TRN MT5 レビュー|低価格イヤホンはFPSで使える?足音・定位・分離をチェック

こんにちは、ハッサンです。

今回はTRNから発売されている低価格イヤホン「MT5」を紹介します。

低価格帯なのにFPS向けとの評判が高い本機の実力を検証してみました。

動画では音の可視化ツールを見ながら、FPS向けの評価を中心に解説しています。この記事では、音楽用途での印象や帯域ごとの評価もあわせて補足します。

今回のイヤホンはこちら。


付属品(パッケージ内容)

カテゴリ内容物
イヤホンケース付属なし
イヤーピースTRN T-EAR Tips Mサイズ、標準シリコンイヤーピース S/Lサイズの計3ペア
プラグ3.5mm シングルエンド

付属品はかなりシンプルです。

ケースは付属しません。

イヤーピースは、TRN T-EAR TipsのMサイズと、標準シリコンイヤーピースのS/Lサイズが付いてきます。合計3ペアですね。

この価格帯なので、付属品に豪華さを求めるイヤホンではありません。必要最低限のものが入っている、という印象です。

ただ、イヤーピースの相性で低音や装着感が変わりやすいタイプなので、付属品でしっくり来ない場合は、別のイヤーピースを試しても良いと思います。


製品スペック

項目仕様詳細
参考価格1,650円 (Amazon 2026年6月29日時点)
ドライバー構成10mm LCP振動板 ダイナミックドライバー 1基
インピーダンス32 Ω
感度112 dB
再生周波数帯域20Hz ~ 20000Hz

スペックだけを見ると、かなりシンプルな1DDイヤホンです。

派手な多ドライバー構成ではありませんが、10mmのLCP振動板を採用しているので、低価格帯としては真面目な作りだと思います。


駆動のしやすさ

特別にパワーのあるアンプを用意しなくても、PCやスマホ、ドングルDACに直接つなげば十分に使えると思います。

「鳴らしにくいからアンプ必須」というタイプではありません。

もちろん、上流を少し整えると音の見通しや余韻の出方は変わる可能性がありますが、基本的には気軽に使えるイヤホンですね。


ビルドクオリティと装着感

外装の質感

MT5の外装は、鏡面仕上げのフルメタルボディです。

低価格のイヤホンとして考えると、見た目の質感はかなり良いと思います。

手に持ったときの重厚感もあり、プラスチック筐体の安っぽさはありません。

「この価格でここまでメタル感を出してくるのか」と少し驚く部分です。

ただし、鏡面仕上げなので指紋や皮脂は目立ちやすいです。

傷も付きやすそうなので、見た目をきれいに保ちたい人は少し注意した方が良いでしょう。

まあ、この価格帯なので神経質になりすぎる必要はないと思いますが、ピカピカ系の筐体が苦手な人は気になるかもしれません。

FPS視点での装着感

装着感はかなり良いです。

本体は小ぶりで、耳に当たる部分も角が少ないため、収まりは良好です。

FPSで長時間使う場合、音質以上に「耳が痛くならないか」はかなり重要です。その点で、MT5は扱いやすい形をしていると思います。

激しいマウス操作をしても、筐体が大きく邪魔になる感じは少なめです。

ただし、ノズルは少し短めです。

人によっては付属イヤーピースだと浅く感じたり、低音の出方が安定しにくい可能性があります。

もし装着がしっくり来ない場合は、イヤーピースを変えてみるのがおすすめです。

低価格イヤホンではありますが、装着が合えばかなり快適に使えるタイプだと思います。

イヤホン属性プロファイル


帯域バランス

聴感上の聞こえ方:ドンシャリ基調でやや寒色寄り

TRN MT5は、低域と高域の両方が少し前に出るタイプです。

中域が完全に引っ込むわけではありませんが、全体の形としてはフラットというより、軽くメリハリを付けたドンシャリ寄り。低域は量だけでなく、音が消えるまでの余韻が少し長めなので、数字で見るよりも下側の存在感が出やすい印象です。

