お絵描きに優れたAndroidタブレットとは?iPadとの比較など詳細に解説します!!

こんにちは、佐崎司です。

今回は(比較的)最近発売された『快適にお絵描きができるタブレット』について、比較していこうと思います。

数年以上もの間、日本市場は「ほぼ停滞していた」といっても過言では無い『Androidタブレット』事情。更に、その中でも局所的な需要といえる『お絵描き用途としてのタブレット』。それが最近になって日本市場にもハイスペックな新製品が投入され始めました。

ここ数年の間でもグローバル目線で見れば多少はそういった製品がありましたが、日本国内では入手に難があったり性能が心許ないものばかりでした。それを考えると、最近のAndroidタブレット市場は良い方向に進んでいてくれて喜ばしいところです。

参考程度に『iPad Pro11』や『iPad Pro12.9』についても触れておりますので、ご参考に頂ければ幸いです。

※今回の内容で取り上げるタブレット一覧
Galaxy Tab S8+
Xiaomi Pad 5
Lenovo P12Pro


※一部での参考比較対象
iPad Pro12.9(第5世代、2021)
iPad Pro11(第3世代、2021)

Amazonの「Fire HD 8(第10世代)」をお絵かき用途として評価した記事は以下になります▼

Android系タブレットのスペック比較

まず、今回の比較対象となる主要なタブレット3種について、基本的なスペックを紹介します。

機種名Galaxy Tab S8+Lenovo P12ProXiaomi Pad 5
SoCQualcomm SM8450 Snapdragon® 8 Gen 1Qualcomm SM8250-AC Snapdragon 870Qualcomm® Snapdragon™ 860
CPUクロック周波数Octa-core (1×3.00 GHz Cortex-X2 & 3×2.50 GHz Cortex-A710 & 4×1.80 GHz Cortex-A510)Octa-core (1×3.2 GHz Kryo 585 & 3×2.42 GHz Kryo 585 & 4×1.80 GHz Kryo 585)Octa-core (1×2.96 GHz Kryo 485 Gold & 3×2.42 GHz Kryo 485 Gold & 4×1.78 GHz Kryo 485 Silver)
CPU コア数888
GPUAdreno 730Adreno 650Adreno 640
ディスプレイメインディスプレイのサイズ12.412.611.0
メインディスプレイの解像度2800 x 17522560 x 16001,600 x 2,560
リフレッシュレート120 Hz対応120 Hz対応120 Hz対応
メインディスプレイの種類Super AMOLED(有機EL)AMOLED, HDR10+対応IPS LCD
対応ペンSペン(付属)Lenovo Precision Pen 3(付属)Xiaomi Smart Pen(別売)
ペンプロトコルWacom EMRMPP 2.0MPP 2.0?(※注意:実質的な独自仕様)
ペン筆圧409640964096
ペンボタン数112
カメラアウト13.0 MP + 6.0 MP13 MP1,300 万画素
インカメラ12.0 MP8 MP,800 万画素
スピーカーstereo speakers (4 speakers) Tuned by AKG(Dolby Atmos®に対応)JBL stereo speakers (4 speakers)(Dolby Atmos®に対応)4 スピーカー(Dolby Atmos®に対応)
3.5mm Audio jackxx
外部ストレージ対応MicroSD (最大1TB)MicroSD (最大1TB)x
ROM容量 (GB)128GB UFS 3.1256GB UFS 3.1128GB / 256GB UFS 3.1
RAM容量 (GB)8GB LPDDR58 GB  LPDDR56 GB LPDDR4X RAM
USBバージョンUSB 3.2 Gen 1USB 3.2 Gen2USB-C
位置情報GPS, Glonass, Beidou, Galileo, QZSSA-GPS, GLONASS, BDS
Wi-FiIEEE802.11 a/b/g/n/ac/axWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/6Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac
Bluetoothバージョン5.25.25.0
OSAndroid™ 12.0Android™ 11MIUI 12.5 for pad (Android™ 11ベース)
サイズと重量重量 (約g)567565g511 g
バッテリーバッテリー容量 (mAh, 標準)10090mAh10000mAh8,720 mAh

今回の趣旨である『お絵描きタブレット』という目的を考えると、このスペック項目はあまり大きな意味を成しません。後述もしていますが、今回の3機種は少なくとも『お絵描きアプリを動かす上で最低限のスペックは十分に備えている』といえるためです。

あと、要所で比較対象に挙げるiPad Pro系の詳細スペックには触れません。iPad Pro(2021)系は多くを語るまでもなく『M1チップを搭載したハイスペック機』です。スペックが良いのはもはや公然の事実でわざわざ語るのも野暮なレベルです。お絵描きをする人の観点でのみ重要な点で比較していきます。

『SoC』について

タブレットやスマートフォンの性能を語るで一番重要といえる要素は『SoC(:System on a Chip)』です。読み方としては『ソック』と言われる事が多いと思います。

『端末の動作に必要な処理の塊』という認識で良いです。パソコンでいうところの、CPUやGPUもSoCを構成する一要素です。

今回比較している3機種について、それぞれのSoCは以下の通りです。

機種名SoC
Galaxy Tab S8+Snapdragon 8 Gen 1
Lenovo P12ProSnapdragon 870
Xiaomi Pad 5Snapdragon 860

