DOUK AUDIO Z1 レビュー|FPS向けゲーミングDACでどう変わる?

こんにちは、ハッサンです。

今回は、ゲームデバイスLABおたつさんが監修したゲーミングDACアンプ「DOUK AUDIO Z1」を紹介します。
監修者や開発背景などは「ゲームデバイスLAB」さんもあわせてご覧ください。

FPS向けとして作られたDACですが、気になるのはやはり、

DACを変えるだけで、イヤホンのFPSでの聞こえ方まで変わるのか

というところですね。

そこで今回はAppleのUSB DACを比較基準として、性格の異なる5種類のイヤホンでZ1との違いを測定しました。

比較したのは以下の5機種です。

  • Binary Acoustics EP321 MEMS
  • PadSmith
  • ZiiGaat Arete2
  • final VR3000
  • SIMGOT EM6L

機種ごとに変化の出方はかなり違いました。

一方で、5機種すべてに共通した変化も確認できています。

この記事では、Z1によってFPSでの聞こえ方がどう変化するのか、Apple USB DACとの比較を中心に見ていきます。

Z1は通常版の黒と特別版の銀の2種類ありますが、今回は特別版を検証していきます

またZ1のフィルターはデフォルトのF0(最も癖のないモード)で検証しています。

動画版では、音の傾向マップや各イヤホンの変化を画面で見ながら分かりやすく紹介しています。あわせてチェックしてみてください。

今回のDACはこちら。


製品スペック

項目内容
製品名DOUK AUDIO X GD LAB Z1
価格30,347円 (Amazon 2026年8月24日時点)
DACチップESS9039Q2M
オーディオ入力USB Type-C / 光デジタル / AUX / マイク(3.5mm / XLR)
ヘッドホン出力3.5mm(300mW / 32Ω) / 4.4mmバランス(430mW / 32Ω)
最大サンプリングレートPC USB:PCM 48kHz / 16bit
光デジタル:PCM 192kHz / 24bit
周波数特性20Hz~20kHz(±0.5dB)
THD+N / SNR0.001% / ≥110dB
推奨ヘッドホンインピーダンス16~300Ω
EQ3バンド物理EQ
低音:±10dB / 高音・中音:±6dB
デジタルフィルター8種類
ファンタム電源48V対応
機能ミキシング / マイクミュート対応
(USBモード)
オペアンプ交換対応
USB対応OSWindows / macOS / Linux / Android / iOS

ゲーム向けDACとして特徴的なのは、単にイヤホンを鳴らすだけではなく、

  • 3.5mm / 4.4mmの両方に対応
  • 3バンドEQを物理ノブで調整可能
  • 8種類のデジタルフィルター
  • マイク入力とミキシング機能
  • XLRマイクと48Vファンタム電源
  • オペアンプ交換

まで1台にまとめている点です。

特にFPS用途では、イヤホン側だけでなくDAC側でも音のバランスや鳴り方を調整できるため、一般的なUSB DACよりも調整幅の広い製品になっています。

なお、USB接続時の最大サンプリングレートは48kHz / 16bitです。

数字だけを見るとオーディオ向けDACとしては控えめですが、FPSやゲーム用途では48kHzが一般的なので、今回の検証ではここを大きなデメリットとは考えていません。