高域は4kHz〜8kHzあたりのまとまりが良く、輪郭や細かい描き込みが見えやすい方向。なので、聴いた瞬間の印象としては「少しクール」「ちょっと上が見える」と感じやすいかもしれません。中高域に集まる足音や細かい環境音も、低域に完全に覆われるというより、比較的スッと耳に入りやすい場面があります。

ただし、いわゆる寒色バキバキ系ではありません。TRN Conchのように寒色の輪郭を前へ強く押し出す方向というより、MT5は少しマイルドにまとまります。中域の密度と低域の面積感があるため、冷たく細いだけの音にはなりにくいです。

形状軸:ドンシャリ基調(やや端域寄り)

形状としては、低域・高域が中域より少し前に出るドンシャリ基調です。

極端なV字ではなく、価格帯を考えると分かりやすくメリハリを付けた音作り、という表現がしっくりきます。


音の硬さ

  • 低域: やや柔らかめ。80〜160Hzあたりの引きがゆっくりで、低音の打感には少し丸みがあります。芯は崩れにくいので、だらしなく膨らむ低音ではありません。量感で前へ押す低音というより、沈み込みと下支えを出しつつ、中心は意外と崩れにくい低音です。ただ、硬くスパッと切れる低音というより、厚みと沈み込みを伴う低音です
  • 中域: 柔らかめ。630Hz〜2000Hzあたりで音の出方が丸く、1kHz・2kHz付近では少し揺れも出ます。声や楽器の骨格は見えますが、輪郭は少し滲みやすい印象。全体の中では中域が一番ソフトに感じやすい部分です
  • 高域: 標準〜やや整いやすい。4kHz・8kHz付近は安定しており、輪郭はそれなりに保たれます。ただし最高域の立ち上がりは少し丸め。硬質にカチッと切れるというより、描き込みが整って届くタイプです

音の立ち上がり

  • 低域: マイルド。低音の入りは少し溜めがあります。タイトに感じる場面があるとしても、それはスピードで切っているというより、芯が崩れにくいことによるタイトさです
  • 中域: マイルド。630Hz〜2000Hzあたりで出だしが丸く、音が一歩引いてから出てくるような印象になりやすいです
  • 高域: 普通〜やや整いやすい。高い音の出方は乱れにくいですが、初動そのものが速いタイプではありません。鋭く刺さるというより、迷わず整って届く感じです

全体として、音の立ち上がりはやや控えめです。

「キレがある」と感じる部分があるとすれば、高域の量感と描き込みの見えやすさが大きいでしょう。実際の出だしは鋭いタイプではないので、ここは少し分けて考えた方が良さそうです。


実体感の強さ

実体感の強さは普通です。

音の芯は中くらいの長さですが、崩れにくく、密度もそこそこあります。

中域にも厚みがあるため、音像が細くなりすぎる感じは少ないです。低域の下支えもあるので、全体として存在感はちゃんとあります。

ただ、低域の打撃が鋭く前へ飛んでくるタイプではありません。ドンッと瞬間的に押し出す迫力というより、低域の面積感、中域の密度、高域の輪郭が合わさって存在感を作るタイプです。

ボーカルは近めに感じやすいですが、透明感でスッと前に出るというより、骨格と密度で存在をつかみやすい聞こえ方ですね。


音の抜け

  • 低域: 響き寄り。80〜160Hzあたりの引きが遅く、低域の気配が少し残ります。爆発音やキックの後に、下側がふわっと居座るような感覚が出やすいです
  • 中域: 響き寄りでやや詰まりやすい。余韻の引きは控えめで、1kHz・2kHz付近では揺れながら残る傾向があります。中域の背景は少し濃くなりやすいです
  • 高域: やや響き残りあり。5kHz付近で高域の余韻が少し残りやすく、薄いザラつきとして感じる場面があります。ただし空気感はあるので、完全に詰まるタイプではありません