通常、よくある『Android機種比較レビュー』では、このSoCについて語ることが多いですが、今回の本題を考えるとそこまで重要な要素ではありません。

また、スペック表に記載のあるGPUについても、『同シリーズの上位SoCであればあるほど、自然と上位性能のGPUを内包している』為、過剰に意識をする必要もありません。

3機種ともSoCの中でも一番堅実に高性能かつアプリとの互換性が高いQualcomm(クアルコム)系であるのは良印象です。ペン性能を敢えて考慮しない場合、SoC性能においてはお絵描きの必要最低限の処理速度は十分に満たしていると言えます。

SoCの世代順としては高性能なものから順に『 8 Gen 1 >> 870 > 860』となります。上記3種はどれもハイエンド系のSoCのため、一番スペックが控え目な860であっても『原神』ぐらいのアプリであれば高品質な設定でも結構快適に動いてくれます。

個人的な判断基準ですが、『お絵描き用途』ですとQualcomm系のSoCの印象は以下のような感じです。

・835:そこそこ描けるけど、正直ちょっとキツイ
・845:及第点。本格的に描くときにはもうちょっとスペック欲しい
・855~:大きな不満は無くなる

そういう意味ではXaomi Pad 5は用途次第では価格当たりのコスパがダントツに良いです。

870は、ハイエンド系にしては『発熱控えめ』ということで、SoCに対して好印象な方が多いです。8 Gen 1については最近のSoCですが、発熱問題での動作安定性に若干の問題視がされている面があります。

特にGalaxy tab s8+を含むGalaxy系の上位機種では『ベンチマークアプリ以外で動作クロック(処理速度)をユーザーの知らない場所で抑えて熱暴走回避をしていた事(実質的なベンチマーク詐欺)』が問題になっていました。

もっとも現時点では、ユーザーが動作クロックの制御をどうするか判断して使用できるようになっています。実際、熱暴走を回避するために動作クロックを下げて使用しても動作面では十分快適なレベルであることは間違いないです。あくまで私見ですが、絵を描く観点において、この件(熱暴走)に関しては過剰に意識しなくても良いと思います。

RAMの世代について

パソコンの場合結構気になる要素ですが、今回に限っては強く意識する必要の無い項目です。

『Galaxy tab S8+』や『P12Pro』搭載のLPDDR5は『最大帯域幅6.4Gbps』、対する『Xiaomi Pad 5』に搭載されているLPDDR4Xは『最大帯域幅4.266Gps』です。

LPDDRの性能はどちらかというと体感しづらい要素です。カメラの連射性能や動画撮影、動画エンコードなどの処理の場合は露骨な差が生まれる可能性もありますが、お絵描きという観点においてはそこまで気にしなくても良いです(もっとも、clip studioで非常識的な大容量データを取り扱った場合、LPDDRの速度差をダイレクトに感じる可能性もありますが稀な状況です)。

結局のところSoCの性能が良くなければ、DDR側の性能に関係無くデバイスが低性能という事実に変わりはないです。

現時点で4X系RAMを使用している機種は『ちょっと性能控え目かな?』と察することのできる要素の一つ、程度に考えておきましょう。

誤解が無いように補足をしておきますが、一般的なAndroidタブレットの性能として考えると『Xiaomi Pad 5』の時点でも最上位帯に分類可能な機種です。現時点での『世界一ハイスペックなAndroidタブレット』が『Galaxy tab S8系』で、次点が『P12Pro』となります。

ただ、RAMの容量自体については、後ほど挙げる理由を考慮すると6GBではやや心許ないかも? というのが本音です。

解像度、画面サイズ、リフレッシュレートについて

機種名解像度(画面サイズ)
Galaxy Tab S8+2800 x 1752 (12.4inch)
Lenovo P12Pro2560 x 1600 (12.6inch)
Xiaomi Pad 51600 x 2560 (11.0inch)
※参考1:iPad Pro 12.9(第5世代、2021)2732 × 2048 (12.9inch)
※参考2:iPad Pro 11(第3世代、2021)2388 × 1668 (11inch)

各機種ともに、タブレットの中でも大型の部類です。

リフレッシュレート(秒間の画面表示の更新回数による滑らかさ)は上記5機種とも120Hzに対応しています。また解像度も各機種2.5Kレベルの高解像度のため、ppiも高く表示の綺麗さも利点といえます。

『表示の綺麗さ』と言うとiPad Pro 12.9にのみ採用されている『ミニLEDディスプレイ』が気になるところですが、その件については最後の方で別枠で説明しています。

一番重要な判断基準は『ペン性能』

『タブレット性能比較!』となると、最初に『それぞれの機種のスペックが~、SoCが~、RAMが~』という流れが普通だと思います。一応、その様式に則って最初に上記の説明にて簡単にピックアップしました。

ここまでの話題で「この機種はSoCが一番最新だなぁ」とか「熱暴走しなくて安定動作はこの機種だ」や、「リフレッシュレートが~」、「タッチ性能が~」、「フレームレートが~」等など……。端末に詳しい方程、そういった項目で気になる点が多かったと思います。

でもちょっと待ってください。今回の『一番の目的』は何だったでしょうか?

