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【EPOS H6PRO Open レビュー】開放型ゲーミングヘッドセットの新しい定番製品が誕生!Closed(密閉型)との比較もしてみました!

2021年10月28日

こんにちは、ハッサンです。

前回、密閉型の「H6PRO Closed」をレビューしましたが、今回は開放型の「H6PRO Open」についてレビューしていきます。

ゲーミングヘッドセットとしては数少ない開放型であるため、どのような音質なのか気になる人も多いと思います。詳細にレビューしていきますので、最後までご覧いただければ幸いです。

密閉型のH6PRO Closedのレビュー記事はこちら▼

EPOS H6PRO Open について

EPOSは老舗音響機器メーカー「ゼンハイザー」のゲーミング製品を扱うブランドになります。これまでにもGSP300/500/600とゲーミングに特化したヘッドセットや、音響アンプであるGSXシリーズなど販売しています。

H6PRO Openは2021年10月5日に発売された開放型ゲーミングヘッドセットです。カラーバリエーションは「レーシング・グリーン」「ゴースト・ホワイト」「セブリング・ブラック」の3色展開になります。

密閉型である「H6PRO Closed」も同時発売されています。こちらも同じ3色展開になっています。

H6PROシリーズはEPOSとしては、現状最上位のゲーミングヘッドセットになります。

Point

• EPOSの最上位ゲーミングヘッドセット

• 数少ない開放型ゲーミングヘッドセット

• イコライザー適性が高い

• 着け心地抜群で比較的軽量

スペック

メーカーEPOS
価格23,800円
Amazon 2021年10月27日時点
ヘッドフォン構造ダイナミック、開放型
ドライバー42mm
周波数特性20~20,000 Hz
インピーダンス28 Ω
感度111 dB SPL @1kHz 1V RMS
全高調波歪率 (THD)<0.5% @1kHz 1V RMS
ケーブル長GSA 30 PC Cable: 2 m
GSA 30 Console Cable: 1.5 m
接続端子3.5 mm x 2 / 3.5 mm x 1
(GSA 30 PC Cable/GSA 30 Console Cable)
マイク周波数特性10-10,000 Hz
マイク指向性双指向性
マイク感度-35 dBV/Pa @1kHz
重量309g(ケーブル無しの実測結果)

開封

  1. H6PRO Open
  2. 3.5mmプラグのケーブル
  3. PC用ケーブル
  4. マイク用のカバー×2
  5. 説明書など

▼イヤーパッドはメッシュ素材のようです。開放型らしく音を外に逃すようになっています。肌触りもすべすべしています。

▼イヤーパッドも十分大きいです。耳がドライバーに当たることもありませんでした。

▼左のイヤーカップになります。マイクがありますが、磁石で付いているだけなので、簡単に着脱可能になっています。

▼マイクを取り外すとこんな感じです。

▼付属のカバーを付けるとこんな感じです。

▼マイクを下ろすとこんな感じです。マイクはある程度口元に寄せたり離したりすることもできます。

▼ヘッドバンドの高さ調整も一メモリずつ調整するタイプです。強すぎず弱すぎずちょうど良い感じです。

▼ヘッドバンドは太めになっています。圧迫感が分散するようになっています。

▼ヘッドバンド頭頂部の深さとスポンジ具合は普通かな、といった感想です。

▼上から見るとこんな感じです。

▼左イヤーカップにケーブルの差し込み口があります。

▼ケーブルは最後までしっかりと差し込まないと、音が変質するので気をつけましょう。

使用した感想

G6PRO Closedと同じく着け心地はとても良いですね。309gとClosedよりさらに軽くなっているので、頭頂部への圧迫感も少ないです。

側圧も強く無いので、長時間使用しても痛くならないと思います。メガネ着用も大きな問題はないと思います。

グリーンの色合いが個人的に気に入りました。高級感があって他のヘッドセットと並べても一際目立っています。質感がめちゃくちゃ良いので、インテリアにも良いです。

タッチノイズはClosedと同じく多少あります。そこまで気になりませんが、擦らないように気を遣う必要があります。

着け心地などはClosedとほぼ同じで良いですね。やはり軽いは正義ですね。

マイク音質もClosedと同じでとてもクリアです。GSP600のマイクよりクリアで聞き取りやすい音声だと思います。

音質について

明確に音質の特徴が分かりやすいH6PRO(密閉型)と比べると、比較的フラット寄りな音質です。

その中でも特徴を上げるとすれば、低域は全体的に強めです。H6PRO(密閉型)と比較すると、低域の表現力は明らかに豊かと言えます

また、フラット寄りなヘッドセットやイヤホンで良くある「第一印象ではこもったような音質」です。一定以上高価なゲーミングで最近増えているタイプのチューニングなのではないでしょうか。どちらかというと「あまりゲーミング寄りに尖っていない」手堅いチューニング(特定の音質特化型というよりは、全体的な音質重視)ともいえます。