全体としては、スカッと抜ける音ではありません。

音が消えた後に少し気配が残るので、静けさを作るより、音で空間を満たす方向のイヤホンです。


音場

音場は普通くらいです。

前後差の手がかりは比較的見えやすく、音が全部手前に固まるタイプではありません。

ただし、余韻が残りやすいため、空間の透明度や余白感は控えめです。広いというより、「距離差は感じられるけど、音の気配が残りやすい空間」という印象。

横方向や奥行きの広がりを感じる場面はありますが、スカッと抜けたクリアな音場ではありません。特に前方へ少し奥行きが出るような見え方があり、音が全部平面に並ぶ感じは薄め。音の存在感が残る中で、距離の違いをそこそこ見せてくれるタイプです。


声の聞き取りやすさ

やや際立ち寄り(ただし輪郭に揺れあり)。

声の中心になる帯域は少し前に出やすく、声の位置や骨格はつかみやすいです。

ただし、1kHz・2kHz付近で少し滲みが出ます。なので、声がハッキリ前に出るというより、「位置は分かるけど輪郭は少し柔らかい」という聞こえ方に近いです。

FPSのボイスチャットでは方向感をつかみやすい一方、細かい子音やニュアンスは少し曖昧になる場面があります。音楽ではボーカルが近めに感じやすいですが、透明感を強く楽しむタイプではありません。


耳への刺激

  • 刺さり: 弱め〜普通。刺激帯域は標準的で、強く刺さるタイプではありません。4kHz・8kHzは安定して届くので、存在感はあります
  • サ行・歯擦音: やや立ちやすい傾向。高域の上側が少し前に出るため、サ行が少し目立つ場面があります
  • 押し出しの強さ: 弱め。初動が速いタイプではなく、音が勢いよく飛んでくる感じは控えめです
  • 高域の荒れ・ザラつき: やや気になる可能性。5kHz付近にわずかな揺れと残り方があり、音源や音量によっては細かいザラつきとして感じることがあります
  • 長時間使用: やや疲れやすい可能性。刺さりが強いイヤホンではありませんが、余韻の残り方や高域の細かいザラつきが、長時間ではじわじわ効いてくるかもしれません

帯域評価

低域

タイプ:面積感のある沈み込み型

低域は、下の方まで存在感が出やすいタイプです。

サブベース側の沈み込みがあり、量感もやや多め。低音が軽いイヤホンではありません。80〜160Hzあたりの引きが少し遅く、音が鳴った後に下側の気配が残ります。

一方で、芯の収束は悪くありません。ここが面白いところで、低域は遅めに残るのに、芯そのものは崩れにくいです。なので「低音がタイト」と感じる場面はあります。ただし、それはスピードでスパッと切るタイトさではなく、重さの中で芯が崩れにくいタイプのタイトさです。

弱点は、低域の余韻と中低域の残りが重なったとき。爆発音や低い足音の後に、下側が少し居座ることがあります。FPSでは足音の輪郭より圧が先に来る場面があり、近距離の低い足音は距離感が少し曖昧になるかもしれません。

音楽ではベースやキックに厚みが出やすく、ウォームな聴き方には合いやすいです。


中域

タイプ:密度型(局所揺れあり)

中域は密度があります。

声や楽器の骨格が見えやすく、ボーカルも比較的近めに感じられます。音像が薄くならず、中心にしっかり中身があるような聞こえ方です。

ただし、1kHz〜2kHz付近では音の消え方に少し揺れがあります。輪郭がピシッと固定されるというより、少し柔らかく滲む印象。立ち上がりも630Hz〜2kHzあたりで丸めなので、音の出だしはやや穏やかです。

癖が少ない中域というより、「骨格はつかみやすいけど、輪郭には少し柔らかさがある中域」と考えると分かりやすいです。

FPSでは中域の実体感が出やすい反面、足音の材質感や方向の確信度は少しぼやける場面があります。音楽ではボーカルの位置は分かりやすいですが、息遣いや弦の細かい質感は少し滲みやすいでしょう。


高域

タイプ:描き込み型(穏やか寄り)

高域は、細かい描き込みが見えやすいタイプです。

5kHz以上の存在感が少しあり、4kHz・8kHz付近のまとまりも良好。シンバルや細かい音の輪郭が、価格帯のわりに見えやすい印象です。

ただし、硬質にスパッと切れる高域ではありません。最高域の立ち上がりは少し丸く、刺さりとして強く出るタイプでもないです。エッジが突き刺さるというより、描き込みが落ち着いて届く方向ですね。

