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【SHURE AONIC3 レビュー】FPSや音楽鑑賞で最強クラス! SE215 Special editionとの比較や音質について評価しました!

こんにちは、佐崎司です。

ひと昔前の話ですが、私は同社の製品である『E4c』を使用していた時期がありました。E4cは音質に極端な癖が無く、十分な解像度とクリアさ、シンプルなフィット感と多様なイヤーピースを装着可能なことから自分の好みの音質を選ぶことが可能な名機でした。ただ、残念ながら当時は『リケーブルが不可能』という欠点があったため、断線して泣く泣く別のイヤホンに乗り換えたのは懐かしい記憶です。

今回レビューしている『AONIC 3』は、公式が「『E4c』の後継と考えている」とコメントした製品です。

『E4c』を愛用していた自分としては非常に興味深い製品であったため、購入に至りました。

しかも今回は一般的なMMCX端子を採用しているためリケーブルも可能です! その為、長く愛用することができます。

SHURE SE215 Special editionのレビュー記事はこちら▼

final VR3000のレビュー記事はこちら▼

SHURE AONIC3について

SHUREは世界的に評価の高いオーディオ機器メーカーになります。耳にコードをかけるSHURE掛けもSHURE製品からきています。

AONIC3は名機と言われている「E4c」の後継とされているマイク付きの有線イヤホンです。

AONIC(エオニック)シリーズは他にも「AONIC4」や「AONIC5」などが販売されています。シリーズの中では安価な部類の製品になります。

Point

• 安定のSHURE製品

• シングルのBAドライバを搭載

• MMCX端子なので、リケーブル可能

• FPS用途にも最適

スペック

メーカーSHURE
価格21,780円
Amazon 2021年8月22日時点
ドライバーシングルBAドライバー
周波数応答20 Hz –18.5 kHz
インピーダンス26 Ω (at 1 kHz)
感度108 dB SPL/MW (at 1 kHz)
接続端子MMCX端子
4極3.5mmプラグ

開封

▼丸いパッケージになります。

  1. ソフト・フォーム・イヤーパッド (S/M/L)
  2. ソフト・フレックス・イヤーパッド (S/M/L)
  3. イエロー・フォーム・イヤーパッド
  4. トリプルフランジ・イヤパット
  5. キャリングケース
  6. クリーニングツール
  7. 6.3mmアダプター

▼AONIC3イヤホンになります。

▼インラインリモコンがついています。AndroidとiOSの切り替えスイッチがついています。

▼裏面にはボリューム調整とマルチファンクションボタン(再生・停止など)があります。

▼4極3.5mmプラグになります。

AONIC3の音質について

AONIC 3は価格としては『ミドルクラス』の製品です。

また、AONIC 3のドライバーはBA(バランスドアーマチュア)型のシングル(1基)構成です。

このミドルクラスのシングルBA』、これこそまさにAONIC 3の魅力といえます

あえて各帯域に合わせたドライバーを複数用意せず、安価なドライバーでは無く、一定以上の高品質なBAを1基だけ搭載することで、堅実な音質を実現しています。

音質の特徴

  • BA特有の『中高域の鮮明さ・クリアさ・高解像度』の利点をフルに活用
  • 本来は苦手分野になる『低域』についても、高品質ドライバーを採用することで音が軽くならず、しっかり存在感があり表現力も豊か
  • フルレンジドライバーによる音の一体感

シングルBAということで、一基のドライバーでフルレンジ(全帯域)をカバーしなければなりません。

その為、シングルBAのイヤホンによっては、『低域が物足りなさ過ぎる』や『フルレンジの表現にドライバー性能が追いつかずに、音の明瞭さが損なわれている』といった問題が生まれる場合があります。

しかし、より高品質なイヤホンを求めだすと、多ドライバーを搭載し担当帯域を分けて表現力を高めたり、BA型+DD(ダイナミック)型というハイブリッド型が増えてきます。

そうなると一気に音の表現力や分離感がアップするのですが、価格もそれ相応に一気に上がります。

最近は比較的安価なマルチドライバー(ドライバーを複数搭載している)製品も増えてきています。

ただ、そういった製品も音楽を楽しむ個性としては悪くはないのですが、『個々のドライバーの音が主張し合いし過ぎて妙に分離感がありすぎる(音が全体的に刺さる)』場合や『各帯域を担当してるドライバー間の境界近辺で音が若干歪む』、あるいは『ドライバー同士の音が重なって分離感が削がれてしまう』といったものも少なくは無いです。

