
こんにちは、ハッサンです。
今回は、Tekkusaiから発売されているイヤホン「LUCID IEM」をレビューします。
Tekkusaiは、ゲーミングデバイスブランドのKurosunやGLSSWRKSなどを立ち上げてきた、ゲーミングデバイスとオーディオの両方に関わるクリエイターです。
LUCID IEMは、音楽用途だけでなくゲームでの使用も強く意識したイヤホン。
8mmのダイナミックドライバーに、バランスド・アーマチュア、マイクロプラナー、PZTを組み合わせた4種類のドライバー構成を採用しています。内部では3本の音導管を使い、各ドライバーの出力をまとめる構造です。
もう一つ大きな特徴が、Windows用の「Lucidアプリ」。
ゲームを検出して専用EQへ自動で切り替える機能があり、Apex LegendsやVALORANTなど、ゲームごとに聞こえ方を変えられます。アプリはEqualizer APOと組み合わせて動作する仕組みです。
今回はまず通常状態の音を基準に確認し、FPS評価ではApex用EQを使った場合に何が変わるのかも見ていきます。
動画では、音の可視化ツールも使いながらFPSでの聞こえ方を中心に解説しています。
今回のイヤホンはこちら。
付属品
| カテゴリ | 内容物 |
|---|---|
| イヤーピース | シリコンイヤーピース、フォームイヤーピース |
| ケーブル | 0.78mm 2pin着脱式ケーブル |
| 接続プラグ | 3.5mm、交換用4.4mm |
| アダプター | DAC内蔵USB-Cアダプター、Competitive Adapter ※Batch 2 |
| その他 | キャリングケースなど |
LUCID IEMは、ケーブル先端のプラグを交換できるモジュラー式です。
標準的な3.5mm接続に加えて、4.4mmバランス接続用のプラグも用意されています。イヤホン本体側は0.78mm 2pinなので、必要であれば市販ケーブルへの交換も可能です。
キャリングケースもしっかりしたものが付属します。
内部に小物を入れるスペースがあり、交換プラグやイヤーピースをまとめて持ち運びやすい作り。ケースについては複数のレビューでも質感の良さが評価されていました。
なお、LUCID IEMは途中でBatch 2へ更新されています。
Batch 2では、
- デフォルトイヤーチップを変更
- フォームイヤーチップを追加
- ケーブルをより長いものへ変更
- DAC内蔵USB-Cアダプターを追加
といった変更が入っています。
そのため、購入時期や販売店によって付属品が異なる可能性があります。
製品スペック
| 項目 | 仕様詳細 |
|---|---|
| 形式 | ハイブリッド型 |
| ドライバー構成 | 8mmリキッドシリコンDD+BA+マイクロプラナー+PZT |
| インピーダンス | 26Ω |
| 本体重量 | 片側5g未満 |
| 筐体 | 軽量メタルシェル |
LUCID IEMで特徴的なのは、やはりドライバー構成です。
低域側を担当する8mmのリキッドシリコンダイナミックドライバーに加え、バランスド・アーマチュア、マイクロプラナー、PZTを組み合わせています。
異なる方式のドライバーを多数使えば、それだけで音が良くなるわけではありません。
重要なのは、それぞれの音が自然につながるように調整されているかどうかです。
LUCID IEMでは3本の音導管を使った構造が採用されており、複数ドライバーの出力をまとめることも設計上のポイントになっています。
実際の測定結果でも、低域・中域・高域を極端に分断して聞かせるタイプではなく、通常状態では比較的自然につながっています。
Lucidアプリとゲーム別EQ
LUCID IEMには、Windows専用のLucidアプリがあります。
単純に自分でイコライザーを調整するだけのソフトではありません。
対応ゲームを起動するとゲームを検出し、そのタイトル用に用意されたEQへ自動で切り替える機能があります。
ゲームによって必要になる音は同じではありません。
例えば、
- 一発の足音を見つけたいゲーム