一方、光デジタル入力では192kHz / 24bitまで対応しています。

Z1で一番共通していたのは「音像の省スペース化」

先に今回の結論から。

5機種を比較した中で、Z1にもっとも一貫して見られたのは、

音像がコンパクトになる

でした。

今回測定した5機種すべてで、Apple USB DACよりZ1のほうが音像の省スペース側へ移動しています。

ここでいう省スペース化は、音量が小さくなるという意味ではありません。

たとえば1つの足音が鳴ったときに、その音が空間の中で広めの範囲を使うのか、それとも小さな範囲にまとまるのか。

その違いです。

Z1では後者へ動く機種が多く、

1音あたりの占有範囲を小さくまとめる方向

が今回の5機種では共通していました。

個人的にZ1を使ったとき、Apple USB DACより少し競技FPS寄りに感じた理由のひとつも、このあたりにありそうです。


音の傾向マップでは5機種中4機種が右上方向へ変化

FPSでの聞こえ方を2次元で表した音の傾向マップでも、ある程度共通した動きが確認できました。

音の傾向マップは、

  • 横方向:新しく入ってきた音への気づきやすさ
  • 縦方向:音が重なったときの混ざりにくさ

を見るための座標です。

数値が高いほど性能が高い、というものではありません。あくまで聞き方の違いです。

今回Apple USB DACからZ1へ変更すると、以下のように動きました。

イヤホンZ1への変更による音の傾向マップの動き
EP321 MEMS右上方向
PadSmith右上方向
Arete2右上方向
VR3000やや右下方向
EM6L小さく右上方向

5機種中4機種が右上方向へ。

つまり今回の比較では、

新しく入ってきた音へ反応する方向と、音が重なったときに整理して聞く方向

へ変化する機種が多くなっています。

ただし、右上だから優れているという意味ではありません。

太めに残る足音を手がかりに敵を追いたい場合と、1音ずつコンパクトに整理して次の情報へ意識を移したい場合では、合う方向が違います。

音の傾向マップは性能ランキングではなく、FPSで情報をどう受け取りやすいかを見る座標として考えてください。


なぜ競技FPS寄りに感じやすいのか

5機種で共通した省スペース方向への変化は、FPSでは比較的分かりやすく影響します。

Apple USB DACでは1つの音が少し広めに残っていたものが、Z1では小さな範囲にまとまる。

すると、前に鳴った音が使っている空間が減り、別方向から新しい音が入ってきたときに意識を切り替えやすくなる場合があります。

たとえば、

  • 銃声のあとに入ってくる足音
  • 複数人が動いている場面での別方向の移動音
  • 環境音の中へ新しく入ってくる小さな音

こうした場面ですね。

Z1で音そのものが増えるわけではありません。

どちらかというと、

同じ情報をどう配置して聞かせるかが変わる

という印象です。

これが、Z1を使ったときに競技FPS寄りの聞こえ方へ変化したと感じやすかった理由だと考えています。


Z1はすべてのイヤホンを高速化するDACではない

ここは今回の比較でかなり重要でした。

最初に一部のイヤホンだけを測定した段階では、Z1は音の立ち上がりを速くして、前の音も早く収束させる高速化DACにも見えました。

実際、EP321 MEMSやVR3000では、その方向への変化が比較的大きく出ています。

ところが5機種まで増やすと、同じ傾向には揃いません。

特にEM6LはApple USB DACの時点ですでに音の立ち上がりが速い位置にあり、Z1ではむしろ少しマイルド側へ移動しました。

音が消えていく速さについても、大きな変化ではありません。

そのため、

Z1=すべてのイヤホンを高速化するDAC

とは考えにくいです。

今回の結果だけを見るなら、

イヤホンが持っている時間的な鳴り方を、よりコンパクトな方向へ組み替える

と捉えたほうが全体像には合っています。


イヤホン別に見るZ1の変化

Binary Acoustics EP321 MEMS

項目変化
音像の省スペース大きく省スペース側へ
立ち上がり反応側へ
前半の収束早めに収束する側へ
芯の保持やや保持側へ
方向の手がかり位置が変化
遠距離音気づき側へ
移動音追いやすい側へ
特に大きかったのは、音像の省スペース化と前半の収束です。
一方で、EP321 MEMSが元から持っている帯域の住み分けやレイヤー構造は比較的維持されており、元の情報整理能力を残したまま1音のまとまり方が変化しています。

EP321 MEMSは、今回Z1による変化が特に分かりやすかった機種です。

Apple USB DACでは、足音や接触音にある程度の厚みを持たせつつ、音の種類を聞き分けたり、移動音の流れを追ったりする方向。

EP321 MEMSらしいレイヤー構造を使って状況を読むタイプです。

Z1へ変更すると、音像が大きく省スペース側へ移動。

前の音についても早めに収束する方向へ変わりました。

一方で、EP321 MEMSが持っている音の住み分けやレイヤー構造そのものは大きく崩れていません。

つまり、

EP321 MEMSらしい音種判別や移動音の読解を残しながら、1音あたりの占有範囲をかなり小さくする

という変化です。

遠距離音や方向を判断するときに使う情報の位置も大きく動いており、今回の5機種ではZ1による変化を特に感じやすい組み合わせでした。


PadSmith

項目変化
音像の省スペースわずかに省スペース側へ
立ち上がり反応側へ
前半の収束やや早い側へ
芯の保持保持側へ
方向の手がかり小さく変化
遠距離音大きな変化なし
移動音わずかに追いやすい側へ
全体はコンパクトな方向へ動きますが、中域付近の残り方まで一律に変わるわけではなく、元から持っている癖も残っています。

