲーム用途もやっぱり微妙
音楽ゲーム(リズムゲーム・音ゲー)についても、音楽鑑賞と同様に不向きな印象です。理由はほぼ音楽鑑賞の時と同じです。
音色や音質には人によっての好みにバラつきもあるため一概には言えないのですが、少なくとも個人的にはTusqで音ゲーは無しだと感じました。
音楽の音質バランスが一般的なイヤホンからかけ離れ過ぎているため、音ゲー特有の爽快感を削ぐ要因になっています。
楽曲の音の特色によっては多少マシな事もありますが、「わざわざTusqを使って音ゲーをする必要無いよね?」と言わざるをえません。
音質まとめ
今回のレビューで何度も紹介したように、TusqはFPSとして特化した性能を持ったゲーミングイヤホンといえます。
「FPSに適したイヤホンが手ごろな価格で欲しい。DACとかも持っていないし、イコライザとか難しそう」という方は、「とりあえず手頃で無難なTusqを使ってみて、そこから先はじっくり考えよう」という感じで問題無いです。
ゲーム | 説明 | おすすめ度(◎◯△×) |
---|---|---|
FPS | 主に足音の聞き取りやすさ | ◎ |
その他のゲーム | あくまで「ゲーム体験」としての迫力・派手さ・聴き映えの良さ・自然なゲーム体験が出来るか重視(評価基準となる要素がかなり広い) | ◯ |
音ゲー(音楽鑑賞) | 主に音楽鑑賞用途への適正。音ゲーへの適正もここに含まれる(一部例外あり) | × |
最後に
ブームマイク品質が高いので、積極的にボイスチャットしてほしいゲーミングイヤホンになります。
価格を考慮せずとも、数あるゲーミングイヤホン、ヘッドホンの中でも足音が聞き取りやすい部類の製品だと思います。
『FPS向け』としてのポテンシャルが高く、コストパフォーマンスも良いのでおすすめです。
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