- 複数人の移動を追いたいゲーム
- 銃声やスキル音が大量に重なるゲーム
では、聞きやすい音の作り方も変わります。
LUCID IEMでは、こうしたゲームごとの差をイヤホン本体だけで完結させず、ソフトウェア側でも調整できるようになっています。
レビューでも、ゲームごとのプロファイルが単純な高音調整だけではなく、実際に聞こえ方の違いとして感じられたという評価がありました。
ただし、この機能はWindows用です。
PS5などへLUCID IEMを直接接続して使う場合、Lucidアプリによるゲーム別EQは利用できません。
そのため、このレビューでは通常状態をLUCID IEM本体の基本評価として扱い、Apex用EQについてはFPS評価の中で別に確認します。
駆動のしやすさ
LUCID IEMは、かなり鳴らしやすい部類です。
インピーダンスは26Ω。
海外で公開されている仕様では感度も106dB/Vrmsとなっており、高出力な据え置きアンプを前提としたイヤホンではありません。
メーカー側でも、一般的な3.5mm端子から使いやすい設計として案内されています。
そのため、
- PC
- USB DAC
- ゲーム機対応DAC
- スマートフォン用ドングルDAC
など、一般的な環境で十分な音量を取りやすいでしょう。
LUCID IEMのためだけに、大型のヘッドホンアンプを用意する必要性は低いと思います。
Batch 2ではDACを内蔵したUSB-Cアダプターも付属しているため、USB-C対応機器へそのまま接続する選択肢もあります。
ただし、FPSでは単純に音量を大きくすれば良いわけではありません。
LUCID IEMは足音を太く強調するタイプではなく、小さい音や背景の整理を利用して情報を探すイヤホンです。
必要な音が自然に確認できる範囲で音量を合わせ、長時間の大音量は避けた方がよいでしょう。
外装の質感
LUCID IEMは、軽量な金属筐体を採用しています。
見た目は比較的シンプルで、ゲーミング製品によくある派手な装飾はありません。
本体サイズも比較的小さめ。
多ドライバー構成のイヤホンは筐体が大きくなりやすいですが、LUCID IEMは4種類のドライバーを搭載しながら、かなりコンパクトにまとめられています。
一方、初期版については約1.2mとやや短く、PC本体が離れている環境では延長が欲しくなるという指摘もありました。
Batch 2では、この点を受けるようにケーブルが長いものへ変更されています。
装着感
LUCID IEMは、本体そのものはかなり軽量です。
金属筐体ですが片側5g未満で、本体もコンパクト。重量だけを見ると長時間使用に向いた作りです。
ただし、装着感については少し注意が必要です。
ノズル径は約6.2mm。
極端に巨大ではありませんが、細いノズルでもありません。
つまり、本体が重くて疲れるイヤホンではありませんが、
どちらかというと、小型・軽量な筐体は長時間使用に向いているものの、耳の形とイヤーピースの相性によって評価が分かれやすいタイプです。
この点はFPS用途でも重要です。
密閉が不足すると低域の量が減り、本来の帯域バランスから聞こえ方が変わります。左右で装着位置がずれれば、方向感の判断にも影響します。
そのため、
- 左右で同じ深さに装着できる
- 低域が不自然に抜けない
- 顎を動かしても密閉が変わらない
- 長時間使って耳の内側が痛くならない
このあたりを基準にイヤーピースを選んだ方がよいでしょう。
なお、現在のBatch 2ではデフォルトイヤーチップが変更され、フォームイヤーチップも追加されています。初期版で指摘されていた装着面に対して、付属品側にも変更が入っています。
イヤホン属性プロファイル

帯域バランス
聴感上の聞こえ方:フラット基調ですが、低域の下支えが少し残るタイプ
低音と高音の量は大きく離れておらず、中音がほんの少し控えめという程度です。
ただ、比較した中ではサブベース側の存在感がやや強め。中低域が大きく膨らむわけではないので、「低音がドンと前へ出る」というよりは、深いところだけが下から支えてくる感じですね。