はい、今回の目的は『快適にお絵描きができるタブレット』です。

どれだけ高性能であっても、お買い得であってもペンが糞』では意味がありません

ということでここからが今回の本題です。

で、先に明言しておきますがペン性能については、今回はApple Pencilについては殆ど触れていません。『性能が良いのは周知の事実であること』と、『それでいてホバーの概念が存在しない(ホバー時に何も表示されない)やポインティング性能の評価基準が曖昧』なためです。

デジタイザ―ペンについて

各タブレットのペン性能に関する話を進める前に、まず『デジタイザーペン』の基本知識について知っておく必要があります。

ちなみに『デジタイザーペン』とは「特定のデバイスにのみ対応した、筆圧や傾き制御なども可能な専用ペンを意味します。

最近は『デジタイザ―』という言葉を見る機会が減り、『スタイラスペン』という言葉の方が目につくと思います。ただ、『スタイラスペン』の意味するところは『デジタイザ―ペン』よりもより幅広いものになります。

例えば、100均などで売っている『どんなスマホにも使えるペン(いわゆるタッチペン)』は『スタイラスペン(ポインティングデバイス)』といえますが『デジタイザ―ペン(専用ポインティングデバイス)』ではありません。

逆に、今回紹介するようなタブレットに対応したペンは『スタイラスペン』ともいえますし『デジタイザ―ペン』であるともいえます。

今回記事に挙げているタブレットに使用されている『デジタイザ―ペン』には、それぞれ使用されているプロトコル(ざっくり言うと規格)が決まっています。このプロトコルは『お絵描き可能なタブレット』を探す・語るうえで一番基本的な内容となります。この部分を知っていないとネット上での正確な情報収集さえ困難になってしまうため、このプロトコルの基本性質だけでも抑えておきましょう。

現在、抑えておくべきプロトコルの種類は『MPP 2.0』『Wacom AES』『Wacom EMR』の3種です。以下でそれぞでの基本的な情報を紹介いたします。

そもそも『MPP 2.0』って何?

まず、『MPP』という言葉は『Microsoft Pen Protocol』の略です。

MPP 2.0は、デジタイザーペンのプロトコルの一種です。

正直なところお絵描きをする人達には好かれていない(というか嫌われている)』プロトコルです。

「お絵描き可能なタブレットが発売するらしい!」という情報で盛り上がった後に「ペンはMPPらしい……」という情報で一気に盛り下がるのは、定番過ぎる流れです。

正式名称からわかる通り、主にMicrosoft社のSurface系の機種で利用されているのが一番有名だと思います。

元は、イスラエルのデジタルペンメーカーであるN-trig社のタッチスクリーン技術である『N-trig(エヌトリグ)』を買収したことにより生まれたプロトコルです。

その為、MPPの挙動は昔の『N-trig』の性質を色濃く残しています。

MPPについては『1.0』『1.5』『2.0』といった種類があるのですが、下位世代については現状認識しておく必要は無いため、今回は『2.0』について話を進めていきます。

絵を描く人にとって重要なMPP2.0の重要な性質は以下の2点です。

・画面へのファーストタッチ(接触した瞬間)に対するポインティング精度は優秀
ホバー性能がAESに比べありえないほど劣る
・お絵描きで悩ますジッターも標準装備でストレス不可避

入りのポインティング精度自体は良いです。下手な安物のAES対応製品よりはよっぽど優れていると思います。そのため、「ペンで画面にタッチして、操作したい」という目的であればも満足度は高いと思います。ただ、問題なのはホバー性能です。

ここで「『ホバー性能』? なんじゃそれ?」と思った方、お絵描き系用途でAndroidタブレットを購入する際には、購入前にぜひ以下を読んで注意し、自分に正しい製品を購入する判断にしてください。

既にSurface系の機種を持っている方であれば、これから説明する挙動にも心当たりがあるはずなので理解も早いと思います。

例えば『clip studio』を使って絵を描こうとしたとき、画面に触る前の時点(すなわち『画面の少し上でペン先が浮いている』状態)でも、描画領域にペンのポインタが表示されていると思います。そのポインタが実際にペンが画面に触れる瞬間まで、まぁ大抵ズレています。

ペン先が画面に接触した瞬間、ペンのポインタがペン先の位置までワープする挙動がほぼ常時発生します。そのためポインタを見て描くタイプの人にはMPPペンを利用して絵を描くことは、ストレスが溜まり過ぎてまず無理です。きっとタブレットをぶん投げたくなると思います(というか、私はなりました)。

MPP系のペンで絵をストレスを極力減らして描くコツは『ツールの『ペン系カーソル』表示を『なし』に設定する』ことです。

ペンを画面に接触させたときの始点はかなり優秀なため、iOS系の端末で絵を描く経験が多い人は、それなりに違和感無くお絵描きに使えるかもしれません。

とはいえ、MPPはジッター(実際に描画時の線のブレ)も機種によって個体差はあるものの、全体的に強めです。精密に丁寧にゆっくり描こうとするほど、逆にジッターが酷くなる傾向があるため、その辺も意識して『常に気持ち早めのストロークで、かつツール上での手振れ補正設定を可能な限り最大に近い値で』描くことを前提に使用した方が良いでしょう。

上記の内容からも『MPP系のペンで絵を描く場合、相応の問題点と向き合う前提で使用する必要があるんだな……』という理解をしましょう。

……と、ここまで書いている内容だけですと、MPPをボロクソに叩いているだけなので念のため補足をしておきます。MPPの本家とも言える『Surface系』の最新機種の場合、ジッターに関しては昔よりは改善されている印象です。下手な安価液タブよりはジッター自体は少ないと思います。

ただ、本家のSurfaceでも「ホバーでのポインタがズレる症状は標準装備しています。

そう考えるとApple pencilの仕様は賢いですよね。ホバーの概念を最初から排除しているために、ユーザーから評価対象(ゼロ評価かマイナス評価)になるポイントを減らせているわけですから。もし、MPPペンが最初からホバーの概念が無ければ、お絵描き用のデジタイザ―としての評価がもう少し高くなっていたのかもしれません。

『Wacom AES』って何?