なので、結局は高音質なマルチドライバー系の製品を購入する場合は、それ相応の価格のものを購入しないと、音質の好みに対するギャンブル要素が強いという印象です。

もちろん、シングルドライバーでもAONIC3より高級な製品もあります。それでもなお「AONIC 3がおすすめ」といえる複数の理由があります。

安心のSHUREクオリティ

今やゲーム用イヤホンの選択肢としても知名度の高いSHUREということで、純粋に有名メーカーとしての製品の完成度に対する安心感が強いのが利点の一つです。

実際、探し始めると同価格帯のシングルBAの製品も多数あります。そういった数あるメーカーから製品を一つに絞る場合には重要な指標です。

対応イヤーチップのバリエーションが豊富

この利点もSHURE製品故の利点といえます。

AONIC 3に最初から付属しているイヤーチップだけでも4種類のバリエーションがあります。

この4種類というのは、ただのサイズ違いなどではありません。

明らかに毛色の異なる、イヤーチップとなっています。

各イヤーチップによって、遮音性や装着感、音の抜け方などの差により全く異なる音の性質があります。

ソフト・フォーム・イヤーパッド

最初に本体に装着されているイヤーパッドです。

現状のSHURE製品におけるスタンダードなチップといえます。

音に極端な強調が無く、尖った音にもならず全体的にクリアかつ滑らか音を奏でてくれます。『スッキリめのフラットタイプ』な音質という感じです。

変な味付けが無い分、フルレンジのシングルBAドライバーの良さをそのままに引き出してくれます

低域・中域・高域、それぞれの音を万遍良く楽しみたい方におすすめです。

万遍の良い音質をシングルドライバーがフルレンジで音域をカバーしてくれるため、FPS用途としてもBAドライバーの高解像度・クリアな音質の恩恵から足音などの聴こえ方も大変良好です

FPSなどの、音域を一度に広範囲に利用する事が無いようなゲームには、ドライバー間の音の境界が無い分シンプルに音が生成されるシングルBAドライバーが最適だと思います。

まずはこのイヤーパッドを聴いてみて「この製品の基本の音質はこんな感じなんだな」と、覚えた上で、他のイヤーパッドも試してみましょう

また、イコライザで調整をした際の音質の変化にも柔軟に対応してくれます

▼あまり極端なチューニングをせずとも、こんな感じの軽い調整でも音質が更にクリアになります。

AONIC 3は、音質を未調整の状態でも非常に耳当たりの良い心地良いバランスの音質です。

しかし、ミドルクラス近辺のフルレンジのBAドライバーは、イコライザで音域のバランスにやや上下の差が付くようなチューニング(一部の音域を下げる等)をすると、表現する音の種類が減った分だけ残りの音域に対してドライバー側の動作に余裕が生まれ、音表現によりバリエーションと表情の豊かさが追加されます。結果としてより上位の高級機種に迫るような、丁寧に響く低音・クリアかつ滑らかな音質・高解像度の音表現を楽しむことが可能です。

特に、ベースやギター、ボーカルなどの響き方がより心地良いものになります。

ソフト・フレックス・イヤーパッド

ソフトとは書いていますが、実際はやや硬めでしっかりとした素材という印象です。耳に装着をしてもあまり形が柔軟に変形しない感覚がしました。実は昔はこのイヤーパッドがSHUREの標準だった気がしますが、このイヤーパッドは装着者を選びます。私はどう装着をしても耳の穴に隙間が生まれてしまい、音がスカスカになってしまいました……。

このイヤパッドが耳にちゃんとフィットする方であれば、前述の「ソフト・フォーム」よりも各音域がはっきり目の音になるはずです。

注意点があるとすれば、音質の調整によってはソフトフォームに比べやや高音が刺さる可能性がある点です。

イエロー・フォーム・イヤーパッド

黄色い耳栓のようなデザインのイヤーパッドです。

個人的にはソフト・フォーム」と同じぐらいにおススメです。

基本となる音バランスはソフトフォームと同様なバランスなのですが、全体的にやや低域を抑えたようなよりクリアな音質になります

標準のイヤーチップを付けた時に「もうちょっと音をスッキリしたいな」という場合には是非試してみてください。

形状の変化も柔軟なため、装着感も人を選ばず安定します。

イコライザ適正も標準のイヤーパッドと同様の為、基本はソフトフォームで紹介した設定方法と同等の感覚で行いましょう。

個人的には、スマホなどでリズムゲームを手軽にする際などに使用するとリズムゲーム特有の電子音多めな音楽を、イコライザ設定無しでもしっかりと表現してくれるためおすすめです。