低域の出だしには少し丸みがあり、消え際もわずかに残ります。そのため、測定上の量よりも低音の存在を感じやすい場面があります。
色味はやや暖色寄り。高域が大きく不足しているというより、低域の丸みと残り方が少し体温感を足している印象です。
形状軸:フラット基調
強いV字やかまぼこ型ではありません。サブベースと中高域が少し前に出て、中低域と高域上側がやや控えめという細かな凹凸はありますが、全体としては素直なフラット基調です。
音の硬さ:ソフト ↔ ハード
- 低域: 出だしは丸く、打感はソフト寄り
- 中域: 芯は早めにまとまるが、一部に丸みや揺れが残る
- 高域: 中高域は締まりがあり、輪郭はやや硬質
面白いのは、全帯域が同じ硬さではないところです。
低域は柔らかいのですが、中高域へ行くと輪郭がカチッと見えやすくなります。いわゆる硬質一辺倒ではなく、「下は丸い、上は締まる」というタイプですね。
音の立ち上がり:マイルド ↔ 鋭い
- 低域: 少し溜めがあり、角を立てずに入る
- 中域: 入りはやや丸いが、鳴り始めたあとの形は整いやすい
- 高域: 初速よりも、輪郭が定着してからの見え方が速い
LUCID IEMは、最初の一瞬を鋭く叩きつけるタイプではありません。
その代わり、鳴り始めた音が比較的すぐ形を作ります。この辺りが、実際に聴いたときの「レスポンスが速い」「キレがある」という感覚につながりやすい部分だと思います。
実体感の強さ:繊細 ↔ 迫力
実体感は繊細寄りです。
音の芯が大きく膨らまず、太さよりも輪郭の見えやすさが先に来ます。低域の沈み込みがあるので薄っぺらくはありませんが、音像を大きく太く見せるイヤホンではありません。
FPSでは複数の音が空間を取りすぎにくく、音楽でも楽器同士の間が見えやすい方向です。
反対に、低音の厚みやボーカルの肉付きが欲しい人には少し軽く感じるかもしれません。
音の抜け:響き ↔ ヌケ
数値上は響き寄り。ただし、聴感ではかなり透明に感じやすいタイプです。
ここはLUCID IEMで一番ややこしく、同時に面白いところです。
測定では低域や高域上側に多少の残りがあり、完全にドライに「スパッ」と消えるタイプではありません。そのため、音の抜けという軸だけを見ると響き寄りになります。
ただし、余韻があることと、背景が濁ることは別です。
LUCID IEMは主音の芯と輪郭が比較的早く整理され、残った成分が主音へベタッとまとわりつきにくい傾向があります。
- 低域: 消え際は少し残るが、低音全体が大きく広がり続ける感じではない
- 中域: 比較的すっきり開きやすく、音の周囲にモヤを感じにくい
- 高域: 量は穏やかだが輪郭は見えやすい
実際に音楽を聴いていても、他のイヤホンと比べて背景のノイズっぽい雑味を感じにくい印象があります。
なので、「余韻が短いから透明」というより、余韻は多少あるのに雑味として感じにくいと考えたほうがしっくりきます。
音場:狭い ↔ 広い
音場は普通から少しコンパクト寄りです。
音を遠くまで大きく押し広げるタイプでも、外周へふわっと抜けていくタイプでもありません。
音像そのものが小さくまとまり、背景にも余計な付帯感を感じにくいため、音と音の間は見えます。
個人的には、空間そのものはそれほど大きくないけど、音同士の距離は取りやすい
という表現が近いですね。
声の聞き取りやすさ:調和 ↔ 際立ち
ボーカルだけを強く前へ出すタイプではありません。
中域の芯は見えますが、最後まで強く固定され続けるほどではなく、周囲と自然につながります。
一方で背景が澄んで感じやすいため、ボーカル自体を持ち上げなくても輪郭は追いやすいです。
「声を強調して聞かせる」というより、「周囲が静かなので声が見える」という感じですね。
耳への刺激:穏やか ↔ 刺激的
高域の量そのものは控えめで、刺さりを強く作るバランスではありません。
中高域の輪郭はしっかりしていますが、量で押してこないので、銃声やシンバルが必要以上に鋭くなりにくい方向です。
最上部には少し粗さが見えるものの、常に前へ出てくる量ではありません。
高域の情報は欲しいけど、刺さりは抑えたいという人には扱いやすいバランスだと思います。