Wacom AES』は、Wacom社の『Wacom Active Electrostatic(アクティブ静電結合方式)』の略です。

独断と偏見で超ざっくり説明すると『電池(充電)が必要な廉価版Wacomペン』です。

Wacom AESにも 『1.0』『2.0』の違いがあったりするのですが、MPP以上に世代の見分けがわかりにくいものになっています。

「Wacom EMRと違ってわざわざ電池も使うぐらいなら、その分高性能に違いない!」

と期待してしまいますが、電池が必要だからといって、特別性能が抜きんでているという訳でもありません。Wacomが現状の高性能液タブに充電式のペンを採用していないことからも、EMR系と比較した際の優位性が無いことを『お察し』頂ければと思います。

このタイプのペンはWacom系のデジタイザーにしては少々マニアックな印象を受けます。

皆様『ワコム技術を使っている、電池(電源)が必要なペン』と言われて、サッと何か思い浮かぶでしょうか? 正直私は殆ど思い浮かびません。個人的に所持しているAndroidタブレットである『Huawei MediaPad M5 Pro』が『Wacom AES』互換っぽい(Bamboo InkのAESモードで正常に描画できた)ので、それぐらいしか思い浮かびませんでした。

後は一部の少々マニアックなモバイルPCやWindowsタブレットに利用されている印象です(具体的に探してみるとそれなりに結構あるようですが……)。

恐らく直接触れる機会がある人は、MPP対応機種よりもかなり少ないと思います。

Wacom技術を使ったペン』というと耳障りが大変良く、「きっとお絵描き用途に最適なんだろうなぁー……」と思う方も多いと思います。……が、そんなことは全然無いです本音のところ「MPPよりはお絵描き適正はあるけど……、手放しでは褒められないかなぁ……」という絶妙なラインです。

Wacom AES搭載の機種は往々にして「Wacomの技術を使用したペン!」という謳い文句で購買欲を煽ってきます。Wacomの板タブや液タブといった製品の性能を期待して購入すると、間違いなく描き味が悪すぎてストレスでぶん投げるレベルなので、過剰な期待をもった購入は止めましょう。初めから性能の『程度』を理解していれば、サブデバイスとしてはそこそこ良いかもしれません。

また、MPPに比べるとホバー性能は優秀なため、ホバー状態のペンのポインタを見ながら絵を描いていくことには問題はありません。

私としても端末自体のマシンスペックが高ければ、Wacom AESペンなら手振れ補正を限界まで使えばー応十分に描けるかな?という感想です。

そのためどちらかといえば、条件付きおススメというところでしょうか?

と、ここまで語った後で残念なお知らせなのですが、今回紹介するAndroidタブレットの中ではWacom AESを使用している端末はありません。

「そういうタイプのデジタイザーもあるんだな」という予備知識を持ちつつ選んで頂ければ幸いです。

お絵描き界の王道『Wacom EMR』

『Wacom EMR』は、Wacom社の『Wacom Electro Magnetic Resonance (電子誘導授受方式)』の略です。

iOS以外のタブレットやスマホで絵を描くなら、ぶっちゃけコレで良いです。というかコレが良いです。個人的にはコレじゃないと嫌です。

EMRにおける最もわかりやすい特徴は電池(充電)不要という点です。タブレット側の電源が続く限り、ペンの電池残量を気にすること無くいくらでも描き続けられます。最近の一般的な板タブ・液タブと同じですね。

ホバー性能も全く問題無く、他のプロトコルで見られるような『ペン先を画面に置いた瞬間にポインタが瞬間移動する』ような症状は発生しません▼

ジッターについてもタブレット系で使用されているデジタイザの中では一番少ないです。とはいえ一定のジッターはやはり存在するので、好みで手振れ補正を掛けると良いでしょう。

あと、たまに勘違いされている方をチラホラ見かけるので補足をしますが、Galaxy tab s8+のデジタイザ―ペンは、通常の『筆圧感知を使用できるペン』として使う場合には充電の必要がありません。そのため、デジタイザーペンの規格としては『AES』ではなく『EMR』で正しいです。

Galaxy tab s8+のペン(や、その他galaxy系の機種のペン)が充電式になっているのは、あくまで『ペンを充電することで、ペンがタブレットとペアリングされ、ペアリング中に使用できる特殊な操作も可能になる』だけです。

そのため、この後に紹介するような『充電をしないWacom EMR系のペン』の一部にも互換性がある場合があります。

互換性があるようで微妙に無いEMR系旧デジタイザ―ペン

昔からWacom製品に詳しい方であるほど逆に陥る可能性がある罠は、Wacom系スタイラスに対応した旧製品に多い「Wacom feel IT technologies」表記のある機種が、全てのWacomEMR機種・ペンに正常対応していると勘違いしてしまう事です。

過去のWacom EMRペンを最近のWacom EMR対応のタブレットやスマホで使ってみると、一見問題無いような挙動をします。

旧Wacom EMR系で有名なペンと言えば『Wacom Bamboo Stylus feel CS300UK』辺りではないでしょうか? 上記ペンにお世話になったことがある方は結構居ると思います。