一方で、5kHz付近にはわずかな揺れと残り方があります。音源や音量によっては、これが細かいザラつきやギラつきとして出る可能性があります。高域の量が多いからギラつくというより、描き込みの見えやすさに局所的な揺れが重なる感じです。

音楽ではシンバルや弦の上側が少し豊かに残りやすく、華やかさと落ち着きが同居する高域です。


音質まとめ

TRN MT5は、低域に沈み込みと面積感があり、中域には密度、高域には描き込みがあるイヤホンです。

全体としてはドンシャリ基調で、色味はやや寒色寄り。ただし、低域と中域に厚みがあるため、細く冷たいだけの音にはなりません。

低域はスピードで切るタイプではなく、芯が崩れにくいことでタイトに感じるタイプ。高域も硬質に切れるというより、描き込みが整って見えやすい方向です。

音楽用途では、ベース・キック・ボーカルに存在感が出やすく、全体的に音が満たされる聴き心地。速い曲や音数の多い曲では、余韻と中域の揺れによって少し重なりを感じる場面もあります。

FPSでの聞こえ方

FPS総合評価

項目評価
足音の存在感★★★★☆
分離・音種判別★★★☆☆
定位感・方向感★★★☆☆
遠距離索敵★★☆☆☆

MT5は、足音の存在感が比較的出やすいイヤホンです。

足音を高域で細く浮かせるというより、音が鳴ったあとに芯が残り、近距離〜中距離の足音や接触音に少し厚みが出ます。なので、近くで敵が動いたときに「今、近くで何か鳴った」と気づきやすい方向です。

一方で、音がすぐ消えて背景がスッと空くタイプではありません。

低域〜中域の余韻が少し残るため、前の音が消え切る前に次の音が重なる場面があります。遠くの小さい足音や、混戦時の細かい音を全部拾う用途では、少し苦手に感じることがあるでしょう。

音の傾向としては、低い音に厚みがあり、高い音の手がかりも少し見えます。ただし、音の出だしが鋭く飛び込んでくるイヤホンではありません。

MT5は、足音を細い線でパシッと拾うというより、鳴ったあとに残る芯と厚みで、近〜中距離の音に気づきやすいイヤホンです。


足音の存在感:細い輪郭ではなく、芯と厚みで掴むタイプ

MT5の足音は、細く鋭く出るタイプではありません。

足音が鳴った瞬間に、細い線としてパシッと飛び込んでくるというより、鳴ったあとに芯が残り、その周りに少し厚みが付く聞こえ方です。

近距離〜中距離では、この特徴がかなり効きます。

足音や接触音が近くで鳴ったときに、音が軽くなりすぎず、「そこに音がある」という感覚を掴みやすいです。低域にも少し下支えがあるので、足音がスカスカに感じにくいところもあります。

ただし、低音がドンッと瞬間的に前へ飛んでくるタイプではありません。

低域は少し沈み込みがあり、音が消えるまでの気配も残ります。迫力で押すというより、面積感と下支えで存在感を作るタイプですね。

高域側には少し描き込みがあり、足音の輪郭や細かい音が見えやすい場面もあります。ただ、高域でバキッと切るイヤホンではないため、競技特化の鋭さを求める人には少し大人しく感じるかもしれません。

MT5は、足音を鋭く切り出すイヤホンではなく、近〜中距離の足音を芯と厚みで掴むイヤホンです。


分離・音種判別:芯は残るが、背景はスッと空きにくい

分離項目説明評価
空間音像が小さくまとまるか★★★☆☆
時間前の音が早く消えるか★★☆☆☆
帯域足音・銃声・環境音が帯域で分かれるか★★★☆☆
重なった後も中心線が残るか★★★★☆
音量階層大きい音の裏の小さい音が分かるか★★☆☆☆