帯域評価(低・中・高)

低域
タイプ:丸みを伴う沈み込み型
サブベース側がやや優位で、深いところの低音が土台を作るタイプです。
中低域が大きく膨らまないので、低音全体が前へせり出す感じではありません。下だけがスッと沈んで、少し残るような鳴り方です。
出だしは丸いですが、芯そのものは比較的早くまとまります。余韻はあるものの、重くダラダラ残り続ける低音とは少し違います。
中域
タイプ:自然型(芯がわずかに優位)
厚みと芯のバランスは大きく偏らず、少しだけ芯側が見えやすい自然型です。
主音の骨格が見えやすく、LUCID IEMの透明感を支えている帯域でもあります。
一部には揺れや入りの丸さがあるので、カチカチに硬い中域ではありません。少し柔らかく入りつつ、中心だけは残るような聞こえ方です。
高域
タイプ:エッジ型でやや鮮明寄り
2〜5kHz付近が輪郭の中心です。
高域を大量に盛って派手に見せるのではなく、線の見えやすさで情報を出すタイプですね。
3〜6kHz付近は比較的安定しており、ここがLUCID IEMのクリアさや見通しにかなり効いています。
一方で、上側の空気感は控えめ。10kHz付近には少し粗さもありますが、高域全体を強く持ち上げていないため、刺さりより穏やかさが先に出やすいです。
音質まとめ
LUCID IEMは、低域の丸い沈み込み、中域の自然な芯、中高域の締まった輪郭を組み合わせた音です。
太さや迫力で押すというより、コンパクトな音像と雑味の少ない背景で見通しを作るタイプ。
完全な早消え型ではなく、低域などには多少の余韻が残ります。それでも主音の輪郭が崩れにくいため、余韻はあるのに背景は澄んでいるという独特な聞こえ方になりやすいです。
音楽用途でも、この透明感はLUCID IEMの大きな特徴だと思います。
LUCID IEM レビュー|FPSでの聞こえ方
FPSでの聞こえ方
FPS総合評価
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 足音の存在感 | ★★★☆☆ |
| 分離・音種判別 | ★★★★☆ |
| 定位感・方向感 | ★★★☆☆ |
| 遠距離索敵 | ★★★☆☆ |
| 距離感 | ★★★☆☆ |
| 移動音の追いやすさ | ★★★☆☆ |
LUCID IEMで特徴的なのは、足音そのものを太く大きくするのではなく、音の周囲を整理して必要な情報を見つけやすくするところです。
低域には深さがありますが、中低域まで大きく膨らむタイプではありません。一つ一つの音像も比較的小さくまとまりやすく、背景には雑味を感じにくいですね。
そのため、近くの足音を大きな塊として目立たせるというより、
- どこで音が鳴ったのか
- 大きな音の隙間に別の音があるか
- 何か新しい情報が加わったか
といった変化を、見通しの良さから探していく聞こえ方です。
分離・音種判別は星4。
特に使いやすいのは、音像同士の空間的な分かれ方と、大きな音の奥にある小さい音の見え方です。
一方で、足音・銃声・環境音を帯域だけで明確に色分けするタイプではありません。通常状態では、音の高さだけでなく輪郭、音量、位置などを合わせて判断します。
定位・方向感、遠距離索敵、距離感、移動音は星3。
どれも普通に使えますが、一点定位や細かな距離段階、遠距離音の強調、移動音のレイヤー表現へ強く特化したイヤホンではありません。
LUCID IEMは、必要な音をイヤホン側で強調するより、余計なものを感じにくくして自分で探しやすくするタイプです。
足音の存在感:太さではなく、周囲の静けさから見つける
足音の存在感は星3です。
LUCID IEMは、低域を大きく盛って足音を太く見せるタイプではありません。
深い低音はしっかり残っていますが、中低域まで大きく膨らまないため、足音そのものの体積は比較的控えめです。
ただし、音が細くて存在をつかみにくいわけでもありません。
LUCID IEMは、余韻が多少残っていても、その響きが主音へベタッとまとわりつきにくいです。音像も比較的小さく、周囲に余計なモヤを感じにくいため、足音を背景から探しやすくなっています。