上記のような旧世代ペンでの挙動をよく見ていると『ペン座標が微妙に常にズレている』という状態になっていたりします。なので、実質上旧型のWacom EMR対応ペンは最近の機種では正常動作しないと認識するのが無難です。

そのため、基本的に「特定の製品に対応している指定のペン以外は、自己責任で試す」というスタンスに変わりはありません。

Wacom EMR系のペンは大半が旧製品という印象なので、後述する『hi-uni』以外のデジタイザ―ペンについては購入前に入念な情報収集をした上での『自己責任』ということを忘れないようにしましょう。

各機種のペンについて

ここから先は、今回ピックアップしている各タブレットに対応しているペンについて、簡単に補足説明をしておきます。基本的にはプロトコルの説明に近しい内容ですが、機種特有の情報も存在します。

Galaxy Tab S8+のペン

幸いGalaxy tab s8+を始めとする最近のGalaxy系の機種は、お絵描きに向いているデジタイザーペンとして『Hi-uni DIGITAL for Wacom』が対応していることで有名です。

『端末単独で絵を描くためのAndroid機種』として使う場合、昨今のWacom EMR対応機(実質的なGalaxy tabや、Galaxy系のデジタイザーペン対応スマホ)は、コンパクトなお絵描きデバイスとしては完成度がダントツです。

この時点であえて最適解を断言してしまいますが、絵を描く目的のベストなAndroid端末』という判断基準であれば『Wacom EMR対応のもの』≒『galaxy tab S8+(またはそれに類するgalaxy tab系機種)』の一択です。それ以外のタブレットを選択する場合には、一定の技術的な問題点を受け入れつつ使う必要があります。

Wacom EMRはパソコン向け液タブの『Wacom one』でも採用されています。正直なところ『Wacom one』自体の評判は液タブ界隈ではあまりよくありません。「Wacom oneと同様って説明されると微妙そうだなぁ……」と思われそうですがご安心ください。Galaxy tabの場合はWacom oneに比べて『解像度・色表現・OS一体型・バッテリー動作・手でのタッチ操作可能』と、性能面での差が大きいです。

ペンの入り抜き精度としては、パソコンに対応している高級液タブと比べると若干調整が甘い印象のため、clip studioを使用する際には、アプリ内に存在する筆圧感度の設定をしておくと良いでしょう。といっても、安価で調整の甘いパソコン対応の液タブよりはよっぽど描き心地が良いため、アプリ側の調整でカバーできる範囲です。

Lenovo P12Proのペン

P12Proの対応ペンはよくある一般的なMPP2.0』という印象です。ある意味一番メジャーどころのペンを採用しているといえます。互換性のあるペンという意味では、今回取り上げるタブレット3種の中では一番多いと思います。

ただ、MPPに関して上記で述べたように絵を描くために使うには積極的なおススメはできないです。ビジネス用途としては良いと思います。というか勝手な妄想ですが、マイクロソフト的にもMPPをクリエイター向けに大プッシュしている印象を私は持ったことがありません。マイクロソフトのSurfaceシリーズが普段のデバイスからビジネス用途向けへの訴求が強い(それ以外のイメージが弱い)ことからも『お察し』頂ければ良いと思います(※一応Surfaceにもクリエイター向けのシリーズがあったりしますが、大変高価です。しかも『その高価格なものを購入してまでMPPっていうのは……どうよ?』となってしまうクリエイターの方が大半のせいか、一般層での知名度・普及率がほぼ無い印象を受けます……)。

人によってはMPPでも慣れ方次第で絵を描けると思います。ただし全てのMPP系機種の持病ともいえる『ホバー時のペン座標のズレ』や、多くのMPP系機種が抱える『ジッター問題』に対しては『慣れ』や『妥協して寄り添う気持ち』は必須と理解しましょう。

価格自体も安いものでは無いので、本音のところ「絵を描く目的で買うのはどうかと……」というところです。『キーボードも付属していてお得!』などといっても、「そもそもペン性能が悪かったら意味無いのでは……」という本音があります。

後で購入できる余計な付加価値のために『必須なペン性能』を捨てるのは本末転倒にも程があります。そもそもその付属品も加味した価格でしょうからね……。

Xiaomi Pad 5のペン

今回取り上げた製品で一番注意すべきポイントの一つといえます。

実はこの『Xiaomi pad 5』は、MPPペン互換のはずなのですが相当にクセ者です。原則、別売りの公式ペンしか『Xiaomi Pad 5』使用できません。どうも専用ペンとタブレット本体がペアリング状態になっていないと、MPPペンの入力を受け付けないらしいです。理屈だけで考えると「本体と公式ペンをペアリングだけさせておいて、実際の入力は別のMPPペンを使用する」という変則的な利用方法が可能(らしい)のですが、この辺りの使用法は自己責任で行いましょう。公式ペンのペン先はゴム質感が強すぎて物理的な描き味面や耐久性にも課題があるようですので、上記の『無理やり他社MPPペンを使用する』ことも意外と意味合いが大きくなってきます。

しかし、上記のような様々なリスクを許容・対策したうえで「結局MPPだし……」という残念感はぬぐい切れません。過剰な期待はしない方が無難です。公式ペンも別売りで相当高価なのも購買欲を削ぎます。