ゲーミングっぽさがあるとすれば、一聴しただけではフラット系に感じつつも、完全なオーディオ用途のフラット系よりは音のメリハリ(滑らか系というよりはサラサラ系の音質)が意識されていたり、重低音の響き方が極端に強くない、控えめな点でしょうか。あとは、ゲーミング用途にしては高域の表現が結構良く伸びてくれています

上記のような音の性質からも、可能であればMixAmpなどのUSB-DACを用いたイコライザ調整などによる音質のカスタマイズを推奨したいタイプの音質です。ドライバ自体の基本性能が良いためイコライザ調整による音質傾向の融通という観点ではH6PRO(開放型)のポテンシャルはかなり高いです。未調整時に感じていたフラット系特有の『こもったような音質』も、イコライザ調整で一気に化けます

反面、イコライザでの音質調整をしない場合、全体的に堅実な音質という印象です。

最後に誤解が無いように補足をしておくと、未調整時の音質についてもずっと使用していると耳側が慣れてくる(いわゆる『耳エージング』が進む)ために聴きとりやすくなってきます

実際に一定時間以上使用し続けていると、こもり気味に思えた音の中からも色々な音がしっかり鳴っている事がわかります

性能が悪いヘッドセットの場合、こみりぎみな音質では小さな高域の音が低域の音にかき消されてしまう事が多いのですが、今回のH6PRO(開放型)では強めの低域の音にもかき消されずに高域の小さな音もしっかりと響いて聞き取ることが可能です。なので、音情報としては必要な音が十分にヘッドセットから出力されて耳に届いていることを感じることができました。

もし音質がただ悪くこもっているだけの場合は、どれだけ長時間聴いていても「こもってるだけだなぁ」というだけで終わってしまいます。

上記の内容からも、今回のH6PRO(開放型)の基本性能とポテンシャルは非常に高いことがわかります。

開放型は音漏れや周囲の音が影響することが最大のネックですが、左記のネックが問題にならない場合にはFPSを含む多目的用途にもアリだと思います。

フラット系の音について

上記でも挙げたように『フラット系の音質』ということで、今回のH6PRO(開放型)をより快適に使用するのであれば、個人的にはイコライザを使用し個々の好みに調整することをを推奨したいです。

特にイコライザを推奨する理由としては『低~中域のバランス調整による音質のクリア化』にあります。

上記の『音質について』でも書いたように『聴き慣れると高品質な事が理解できてくる』のですが、密閉型と相対評価をするとやや「音のこもり」が気になってしまいます。(ただ「フラット系の音質のヘッドセットは、そもそも音がこもる」ので、製品の仕様としては当然といえば当然なのですが……)

また、フラット寄りなバランス故に音の輪郭が滑らかな印象があります。

通常のヘッドホンと比べると「一般的なフラット系よりはまだゲーミング用としての音のメリハリが利いている」のは確かです。ただ、FPSでガッツリ使う場合であれば「可能であればもっとくっきりと足音が聞こえた方が良い」と感じる人が居そうな音質でもあります。