感覚としては、
「足音が大きいから見つかる」より、「足音の周りが静かだから見つかる」
という方が近いですね。
爆発音や低い環境音も中低域まで大きく広がりにくいため、周囲の音を強く覆いにくいです。
そのため、近〜中距離では足音を自然な大きさのまま認識しやすい一方、イヤホン側に足音の重みや太さを強く補助してほしい人には少し物足りなく感じる可能性があります。
分離・音種判別:空間と音量階層の整理が強み
| 分離項目 | 説明 | 評価 |
|---|---|---|
| 空間 | 音像が小さくまとまり、音同士に余白ができるか | ★★★★☆ |
| 時間 | 前の音が早く消えて、次の音と分かれるか | ★★★☆☆ |
| 帯域 | 足音・銃声・環境音を高さの違いで分けやすいか | ★★★☆☆ |
| 芯 | 音が重なった後も中心線が残るか | ★★★☆☆ |
| 音量階層 | 大きい音の中にある小さい音を見つけやすいか | ★★★★☆ |
LUCID IEMの分離・音種判別は総合で星4です。
特に強いのは、空間の分離と音量階層の分離。
一つ一つの音像が比較的小さくまとまりやすく、足音や銃声が大きな面になって空間を占領しにくいです。
低域も必要以上に膨らまないため、複数の音が鳴ったときでも、それぞれの間にスペースが残りやすくなっています。
近くで銃声や効果音が鳴っていても、その音だけで周囲の情報が完全に埋まりにくいのも特徴です。
一方、時間・帯域・芯の分離は星3。
すべての音が一瞬で切れるタイプではなく、低域を中心に自然な余韻があります。ただ、その余韻が主音の形を大きく崩しにくいため、前の音が完全に消えていなくても次の音を見る邪魔になりにくいです。
帯域も、低・中・高をはっきり分断して音種を見せる方向ではありません。
LUCID IEMは、音を細かく切り刻んで分離するより、一つ一つの音を小さく整理して共存させるタイプと考えると分かりやすいです。
空間の分離:音場を広げるより、音像を小さくまとめる
空間の分離は星4です。
LUCID IEMは、一つ一つの音が大きな面として広がりにくく、比較的コンパクトにまとまります。
そのため複数の音が別々の場所で鳴った場合でも、音像同士がぶつかりにくく、それぞれの間に余白を残しやすいです。
ここで重要なのは、音場が広いから分離するわけではないこと。
LUCID IEMは、空間そのものを大きく広げて音を遠くへ配置するタイプではありません。
むしろ、
一つ一つの音が場所を取りすぎないことで、限られた空間の中でも整理して聞きやすくする
という方向です。
混戦でも大きな音像が視界をふさぐような感覚が出にくく、必要な情報を探す余白が残りやすいですね。
時間の分離:早消え型ではないが、余韻が邪魔になりにくい
時間の分離は星3です。
LUCID IEMは、前の音が一瞬で消えて次の音と完全に切り離されるタイプではありません。
低域にはほどよい余韻があり、高域側にも一部で響きが残ります。
そのため、単純な「音が消える速さ」だけを見ると、かなり早いタイプではないです。
ただ、その余韻が主音へ強くまとわりつきにくいところがLUCID IEMの特徴。
響きが残っていても、主音の輪郭や中心が比較的早い段階で整うため、次の音の邪魔として感じにくいです。
つまり、
余韻はあるけれど、背景が濁りにくい
という聞こえ方ですね。
前後の音を細かく切り離す特化型ではありませんが、自然なつながりを残しながら見通しを確保しています。
音の芯の分離:太く残すより、必要な中心を小さく見せる
芯の分離は星3です。
LUCID IEMは、音の中心を太く長く残して、重なった後まで一本ずつ強く固定するタイプではありません。
その代わり、主音の形が比較的早い段階で整い、必要な中心だけを小さく見せる方向です。
単音では中心位置をつかみやすく、複数音でも音像そのものが大きく膨らみにくいため、完全に塊になる感じは少なめ。
ただ、混戦で複数の中心線を最後まで強く保持するタイプではありません。
そのため、芯そのものの強さで音を分けるというより、コンパクトな音像と周囲の静けさを組み合わせて見分けるタイプです。