安いとはいえ、絵を本格的に描く目的には素直に避けるべき機種です。

結局絵描き用途でAndroidタブレットを考えると……

ここまで読んだ方であれば、もはや予想できる結果と思います。

現状Androidタブレットで絵を描く場合であればGalaxy tab S8+の一択です。

P12Proはよくも悪くも『高性能な高級MPP機種』という印象です。MPPを考慮しなければおススメの一角なのですが、お絵描き用途考慮すると「この価格を払ってまで、無理にAndroidタブレットでMPPペンで絵を描く必要は無いのでは……」という印象です。価格は高級路線な割に、MPPの精度がSurfaceの最新機種ほどチューニングされていない印象もあります。

ただ、現状の日本正式発売のAndroidタブレットとしては『最新性能+ストレージ256GB+microSD対応』となるとP12Pro一択になりえますので、この辺は使用者の需要次第でしょう(※技適を考慮しない場合にはGalaxy tab S8+でもグローバル版は256GBなども存在はしますが……)。

お絵描き向けAndroid端末において、RAMは8GBで足りるのか?

特にパソコンでのお絵描き経験のある方であれば、端末のRAM(メモリ)容量が気になる方が多いと思います。

パソコンでclip studioを使っていると、使い方によっては一瞬でclip studioのアプリだけでメモリを10GB程度占有してしまう状況も発生します(「そこまでデータが肥大化しないように、効率的に作業をしろ」というのも正論ですが……)。

そのため「少なくともお絵描きをする際にはRAM容量は多いに越したことは無い」という意見は大体の方は納得すると思います。

で、今回の問題となるのは「Android端末で絵を描く場合にもメモリ容量は多い方が良いのか?」という事です。

例えば、Galaxy tab 8系のシリーズでも、グローバル版ではRAM容量が12GBの上位版が存在したりします。グローバル版でそういった端末が存在するため「お絵描きに8GBでは足りないのでは? 最近ではパソコンでも「最低16GBは欲しい」とか言われるのも結構見るし……」という不安が生まれます。

上記の疑問点についての現時点(2022年5月時点)での解答としては『Androidで絵を描く目的であれば、RAM容量は8GBあれば問題無い(それ以上あってもほぼ意味が無い)』という結果になります。

理由は『現状のclip studioのアプリが、メモリ使用量3.2GBの時点で頭打ちになってしまう』ためです。

例えば、パソコン環境下で10GBのRAMを消費するようなclipstudioでの処理をAndroid端末で行ったとしても、Android版のclip studio環境では、3.2GB以上メモリを消費せずに動作が一気に重くなります。どうやら、内部でのRAM使用が32bit系の処理に足を引っ張られている状況のようです。この挙動はclipstudio側が対応しない限りどうしようもありません。そのため、少なくも現状では「大量にRAMを積んでいても有効活用できない可能性が高い」です。

私の印象としてRAM8GBというのはかなり絶妙な値です。

昨今のAndroid端末でRAM8GBを積んでる機種の場合、何もアプリを機能していない状況で消費しているRAMは3~3.5GB程です。つまり、clipstudioで極限(3.2GB)までRAMを使用した場合でも、RAM8GB搭載機種であれば後1.0~1.5GB程メモリが余る計算になります。そういう意味ではXiaomi Pad 5はRAM容量が6GBのため「コスパは良いけど、可能であればもう一声欲しいな……」というのも本音です。

マルチタスクを活用して同時に多数のアプリを動作させる場合には、更にRAM容量が多いに越したことは無いのは間違いないのですが、「そもそもclip studio側でRAM容量を限界まで使うような重い処理をしているときに、マルチタスクで別のアプリまで動かすのはそもそもどうなのか……?」という本質的な疑問が残ります。

(お絵描き中に想定されるマルチタスクは『お絵描きツール+3D系のポーズアプリ』という組み合わせが代表的かと思います▼)

clip studioでRAMを3.2GB消費するというのは、実際にやってみようとすると結構大変です。意図的に『高解像度の画像を変形・回転処理する』と、あっさりRAMを大量消費できたりはするのですが、実際の作業ではなかなか行わない事が多いです。

上記の内容から、「Androidでのお絵描き環境においては、ひとまずRAM容量8GBあれば安泰かな?」という事がわかります。

4k画質の絵で、データ容量の効率を気にせずどんどんレイヤーを増やしつつ色を塗っていくと、気が付いた時にはclip studioのメモリ使用量が2GBを超えていました(もっとも、レイヤーの番号が150番を超えていいたぐらい、非効率なレイヤー管理でのメモリ消費ですが……)。

お絵描き性能以外での評価

正直なところ『お絵描き性能を主軸』に考えると、それ以外の評価要素の優先順位は限りなく落ちます。

その上でお絵描き観点以外からも少しだけ評価してみましょう。

……と言っておいてなんですが、最初から結論を言ってしまうと「お絵描き用途以外でもGatlaxy tab S8+」が大変優秀です。

やはり安価Android端末は一定の妥協が必要

有名なリズムゲームであるプロジェクトセカイ (プロセカ) 』動作時、Xiaomi Pad 5では結構な頻度でFPSが瞬間的に0に落ちる症状が出るという情報もあります。

Xaomi Pad 5を購入検討している場合、自分が普段使用するアプリとの動作相性が悪くないか、事前にインターネットで検索をしてみるのが無難に思えます。

Xaomiのメーカー独自のカスタムOSが動作に影響しているようなので今までXaomiの製品を使用したことが無い方は特に注意が必要かと思います。

独自OSで発生する可能性がある予測不能な問題を事前に回避しておきたい場合、Xaomiは避けるのが無難かもしれません。Android系の独自OSの『あるある』ですね……。