PadSmithはZ1による変化は比較的小さめです。

Apple USB DACでは、音を少し長めにつなげながら、柔らかさや響きを残す方向。

Z1では前の音がまとまる方向へ動き、音の傾向マップも右上側へ移動しました。

ただし、PadSmithが元から持っている中域付近の残り方まで完全になくなるわけではありません。

全体としては整理方向へ変わりながら、

特定の帯域にはPadSmithらしい残り方も維持される

という形です。

Z1へ変更すれば、イヤホンが元から持っている癖をすべて消してくれるわけではありません。

むしろ元の特徴を残しながら、全体の時間的なまとまり方が変わる例として分かりやすいですね。


ZiiGaat Arete2

項目変化
音像の省スペース省スペース側へ
立ち上がりやや反応側へ
前半の収束やや早い側へ
芯の保持やや短い側へ
方向の手がかり大きな変化なし
遠距離音やや別方向へ
レイヤー構造ほぼ変化なし
移動音ほぼ変化なし
Arete2で特徴的なのは、Z1へ変更してもレイヤー構造や移動音の追い方がほとんど変わらない点です。
つまり、Arete2らしい「流れを読む」性格を維持したまま、音像だけがコンパクトな方向へ動いています。

Arete2は、Z1へ変更しても元の性格が比較的残りました。

Apple USB DACでもZ1でも、音を1つずつ点として拾うより、

敵の移動を流れとして追う

というArete2らしい方向はほぼ共通しています。

音のレイヤー構造も大きくは変わっていません。

一方、1音が占める範囲はZ1のほうがかなりコンパクト。

音の傾向マップも右上方向へ移動しました。

そのためArete2では、

移動音を流れとして読む性格を維持しながら、1音あたりの占有範囲を小さくする

という変化になっています。

ただし、遠距離の小さな音を点として拾う方向へ強く変わったわけではありません。

Z1がArete2へ別の能力を加えるというより、

Arete2が元から持っている情報を、少し違う配置で聞かせる

という表現のほうが近いでしょう。


final VR3000

項目変化
音像の省スペース明確に省スペース側へ
立ち上がり反応側へ
前半の収束早い側へ
芯の保持短い側へ
足音の存在感控えめな側へ
遠距離音気づき側へ
方向の手がかり別の位置へ変化
VR3000では、今回の5機種の中でも情報の取り方が大きく変わっています。
Apple USB DACでは残った芯や存在感を手がかりにしやすい一方、Z1では音像を小さくまとめ、次の音へ意識を移す方向へ変化しています。

VR3000は今回かなり面白い変化を見せました。

Apple USB DACでは、音の芯が比較的長く残り、足音の厚みや存在感も大きめ。

近〜中距離では、細かな音を次々拾うというより、

ある程度太く残っている音を手がかりに敵の存在を追う

方向です。

Z1では、この芯が短い方向へ変化。

音像も省スペース側へ動き、音の出始めについても反応側へ移動しました。

ただし、音の傾向マップでは他の4機種と違い、右上ではなく少し右下方向です。

つまりVR3000では、

Apple USB DACの

残っている芯を使って敵を追う聞き方

から、

Z1の

1つの音を早めにまとめ、次の情報へ意識を移す聞き方

へ変化しています。

単純に競技向けへ変わったというより、競技中に使う手がかりそのものが変化した例と見るのが分かりやすいと思います。


SIMGOT EM6L

項目変化
音像の省スペースさらに省スペース側へ
立ち上がりややマイルド側へ
前半の収束ほぼ同程度
芯の保持保持側へ
帯域の役割分担別の位置へ変化
遠距離音やや別方向へ
移動音小さく変化
EM6LはApple USB DACの時点ですでに音像がコンパクトで、前の音も引きやすい位置にあります。
そのためZ1でさらに高速化するのではなく、元から競技寄りの構造の中で情報のまとまり方が少し変化する結果になりました。