帯域の分離:通常状態では自然なつながりを優先
帯域の分離は星3です。
通常状態のLUCID IEMは、低域・中域・高域が比較的自然につながっています。
足音はこの帯域、銃声はこの帯域、環境音はこの帯域、と明確に色分けして見せるタイプではありません。
そのため音種を判断するときは、
- 音の高さ
- 輪郭
- 音量
- 中心位置
- 鳴り方の変化
といった複数の情報を合わせて判断することになります。
帯域だけで瞬時に音種を分けるタイプではありませんが、全体としてごちゃつきにくいため、必要な情報は比較的整理して見つけやすいです。
ここはApex用EQを使ったときに、大きく変わる部分でもあります。
音量階層の分離:大きな音の隙間から小さい音を探しやすい
音量階層の分離は星4です。
これは、近くで大きな銃声や効果音が鳴っているとき、その奥にある小さい足音や環境音を見つけやすいかという項目です。
LUCID IEMは低域が大きく膨らみにくく、音像も比較的小さめ。
さらに背景の雑味を感じにくいため、一つの大きな音だけで周囲が完全に埋まりにくいです。
そのため、
大きな音の隙間から、小さい音が見えてくる
ような聞こえ方になります。
遠距離音そのものを強く持ち上げるわけではありませんが、大小の音を同時に扱いやすいことは、LUCID IEMの分離の中でも分かりやすい強みです。
定位感・方向感:一点固定ではなく、複数の情報から位置を詰める
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 定位感 | ★★★☆☆ |
| 方向感 | ★★★☆☆ |
定位感と方向感は、どちらも星3です。
LUCID IEMは音像が比較的小さいため、音の中心そのものは見つけやすいです。
中域の芯と中高域の輪郭もあるので、
「だいたいこの辺りで鳴った」
という判断はしやすいですね。
ただ、その中心を針のような一点へ強く固定するタイプではありません。
そのため、一発の足音だけで細かな角度まで決めるというより、
- 音の中心
- その後の音量変化
- 輪郭の変化
- 連続する足音の位置
といった情報をつなげながら方向を詰める方が合っています。
一点を鋭く刺す定位より、複数の手がかりから位置を絞る定位という方が近いです。
距離感・遠距離音:強調ではなく、背景の整理から探す
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 遠距離の微音検出 | ★★★☆☆ |
| 距離感 | ★★★☆☆ |
遠距離の微音検出は星3です。
LUCID IEMは、遠い足音だけを強く前へ浮かせたり、高域を持ち上げて小さい音を強調したりするタイプではありません。
それでも静かな場面では、小さい音を比較的探しやすいです。
理由は、遠距離音そのものが大きいからではなく、周囲の雑味が少なく、低域も必要以上に空間を覆わないため。
つまり、
小さい音を持ち上げるのではなく、その周囲を空ける
という方向です。
ただし、銃声や効果音が大量に重なる場面で、遠距離の足音だけを強く抜き出す特化型ではありません。
距離感も星3。
近い音と遠い音の違いは普通に判断できますが、
- 近い
- 少し離れた
- 中距離
- かなり遠い
といった細かな段階を何層にも分けることは得意ではありません。
音量や輪郭、足音の間隔などから距離を判断するタイプです。
移動音:通常状態では複数の変化をつないで追う
移動音の追いやすさは星3です。
左右へ動いている、近づいている、離れているといった大きな変化は普通に追えます。
ただし、連続する足音を細かなレイヤーへ分けて、
「今ここからここへ動いた」
と強く見せるタイプではありません。
通常状態では、
- 連続する足音の位置
- 音量変化
- 輪郭の変化
を組み合わせながら流れを判断します。
移動音そのものが苦手ではありませんが、通常状態のLUCID IEMで特に強く出る項目ではありません。
ここはApex用EQを使うことで、一段分かりやすくなります。
Apex用EQを使うとどう変わる?