MT5の分離感は、音を細かくバラバラにするタイプではありません。

一番分かりやすいのは、音の芯が比較的残りやすいことです。音が重なったあとでも、完全に塊になって消えるというより、中心の手がかりはある程度残ります。

ここはMT5の良いところです。

近距離〜中距離では、足音や接触音の存在を見失いにくいです。音が細く切れるわけではありませんが、「近くで鳴った音の中心」は比較的掴みやすいですね。

一方で、時間の分離と音量階層の分離は控えめです。

前の音がすぐ消えて背景が空くタイプではなく、低域〜中域の余韻が少し残ります。大きい音の裏にある小さい足音や環境音は、やや背景に馴染みやすいです。

帯域の分離は普通くらい。

低域と高域に少しメリハリがあるので、足音・銃声・環境音の違いを判断しやすい場面はあります。ただし、帯域ごとの住み分けがかなり明確というより、メリハリによって分かりやすくなる場面がある、というくらいです。

MT5は、混戦で全部の音をスパッと分解するイヤホンではありません。重なったあとも音の芯が残りやすく、近くで鳴った音を見失いにくいイヤホンです。


空間の分離:広がりはあるが、透明な空間ではない

MT5の空間分離は普通くらいです。

音場は狭いタイプではありません。前後差の手がかりもある程度あり、音が全部手前に固まる感じは少ないです。

ただし、スカッと抜けた広い空間というより、音の気配が少し残る空間です。

音の芯だけが小さく点でまとまるというより、少し面を持って残るような見え方になります。そのため、近距離〜中距離の音は存在として掴みやすいです。

一方で、細かい音を小さい点として分ける能力は強くありません。

大まかに言うと、空間的な分離は普通。広がりはあるけど、透明な空間ではなく、音の気配が少し残るタイプです。

複数人の足音を小さな点として分けたい場面では、もう少し音像がコンパクトなイヤホンの方が向いています。


時間の分離:前の音が残りやすく、背景はやや濃い

時間の分離は控えめです。

MT5は、音が早く消えるタイプではありません。芯が比較的残り、低域〜中域の余韻も少し残ります。

そのため、前の音が消え切る前に次の音が入ってくる場面では、背景が少し濃くなります。

これは、近距離の足音を存在として掴みやすくする反面、連続した足音や銃声のあとに、細かい音が見えにくくなる原因にもなります。

特に、爆発音や低い環境音が鳴ったあとに、下側の気配が少し残る場面があります。

なので、時間の分離は星2くらいです。

音が短く切れて、次の音にすぐスペースを空けるイヤホンではありません。混戦で細かい音を全部追いたい人には、少し重く感じる可能性があります。


音の芯の分離:MT5の一番良いところ

MT5で一番良いところは、音の芯が比較的残りやすいことです。

音が重なったあとでも、完全に塊になって消えるというより、中心線がある程度残ります。近距離〜中距離では、足音や接触音の存在を掴みやすいです。

ただし、競技特化イヤホンのように、細い中心線でピンポイントに分けるタイプではありません。

芯は残りますが、その周りに低域〜中域の厚みもついてきます。なので、複数の足音を細い線で一本ずつ切り分けるというより、近くで鳴った音の中心を見失いにくい、という評価になります。