EM6Lは今回の検証で重要な存在です。

Apple USB DACの時点ですでに音像がかなりコンパクトで、前の音も早めに引く方向。

新しく入ってくる音へ意識を向けやすく、もともと反応・整理型に近いイヤホンです。

そのためZ1へ変更しても、音の傾向マップの移動量は小さめでした。

音の立ち上がりについては、Z1のほうが少しマイルド側へ移動しています。

その一方で、音の芯の残り方や省スペース性、音域ごとのまとまり方は別の位置へ変化しました。

つまり、

元から競技FPS寄りの聞こえ方を持っているイヤホンでは、Z1による変化も比較的小さくなる場合がある

ということですね。

EM6Lの結果があることで、Z1を単純な高速化DACとは考えにくくなりました。


5機種を比べるとZ1の特徴が見えてくる

ここまでの違いを簡単に整理すると、次のようになります。

イヤホンZ1で目立った変化
EP321 MEMS音像が大きくコンパクト化し、反応・整理型方向へ変化
PadSmith元の余韻を残しながら全体は整理方向へ
Arete2移動音を追う性格を維持しながら省スペース化
VR3000太い芯を使う聞き方から次の情報へ移る聞き方へ
EM6L元から競技寄りのため変化は比較的小さめ

重要なのは、

Z1へつないだからといって、5機種が同じようなイヤホンになるわけではない

という点です。

Arete2はArete2らしい移動音の読み方が残っていますし、EP321 MEMSも音種判別やレイヤー構造を維持しています。

EM6Lも元から持っている反応・整理型の方向は大きく変わりません。

そのうえで、

  • 1音が占める範囲
  • 音の芯が残る時間
  • 前の音から次の音へ移る過程

といった部分が変化しています。

このあたりが、今回の比較から見えたZ1の特徴です。


Z1をおすすめしやすい人

今回確認できた変化から考えると、Z1をおすすめしやすいのは次のような人です。

  • 音が重なったときに1音ずつ小さく整理してほしい
  • 前の音を長く追うより次の情報へ意識を移したい
  • 足音の太さより情報整理を重視したい
  • FPSで反応・整理型の聞こえ方を好む
  • 手持ちのイヤホンに少し太さや余韻を感じている

特に、元のイヤホンにある程度の厚みや余韻がある場合は、Z1へ変更したときの違いを感じやすい可能性があります。

逆に、EM6LのようにApple USB DACの時点ですでに音像がかなりコンパクトな機種では、変化は比較的小さめでした。


音楽用途では好みが分かれやすい

FPS以外の音楽用途でも、今回確認できた違いは関係してきます。

FPSでは、音像の省スペース化や音が収束する過程の変化が、情報整理として働きやすい部分があります。

一方で音楽の場合、余韻や厚みが残ること自体が魅力になる場合もあります。

たとえば、

  • 楽器同士の自然なつながり
  • 音の厚み
  • 響きの残り方
  • ボーカルや楽器の存在感

こうした部分ですね。

そのため、

FPSではZ1のほうが好みだけれど、音楽ではApple USB DACのほうが好み

というケースがあっても不思議ではありません。

ここも性能差として考えるより、音の作り方の違いとして見るのがよさそうです。


まとめ:Z1はFPSでの「情報の取り方」を変えるDAC

今回Apple USB DACを比較基準として、5種類のイヤホンでZ1との違いを確認しました。

なお、今回確認したのは5種類のイヤホンでの変化です。すべてのイヤホンで同じように変化するとは限りません。

まとめると、Z1は、

FPS性能を一律に変えるDACではなく、イヤホンの音像や鳴り方をコンパクトな方向へ変化させやすいDAC

と考えられます。

今回の比較では、Z1は反応・整理型寄りの聞こえ方へ変化させやすい傾向が見られました。FPSで音をコンパクトに整理して聞きたい方には、相性のよいDACだと思います

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