LUCID IEMには、Windows用アプリから使えるゲーム別EQが用意されています。
そのため、この機能を使う場合は基本的にPC向けです。PS5などへイヤホンを直接接続した場合には利用できません。
Apexだけでなく、VALORANT、CS2、Fortnite、Overwatch 2、Call of Duty、Rainbow Six Siege、PUBGなど、主要タイトルごとの専用EQがあります。
単純な「FPS向けEQ」ではなく、それぞれのゲームに合わせて調整されているのが特徴ですね。
今回はApex用EQを使った場合の変化を見ていきます。
| 項目 | 通常 | Apex EQ |
|---|---|---|
| 足音の存在感 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 分離・音種判別 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 定位感・方向感 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 遠距離索敵 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 距離感 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 移動音の追いやすさ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
大きく変わるのは、分離・音種判別と移動音の追いやすさです。
通常状態では、足音・銃声・環境音が比較的自然につながっています。
Apex用EQでは、それぞれの役割が分かれやすくなり、
「何か鳴った」から「何の音が鳴った」へ判断を進めやすくなる
ような変化があります。
これが分離・音種判別を星4から星5へ上げた理由です。
移動音も星3から星4へ上がります。
一歩一歩の足音を大きくするというより、低域から中域にかけての層が整理されることで、
- 近づいている
- 離れている
- 横へ流れている
といった連続した動きを追いやすくなります。
一方、足音の存在感、定位・方向感、遠距離索敵、距離感は星3のまま。
Apex用EQを使ったからといって、足音が急に太くなったり、一点定位や細かな距離表現まで強くなったりするわけではありません。
遠距離の小さい音が見つけやすくなる場面はありますが、これも遠距離音そのものを大きくする方向ではなく、音種の住み分けが進み、低域の被りが減ることで小さい音の周囲が空くためです。
つまりApex用EQは、
「足音強調EQ」ではなく、「Apex向けの情報整理EQ」
と考えるのが一番近いです。
通常状態が持っている透明感や自然なつながりを残しながら、何の音かを分けること、どう動いているかを追うことへ少し寄せた調整です。
これまでのFPSイヤホンと比べると

これまでレビューしてきた中で、通常状態のLUCID IEMに比較的近い方向を強いて挙げるなら、KEFINE Kleanです。
どちらも、足音だけを極端に強調するのではなく、音楽としての自然さを残しながらFPSでも使いやすいタイプ。
ただし、LUCID IEMは、背景の雑味の少なさと、一つ一つの音像が小さくまとまることが特徴です。
簡単に分けると、
- KEFINE Klean:自然さを残しながらFPSでも使いやすい
- LUCID IEM:自然さを残しつつ、背景と音像をより小さく整理する
という違いです。
一方、EP321 MEMSのように最初からFPS向けへ強く整理されたタイプでもなく、Arete2のように音種判別や移動音の読解へ大きく寄せたタイプでもありません。
通常状態は、音楽としての自然さを残しながら、背景をすっきり整理したタイプです。
Apex用EQを使うと、そこから音種判別と移動音の追いやすさが強まり、Arete2のような「読解寄り」の方向へ少し近づきます。
ただし、同じ聞こえ方になるわけではありません。
LUCID IEMがもともと持つ透明感や自然なつながりを残したまま、Apexで必要な情報を少し整理しやすくするイメージです。
LUCID IEMはどんなFPSで使いやすいのか
通常状態のLUCID IEMは、一点定位や遠距離微音だけを狙った競技特化型ではありません。
その代わり、音像が小さく、低域が周囲を覆いにくく、背景の雑味も感じにくいため、複数の情報から必要な音を探しやすいタイプです。
VALORANTのようなタクティカル系では、静かな場面で新しく入った音や、中高域の輪郭を手がかりにしやすいです。
ただし、一発の足音だけで角度を強く刺す一点定位特化型ではありません。
Apexのようなバトロワ系では、通常状態でも音像が場所を取りすぎないため、複数の情報を整理しやすいです。
さらにApex用EQを使うことで、
- 足音・銃声・環境音の違い
- 敵が近づく・離れる・横へ流れる変化
が分かりやすくなります。
Apex用EQ込みでは、一歩の足音を大きくするより、敵が何をして、どう動いているかを読む使い方と相性が良いです。
ただ、細かな距離段階や遠距離微音そのものを大きく浮かせる方向は、EQを使っても主な強みにはなりません。
FPSイヤホン最終結論

| 項目 | 通常 | Apex EQ |
|---|---|---|