また、どうしてもAndroid系はiOS系に比べてリズムゲームでは不利です。

「数年プレイしていて今まで一度もフルパフェの経験が無い人が、ちょっとiPad Proを借りてプレイをしたら、フルパフェ連発した」という事象が当たり前のように発生します。

昔に比べるとAndroid機種でもかなりリズムゲームが出来るようになってきましたが、どうしてもフルパフェに至るまでの「最後の一歩」が到達できないです。どれだけ粘ってもパフェ判定を2~3か所外してしまう……それが現状のAndroid端末事情です。

お絵描き用途+リズムゲームのスコアアタックガチ勢』のような方は、コスパと両立をするのなら、後述する『iPad Pro 11 (256GB)』か『iPad Pro 12.9 (256GB)』をおススメします

スコアアタックやフルパフェまでは考えず、比較的ライトにリズムゲームを楽しむ場合であれば、Galaxy tab系でも問題ありません。

Galaxy系のお家芸である『Dexモード』

今回紹介したうちの『Galaxy tab S8+』は、スマホ系の機種にも備わっている『Dexモード』というものを搭載しています。これは簡単に言うと、『モニターに接続することでパソコンのように使用できるモード』のことです。

タブレットの場合は、タブレットの画面自体を使用して『Dexモード』を起動可能な為、複数窓を開くパソコンっぽい感覚で使用することも可能になります。

これだけでも面白機能で便利なのですが、このDexモード』を搭載しているAndroid機は『Androidに対応している液タブ』を使用することも可能です。

『Dexモード』が使用できる端末が手元にあると、こういった面白い使い方の幅が広がるため、個人的には積極的におススメをしたいところです。

※比較:妥協できればベスト? 性能ピンキリのiPad Pro (2021)系

お絵描き用Androidタブレットとの比較になりうる、ペン性能については好評なiPad Pro系。

最新のiPad Pro (2021)には『iPad Pro 12.9インチ(第5世代)』と『iPad Pro 11インチ(第3世代)』の2種類が存在し、各モデルに対しストレージが『128GB / 256GB / 512GB / 1T /2T』の5段階存在します。

ここで重要なポイントが3つ存在します。

1,Apple Pencilには『ホバー』時のポインタが存在しない

多くのクリエイターからも絶大な支持を得ているApple Pencil

第一世代の時のあの滑稽極まりない充電方法も無くなり、かなり隙の無いペンになったと思います。

ただAndroid系タブレットのペンの使用感と明らかに異なる点があることには注意しておきましょう。それは『ホバー(ペンを画面に当てず浮かせている場合)』のポインタ(座標表示)が存在しない点です。

上記の『ホバー時にポインタが表示されない仕様』については、使用者の作業スタイルによって感想が真逆に割れます。

昔から板タブを使っている期間が長かった方であれば、絵を描く時には『手で持っているペン先よりも画面に表示されているポインタの位置』を目安に絵を描く癖が身についている可能性があります。

そういった方の場合Apple Pencilの『ホバー時のポインタ表示無し』という仕様が使いにくいかもしれません。

とはいえ「『Apple Pencil+iPad Pro』の組み合わせで使用する場合、ペンの座標が正確で紙と同等の感覚で描ける」という感想を持つ方も多いです。

そのため、これまでポインタを見て描いていた方であっても、一定期間使い続けることで慣れる可能性が高いと思います。

2,『Liquid Retina XDRディスプレイ(ミニLEDディスプレイ)』搭載は12.9inchタイプのみ

クリエイター向けに特化している(※詳細は後述)といえるLiquid Retina XDRディスプレイ』に対応しているのは12.9inchのタイプのみです。このXDRと冠しているものが『ミニLEDディスプレイ』製品に相当します。

11インチモデルに採用されているディスプレイ『Liquid Retinaディスプレイ』はミニLEDディスプレイではありません。

『ミニLEDディスプレイ』の利点としては、AMOLED系ディスプレイのような『画面の焼き付け』リスクを無くしつつ、従来の『Liquid Retinaディスプレイ』では表現しきれなかった『黒色』表現が可能になっています。

ただ、上記のように書くと「画面焼き付けしなくて黒表現もイケるとか、『Liquid Retina XDRディスプレイ』って最強じゃね?」と思えますが、一点だけ大きな罠が存在します。それは『ブルーミング(滲んだような表示)』問題です

バックライトを局所的に点灯させた際に、バックライトの漏れが影響して表示の周囲が滲んでしまう現状を指します。この『ブルーミング』問題は、iPad Pro12.9(第5世代)が発表された後、しばらくネット上でもかなり話題に挙がりました。このブルーミングは、状況によっては「これ、安物のディスプレイかな?」とでも言いたくなるぐらい、酷い滲みが出てしまいます。そういう意味ではむしろ「黒色表現を妥協して、既存のLiquid RetinaディスプレイのiPad Pro 11インチ(第3世代)の方が良いのでは……?」と思えてしまう始末です。

ただ、実際に使う際には、極端な色の差(真っ黒と光度最大)といった極端な表示差が無ければ絵を描く分には大きな支障はありません。とはいえ、感じ方にはどうしても個人差が出てしまうので、念のため知識としては『ブルーミング』の存在は認識しておきましょう。