この辺りの好みは人によって分かれるため、その好み分の補正を『イコライザで調整できれば良い』というわけです。

リズムゲーム用途として

『アリか無しか』で言うと、かなりアリだと思います。

ただフラットな状態(音質未調整)で使用をすると、パッと聴いた時の音のメリハリが少ないためにリズムゲーム特有の爽快感や打鍵感を味わいづらいかなという印象です。

その為FPSでの使用同様に可能であればイコライザを使用できる環境で使いたいというのが本音です。

イコライザが使用可能でかつ、イコライザの設定を用いて自分の好みの音質に調整できる方であれば、むしろ積極的に使用をおすすめしたいところです。

イコライザの設定によって音質を全体的にクリアにすることで、各音が一気に引き締まり一気にリズムゲーム特有の打鍵感や爽快感を味わうことができます。

イコライザ調整のコツとしてはおよそ125~250hz周辺の音をやや下げ気味に(様子を見て500hz周辺も)意識して調整していくと良いです。

ただ、上記の特徴はH6PRO(開放型)の特徴というよりは『フラット系のヘッドホンやイヤホンを使ってリズムゲームをするときの特徴』といえます。

音楽鑑賞用途として

完全な音楽用途としての使用を『アリか無し』で考えると、個人的には『条件付きの(イコライザ使用なら大いに)アリ』というところでしょうか。

一般的なゲーミングヘッドセットの中ではかなり良い部類です。

フラットな状態でH6PRO(開放型)で音楽鑑賞する場合にはゲーミングを意識した『ややサラサラ目な音質』が気になる人も出てくると思いますが、この点はもう個々の好みのレベルの問題だと思います。

サラサラめな音質は上記の『リズムゲーム用途』の項目でも挙げたように、イコライザを用いた音質の調整で改善できます。

イコライザ調整時のコツとしては、リズムゲーム用途の時と同様に『およそ125~250hz周辺の音をやや下げ気味に(様子を見て500hz周辺も)意識して調整』という感じです。

ゲーミング向けということで、イコライザ未調整の場合には若干中域のヴォーカルが強い場合があるため、その辺りも意識をして調整をすると良いです。

また、H6PRO(開放型)はイコライザ調整によって高域が結構綺麗に伸びてくれま。伸び方的には「ちょっと周波数帯域の最大値の低めな、一般的なヘッドホン」のような、ゲーミングっぽくない好印象な伸び方をしてくれます。

FPS用途について

実際にPS5のApexLegendsで使用してみました。

今回のH6PRO(開放型)はフラットな音質ということで「音響効果の影響も強めに出るかな?」などと思いつつ、実際に使ってみると以下のようになりました。

H6PRO(開放型)を使って真っ先に思った事はしっかり『ゲーミングヘッドセット』なチューニングがされているなということです。

実際にAPEXで使用するまでは『音質がフラット寄り』だったり『イコライザ調整で高域も結構伸びてくれる』などという特徴から、正直な所「ゲーミングっぽさは少な目のチューニングかな?」と思っていました。しかし実際にAPEXで使ってみると、しっかりゲーミングヘッドセットなチューニングがされていると感じました。

ゲーミングらしく一部のライフル系の甲高い高域の音が、耳に刺さらないチューニングだったのは予想外でした。

音楽鑑賞利用などでイコライザを用いて高域を上げるとしっかりと鳴ってくれる分、標準の状態でここまでゲーミングらしく高域を抑えてくれるとは思っていませんでした。その為、FPS用途でも耳に負担が掛からずに快適にプレイが可能です。

それでいて、ゲーム音全体から感じさせてくれる音質は、しっかりと「フラット系」らしい自然な音を出してくれます。その為、臨場感のあるゲーム体験を阻害しないクセのない良い音質です。

『ゲーミング特化しつつ、他用途でも活用できる』絶妙な加減のチューニングだと感じました。

半面PS5の3Dオーディオを使用した場合には、少々音響効果が強めに掛かり過ぎている印象をうけました。

この『音響効果の影響強めに感じる』感覚は、MixAmpなどの音響効果(Dolbyなど)を用いた時も同様です。

もしUSB-DACやアンプなどを使用した音質調整をしない場合には、音響効果を使用しない方が違和感の無いプレイができる人が多いかもしれません

音響効果が無くともフラット寄りの音質が幸いして、音情報(音の厚みや空気感)から方向や距離を感覚的に捉えやすいと感じました。

そのため、広範囲の索敵が必要なバトルロワイヤル系の戦闘に最適だといえます。

GSP500との比較

同じEPOSの開放型ヘッドセットであるGSP500と比較をすると、思いのほか音質が異なります

以前レビューをしたH6PRO(密閉型)の時には「GSP600の特性を確かに引き継いでいるな」と感じました。

しかし今回のH6PRO(開放型)は、「GSP500とはそもそも別物として考えた方が良いかも?」という印象です。

『音質の全体的な自然さ(クリアさ+滑らかさ)』という意味ではH6PRO(開放型)よりもGSP500の方が良いと感じました。

あくまでGSP500との相対比で見ると、H6PRO(開放型)はゲーミング寄りにメリハリのある音質にチューニングされています。

そのため、H6PRO(開放型)は『GSP500の後継機』というより、過去のGSP600やGSP500ともH6PRO(開放型)とも音質の異なる別製品として考えるべき音質の製品だと感じました。

H6PRO(密閉型)とH6PRO(開放型)、どっちがおすすめ?