| 足音の存在感 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 分離・音種判別 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 定位感・方向感 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 遠距離索敵 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 距離感 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| 移動音の追いやすさ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
LUCID IEMは、雑味を感じにくい背景から、必要な情報を自分で見つけていくイヤホンです。
足音を太く大きくするタイプではありません。
遠距離の音だけを強く浮かせる方向でもなく、一点定位や細かな距離表現も特化項目ではありません。
その代わり、
- 一つ一つの音像が場所を取りすぎない
- 低域が中低域まで大きく膨らみにくい
- 中高域の輪郭が見えやすい
- 余韻が多少あっても背景が濁って感じにくい
- 大きな音の隙間にある小さい音を探しやすい
という特徴があります。
通常状態では、FPSと音楽を自然に両立しやすい整理型という評価です。
Apex用EQを使うと、その長所を残しながら、
音種判別と移動音の読解を強めたApex向けの整理型
へ少し変化します。
別のイヤホンへ変わるような大きな変化ではなく、LUCID IEMの持つ見通しの良さを、ゲーム内情報の整理へ振り分け直すイメージです。
向いている人
- 背景の雑味が少ない音が好きな人
- 足音の太さより見通しを重視する人
- 大きな音の中から小さい情報も探したい人
- 高域を強く刺さらせず細かな音を聞きたい人
- 自分から必要な音を探して判断する人
- 音楽リスニングもかなり重視する人
- ゲームに合わせてEQを使い分けたい人
特に、
「足音を大きくして教えてほしい」より、「周囲を整理して自分で見つけたい」
という人とは相性が良いと思います。
Apex用EQまで含めると、
「一歩の足音を大きくしてほしい」より、「敵が何をして、どう動いているかを読みたい」
という人にも合いやすいです。
向いていない人
- 足音をかなり太く大きく聞きたい人
- 小さめ音量でも足音の存在感をイヤホン側に強く補助してほしい人
- 音像の中心を針のような一点へ固定したい人
- 遠距離足音を強く前へ浮かせたい人
- 骨太な低音や濃い中域が好きな人
- FPS用途だけで分かりやすい足音強調を求める人
LUCID IEMは、使った瞬間に「足音が大きくなった」と感じるタイプではありません。
良さが出やすいのは、むしろ複数の音が鳴ったときです。
音そのものを強くするのではなく、余計なものを感じにくくして、必要な情報を探しやすくするところに特徴があります。
Apex用EQを使っても、この基本方向は変わりません。
足音の存在感や一点定位、距離表現を大きく変えるEQではないため、そこを最優先する人は別方向のイヤホンも検討した方がよいでしょう。
音楽用途
自然な余韻を残しながら、背景の雑味を感じにくいイヤホン
個人的には、現在持っているイヤホンの中でも、音楽リスニングでLUCID IEMをかなりよく使っています。
特に気に入っているのが、背景の雑味の少なさと音像の見通しです。
ボーカルや楽器の周囲に余計なモヤを感じにくく、一音一音の形が比較的きれいに見えます。
ただし、完全にドライで無機質な音ではありません。
低域には深さがあり、余韻も自然に残ります。その響きが主音へベタッとまとわりつきにくいため、しっとりした余韻と透明感が同居するような聞こえ方です。
高域も必要以上に強く刺さらず、量だけで明るくする方向ではありません。
低域の深さを残しながら、楽器同士の間に余白を感じやすいバランスで、長く聴いていて使いやすいですね。
FPS用として買って、そのまま音楽にも使えるというより、音楽を聴くためのイヤホンとして選んでもよいと思えるくらい、リスニング用途との相性も良いです。
一方、骨太な低音や濃厚な中域、ボーカルの厚みを前面に出すタイプが好きな人には、少し軽く感じる可能性があります。
FPSでのまとめ
LUCID IEMは、必要な音を強くするのではなく、必要な音を探しやすい背景を作るイヤホンです。
足音の存在感や一点定位、細かな距離感だけを見ると、特化型ではありません。
その代わり、一つ一つの音像が比較的小さく、低域も大きく膨らみにくいため、複数の音が鳴ったときにも空間の余白を残しやすいです。
余韻も多少ありますが、主音へ強くまとわりつきにくく、背景の雑味として感じにくいのが大きな特徴。
分離は、音を全部短く切るというより、小さな音像と静かな背景から必要な情報を残す方向です。
通常状態では、音楽としての自然なつながりも残した整理型。
Apex用EQを使うと、そこから音種判別と移動音の追いやすさが一段強まり、「何の音か」「どう動いているか」まで読みやすい情報整理型へ変化します。
LUCID IEMは、足音をイヤホン側に強く教えてほしい人より、見通しの良い背景から自分で情報を拾って状況を組み立てたい人に合いやすいイヤホンです。

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