ここは派手な分離ではありません。

でも、低価格帯のイヤホンとして考えると、近距離〜中距離の音の中心を掴みやすいのは分かりやすい強みです。

MT5は、音の芯は残りやすい。ただし、細い線でピンポイントに分離するタイプではない。

この理解が一番しっくり来ます。


帯域の分離:低域と高域のメリハリで音種を判断する

帯域の分離は普通くらいです。

MT5は、低域と高域に少しメリハリがあります。低域には沈み込みと下支えがあり、高域には輪郭や描き込みがあります。

そのため、足音・銃声・環境音の違いは、ある程度判断しやすい場面があります。

ただし、帯域の住み分けがかなり綺麗に分かれているタイプではありません。

中域にも密度があり、低域の余韻も残るため、音が重なると背景は少し濃くなります。足音・銃声・環境音が、それぞれ明確に別レーンで鳴るような聞こえ方ではないです。

なので、帯域の分離は星3くらい。

音の種類は分かるけど、混戦で全部がスパッと分かれるタイプではありません。

FPSで使う場合は、音種を細かく分析するより、近くで鳴った音の中心と存在感を掴む使い方の方が合います。


音量階層の分離:奥の小さい音を強く浮かせるタイプではない

音量階層の分離は控えめです。

これは、近くで大きく鳴っている音と、その奥にある小さい足音や環境音を分けて聞けるかという話ですね。

MT5は、遠くの小さい音が強く前に出るタイプではありません。

近距離〜中距離の音には芯と存在感がありますが、そのぶん奥の小さい音は背景に馴染みやすいです。低域〜中域の余韻も残るので、大きい音の裏にある小さい足音は少し見えにくくなります。

一方で、この性質が必ず悪いわけではありません。

遠くの細かい音があまり前に出ないぶん、近〜中距離の音に意識を向けやすい場面があります。音数が多すぎて疲れやすい人には、むしろ分かりやすく感じるかもしれません。

MT5は、奥の小さい音を全部拾うタイプではなく、近くで鳴った音を安定して掴むタイプです。


定位感・方向感:細い点ではなく、芯と厚みで方向を掴む

項目評価
定位感★★★☆☆
方向感★★★☆☆

定位感と方向感は普通くらいです。

MT5は、音の中心は残りやすいです。ただし、音像が一点に細く固まるタイプではありません。

芯はあります。

ただ、その周りに低域〜中域の厚みや余韻がついてくるので、位置が細い点として固定される感じは弱いです。

そのため、近距離〜中距離で「このあたりにいる」という大まかな位置は掴みやすいです。

右か左か。近くで動いたか。このあたりの判断はしやすいですね。

一方で、角度をピンポイントで切るような定位ではありません。斜め前、斜め後ろ、細かい距離差まで正確に詰めるタイプではないと思います。

方向感も同じです。

MT5は、音の入口で方向を一瞬で決めるタイプではありません。ただ、音の芯が残りやすく、高域の輪郭もある程度見えるので、気づいた後の方向の手がかりは残りやすいです。