音質としてはH6PRO(密閉型)とH6PRO(開放型)は完全に別系統の製品と考えた方が良いです。

互いをイコライザで音質調整したとしても、もう片方の音質を完全に再現することはできません

今回のH6PRO(開放型)の音質をどこまでもクリア寄りに調整してH6PRO(密閉型)の音質に寄せようとスッキリ目な調整をしたとしても、低域の音表現や開放型特有の音の広がりから来る音の厚みがH6PRO(密閉型)型のスッキリとした音質を上回り、音質の感じ方に差が生まれます。

そもそも、感度についてそれぞれ『H6PRO(密閉型):117db SPL』『H6PRO(開放型):111db SPL』と異なる点や、『開閉型』『密閉型』という特色の明らかな違いからも、互いの音を完全に再現が出来ないことはご納得頂けるかと思います。

ただFPS用途を限定とした音質を考えると、H6PRO(開放型)の低域を下げ気味に調整をすると比較的H6PRO(密閉型)と近しい聴こえ方の再現は可能なようです。

この辺りの加減・選択は個々の好みの範囲で判断するしかないでしょう。

FPSをする際、プレイスタイル(足音の捉え方)によって大きく『くっきりした音でピンポイントに相手を補足したい(点で捉えるクッキリ系)』タイプと『定位感や距離の把握を重視したい(音を塊で捉えるフラット系)』タイプの2つ(+2つの比重)に分かれます。

上記だけを書くと「くっきりしていれば良いに決まっている」と感じるかもしれません。

ただ、足音がくっきりとなる音質においては、足音以外の音情報もくっきりしてしまうことが多い(イコライザでの音質調整でも限界はある)です。

そういった場合、くっきりした音同士が混ざり合い聞き取りが困難になる状況があります。たとえ分離が良い場合においても、複数のはっきりとした音(多数の足音、発砲音、環境音など)から必要な足音を聴き分ける(特に乱戦開始時など)には慣れが必要です。

もちろん、定位感や距離で捉えるフラット系のタイプでも慣れは必要ですが、感覚が慣れてくると音の「空気感」で直感的に方向や距離を把握できるようになります。

上記のような好みやプレイスタイルについても考えつつ、開放型と密閉型のどちらが良いか決めるのも良いと思います。

とはいえ「H6PROのどちらを選ぶかの、何かもう少し簡潔な判断基準が欲しい」と思います。

H6PRO(開放型)が適していそうな人

・音漏れをしても問題無い人
・低域の音を重視したい人
・どちらかというと音量大きめで使う人
・どちらかというと自然な音質・リアルなゲーム体験を重視する人
・定位感・空気感を重視してFPSをプレイする人

H6PRO(密閉型)が適していそうな人

・音漏れが嫌な人
・低域の音も丁寧にしっかり鳴っていれば良いという人
・小さめの音量で使う人
・昔GSP600を使っていて、気に入っていた人
・繊細な音を聴き分けてFPSをプレイするタイプの人

上の内容で誤解されると困る点が「片方に書いている点は、もう片方では適正が全く無いのか?」ということです。

あくまで2つの製品の相対的な評価の為、ゲーミングヘッドセットという全体の括りで見れば、どちらのタイプも繊細な音表現と定位感を味わうことが可能です。

「もう色々言われてもなんかよくわからんし選べない!」という方は、FPS特化であれば「Closed(密閉型)」、ゲーム全般(FPS含む)なら「Open(開放型)」で良いと思います。

もしくは一番わかりやすい音漏れの有無で決めてしまいましょう。

そもそも、他製品も含めて「高品質なゲーミングヘッドセットが欲しい」という基準で何を購入するのかを考えた場合、消去法で決めようとすると自然とH6PROに行き着いてしまう可能性が大です。

H6PROは密閉型も開放型も、それぞれがそれぞれの方向性で非常に優秀な製品であることは間違いないです。

最後に

今回はH6PRO(開放型)のレビューでした。以前レビューをした密閉型と今回の開放型、どちらも完成度が高くて長く利用できるものです。

高品質なゲーミングヘッドセットなので、FPSのみならずリズムゲー、音楽鑑賞に使用してみてはいかがでしょうか?