3,『大容量RAMモデルは1T /2Tのみ』という仕様

iPad Pro11/12.9 (2021)のモデルには、それぞれ、RAMが『8GB』/『16GB』の2タイプが存在します。

RAM16GBのモデルを入手するには、ストレージ容量が1Tか2Tのものを購入する必要があります

正直なところ、お絵描き主体で考えると1Tは過剰スペック過ぎます。256GBぐらいで妥協したいところが本音です。でもRAMは「せっかく可能なら大きいの欲しいなぁ……」という心理が働きます。

しかし、iPad Pro 12.9の『256GB』モデルと『1T』モデルの価格差はざっと1.5倍はあります。正直、この差額だけでXaomi pad5と専用ペンを購入してもお釣りがくるレベルです。正直ちょっと訳がわからないです。「殿様営業も大概にせぇよ……」と思わずにはいられません。

恐らく、iPad Proで動画編集をする方であれば、1T以上のモデルと大容量RAMというのはベストマッチなのでしょうが、なかなかの局所需要だと思います。

実はグローバル版のGalaxy tab などでもこういう「ストレージを上げたらRAMも増える」という類の製品は多いのですが、ここまで露骨に価格が跳ねる製品はあまり無いと思います。

「お絵描きタブレットにAndroidはやっぱりヤダ」という人へのおススメは……?

完全に独断と偏見のチョイスになりますが、お絵描き用途としてはiPad Pro (2021)のなかでは『iPad Pro 11 (256GB)』か『iPad Pro 12.9 (256GB)』をおススメしたいです。

さすがに昨今のOS、アプリサイズの事情でmicroSD使用不可でストレージ128GBはややキツいです。アプリを入れ始めると直ぐに枯渇するのは目に見えています。ハイスペックのM1が無駄になる未来しか見えません。

ただ、更に本音言うと『iPad Pro 12.9 (256GB)』+『Apple Pencil2』を購入する予算があるのであれば、私なら素直に液タブ『Kamvas Pro 24 (4K)』を購入して、パソコンでフルスペックの環境を堪能したな、という感想です。

また、12.9インチに使用されている『ミニLEDディスプレイ』も気になるところですが、11インチで使用されている既存のディスプレイでも十分に綺麗です。

iPad Proで絵を描きたい人への最後の注意点はiPhone, iPad系はclip studioでtabmate(専用片手デバイス)に対応していないことです。

Androidの場合、clip studioがtabmateに完全対応しています(以下画像はAndroid使用時)▼

この点についても結構知られていない注意点なので覚えておきましょう。iOS上での無線デバイスの取り扱い方法の仕様レベルな問題のようなので、tabmateの件は簡単に解決可能な問題でもなさそうです。

最近片手デバイスについてのレビューでも触れている内容なので、参考にして頂ければ幸いです。

購入前に冷静さを取り戻すことも必要

ここまで散々タブレットについて色々と考えてみましたが、改めてスタートラインに戻って考えてみましょう。

「そもそも、タブレットで絵を描く必要があるのか?」ということです。

ここへきて、「これまでの内容を真っ向から全否定」という身も蓋もない問いかけです。でも大変重要なことです。

今回話題に挙げたタブレットを購入する場合、結構なお金がかかります。そして、そのようなタブレットを購入できる予算があれば、普通に高級な液タブが購入できるのも事実です。

例えば、今回一番安価な『Xiaomi Pad 5+対応ペン』を購入る予算がある場合、現在液タブで最新機種であるHuion製の『kamvas pro 13 (2.5K)』を購入しても十分なお釣りが返ってくるレベルです。

他の2機種を購入する予算があるのであれば、同じく最新液タブの『Kamvas pro 16 (2.5k)』と、残った予算に少し足して必要最低限なパソコンであれば購入できてしまいます。パソコンを既にお持ちであれば、 『Kamvas 24 Plus』などの24inch系の2.5K解像度の液タブを購入してもお釣りが返ってきます。

更に少量の予算を足せば、『Kamvas Pro24 (4K)』などの解像度4k系の最上位液タブも視野に入ってきます。

これらのような側面を考えると「そもそもタブレットが必要なのか?」という視点も重要だと思います。

とはいえ、タブレットも便利

上記で「冷静になれ」と書いておいてなんですが、Androidタブレットにも魅力的な要素が多いです。

今回紹介したタブレットであれば一定以上の性能(処理速度・解像度)を有しているため、お絵描き以外の用途にも使用可能です。

また、パソコンと異なり「使用開始してすぐ絵が描ける(すぐ描くのを中断できる)」のも魅力です。

タブレット単体で「適当な場所に寝転んで、音楽を流しながら作業」ということも可能なので、ハマる人には日々のお絵描き作業の後押しに活躍してくれます。

スペックや解像度的に、ゲームや電子書籍の閲覧、動画鑑賞にも便利といえます。

まとめ:結局おススメのタブレットは?

Androidであれば迷うこと無く『Galaxy tab S8+』一択です。本当に『迷う要素がありません』

Android自体の選択が難しい場合には、『iPad Pro 11 (256GB)』か『iPad Pro 12.9 (256GB)あたりでしょうか? どうしても別売りのペンを込みで計算すると頭が一つ抜ける価格になりますが、コストと実用性を両方取ると妥当な落としどころだと思います。

一昔前よりはタブレットの選択肢が増えてきたのは良いことなので、今後ももっと選択肢の幅が増えてほしいところですね。