まとめると、MT5は方向の手がかりは残る。ただし、細い点で正確に固定するタイプではない。

定位と方向感を合わせた総合では星3くらいです。


距離感・遠距離音:近〜中距離優先で、遠距離微音は控えめ

項目評価
遠距離の微音検出★★☆☆☆
距離感★★★☆☆

遠距離音は控えめです。

MT5は、遠くの小さい音を細い点として拾うタイプではありません。

理由は、音の出だしが鋭いタイプではなく、低域〜中域の厚みと余韻も少し残るからです。遠距離の小さい足音は、細い点として前に出るより、背景に少し馴染みやすいです。

高域には少し描き込みがあります。

ただ、それだけで遠距離音を強く拾えるタイプではありません。遠くの小さい足音を点で拾う用途では、得意とは言いにくいです。

ただし、前後差がまったく出ないわけではありません。

音場は普通〜やや広めで、前後差の手がかりもある程度あります。近い音、少し離れた音、遠めの音。この段階差はある程度分かります。

ただ、遠くの微音を細く拾うというより、近〜中距離の音を優先して見せるタイプです。

遠距離の微音検出は星2。距離感そのものは星3くらいの評価になります。


移動音:細かい点ではなく、中心の残りで追うタイプ

MT5の移動音は、細かい点でカチカチ追うタイプではありません。

足音が右から左へ動くときに、ひとつひとつの足音を鋭く分解するというより、音の芯と厚みが残りながら動いていく感覚です。

近距離〜中距離では、この聞こえ方が分かりやすいです。

足音が軽く消えにくいので、敵が近くで動いたときの存在感は掴みやすいです。大まかな移動方向も追いやすい場面があります。

ただし、音が短く切れるタイプではないため、連続した足音を一歩ずつ細かく分解する用途では控えめです。

移動音は「点で追う」というより、「中心の残りで追う」方向です。

MT5は、近〜中距離の動きを存在感で追うイヤホン。遠くの小さい移動音を細かく拾い続けるタイプではありません。


FPSイヤホン最終結論

項目評価
足音の存在感★★★★☆
分離・音種判別★★★☆☆
定位感・方向感★★★☆☆
遠距離索敵★★☆☆☆

TRN MT5が向いているのは、近距離〜中距離の足音や接触音を、芯と厚みで安定して掴みたい人です。

FPS専用の鋭いイヤホンではありません。

足音を高域で細く浮かせたり、音の出だしで一瞬反応したりするタイプではないです。遠距離の微音を拾う上振れを狙うイヤホンでもありません。

ただ、音の芯が比較的残りやすく、低域にも下支えがあります

そのため、近距離〜中距離では足音や接触音が軽くなりすぎず、存在として掴みやすいです。FPSを始めたばかりの人や、細い高域だけで足音を拾うイヤホンが苦手な人には、分かりやすい方向だと思います。

分離・音種判別は普通くらいです。

音の芯は残りやすいですが、余韻も少し残るため、背景がスッと空くタイプではありません。混戦で細かい音を全部分解したい人には、少し物足りない可能性があります。

定位感・方向感も普通くらい。

右か左か、近くで動いたか、といった大まかな方向は掴みやすいです。ただし、細かい角度をピンポイントで詰めるタイプではありません。

遠距離索敵は控えめです。

遠くの小さい音を細い点として強く拾うイヤホンではなく、近〜中距離の音を優先して見せるタイプです。

MT5は、遠くの細い音を拾いにいくイヤホンではなく、近〜中距離の音を芯と厚みで安定して捉えるイヤホンです。


向いている人

  • 低価格でFPSにも使えるイヤホンを探している人
  • 近距離〜中距離の足音を掴みやすくしたい人
  • 細い高域だけで足音を拾うイヤホンが苦手な人
  • FPS初心者〜中級者で、まず近くの音に気づきたい人

向いていない人

  • 遠距離の微音を最優先で拾いたい人
  • 足音を高域で細く強調してほしい人
  • 定位をピンポイントで詰めたい人
  • 混戦で細かい音を全部分解したい人

音楽用途

厚みと少しクールな見え方を両立する、マイルド寄りの低価格イヤホン

MT5は、音楽用途でも低価格帯としては使いやすいイヤホンだと思います。

低域には少し沈み込みと厚みがあります。量だけで強く押すというより、下側に支えが残るタイプです。ベースやキックは軽くなりすぎず、少し面積感を持って鳴ります。

中域は密度があります。

ボーカルや楽器の骨格は見えやすく、音像が細くなりすぎる感じは少ないです。ただし、輪郭がカチッと固定されるというより、少し柔らかくつながる場面があります。

高域は少し描き込みがあります。

細かい音の輪郭や明るさは見えやすい場面がありますが、硬く鋭く切れるタイプではありません。少しクールに見えるけど、全体の当たり方はマイルド寄りです。

音楽では、低域の厚みと高域の見えやすさで、軽いドンシャリ気味に聴こえやすいです。

ただし、音がスカッと抜けるタイプではないので、背景の透明感や余白を重視する人には少し濃く感じるかもしれません。

MT5は、低価格で厚みのある音を楽しみつつ、FPSでも近〜中距離の足音を掴みたい人に合いやすいイヤホンです。


FPSでのまとめ

MT5は、初心者〜中級者が近〜中距離の音を安定して掴みたいときに使いやすいイヤホンです。

音の出だしが鋭いタイプではありませんが、鳴った後の芯は比較的残ります。低域にも沈み込みと下支えがあるので、足音や接触音が近くで鳴ったときに、存在として認識しやすいです。

遠距離の微音を細く拾うタイプではなく、背景がすぐ静かになるタイプでもないです。混戦で細かい音を全部分解したい人には、少し物足りないかもしれません。

ただ、低価格で近〜中距離の足音を掴みやすいイヤホンが欲しい人、細い高域だけで足音を拾うタイプが苦手な人には、MT5はかなり分かりやすい選択肢だと思います。

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