トリプルフランジパッド

いわゆる『3段キノコ』と呼ばれる、特徴的なイヤーパッドです。

耳と相性が良い方にとっては、他のチップでは味わえないようなスッキリとしたクリアな音を味わうことができます。

ただ、装着感の相性によって音質がイマイチになりがちのため、装着に相当の慣れが必要です。

昔このイヤーパッドのコツとして『イヤーチップの穴の面と、耳の中の鼓膜が丁度平行になるようにしたら良い』という事を聴いたことがあります。

上記のコツからもわかるように可能な限り鼓膜の近くまでイヤーパッドの穴を近づけて装着する』という難易度が要求されます

3段の内の1段をカットしたり、長い分をカットして使うといった方法もありますが、この方法はコアユーザ間では賛否両論(「装着できればOK派」「本来の装着の意図(鼓膜に可能な限り近づける)に反する派」)という点があるのも念の為に注意です。

とはいえ、オーディオ機器は最終的には「使用する本人が納得する音質なら良し」なので、考え過ぎないようにしましょう。

このトリプルフランジは、相性の良い方の場合は「これ以外では使えない!」というぐらいにハマるイヤーパッドです。試しに使ってみる価値はあります。

ただ、耳への抜き差しについては慎重に行いましょう

と、上記で紹介したように、『公式イヤーパッドのバリエーションだけでも、表情豊かなイヤホン』という点がSHURE系のイヤホンの魅力の一つです。

よほど上位機種のイヤホンを聴きなれている方でない限り、AONIC 3の『チューニングによるバリエーションの多彩さ』から、好みの音質を見つけることができると思います。

MMCX対応のケーブルでリケーブルが可能

AONIC 3で使用しているケーブルのタイプはMMCXコネクタを採用しているため、万が一ケーブルが断線してしまった場合にも、多彩なメーカー製のケーブルに取り替え(リケーブル)が可能です。

また、昨今ではMMCXコネクタに対応したイヤホンを完全ワイヤレス化するようなキットもあります

なので、断線リスクに対する対応方法が多彩で長期間愛用する事が可能です。

一定以上の高価格機種でかつシングルBA

この点は既にこれまでの内容でも説明した通りですね。

『安定して明瞭かつクリア、更に一定以上の高解像度』という堅実な音質を求めるのであれば、マルチドライバー製品のなかでのお手頃価格製品』よりも『堅実なシングルドライバー製品のカテゴリにおける優秀製品』をおすすめしたいです。

ApexLegendsでの使用感について

PS5のApexLegendsにてAONIC 3を、開封時の状態である【ソフト・フォーム・イヤーパッド】を装着して使用してみました。

【ソフト・フォーム・イヤーパッド】の内容で一度少しだけ話題に挙げたように、AONIC 3はFPS向けとしても大変優秀です。

正直なところ、過去に使用したさまざまなゲーミングヘッドセット、ゲーミングイヤホンと比較をしても自信をもっておすすめできるイヤホンです。

PS5のコントローラに直挿しで使用した場合にも、まるで『DACで音質をチューニングした後かのような』音のクリアさを体感できます。

ただ、「クリア」といってしまうとそれ以外の点が不安になってしまうのですが、各音域についてもしっかりと存在感のある音を出します。

低域については「低音を強調するようなものでは無く、あくまで『各音域の内の一つ』として、解像度の高い仕上がりになっています。

『お腹に響くような強烈な重低音!』を期待する人には物足りないかもしれませんが、全体の音質に対してのバランスの良さが絶妙と感じました。

中域・高域についても過剰なチューニングはされていないにも関わらず、それぞれの音が他の音域で埋もれていません。

センチネルのような発砲音が甲高いものでも耳に不快な刺さりを感じませんでした。

それでいて、それぞれの音も綺麗に伸びるべきところは伸びてくれます。

結果としてFPSにおける足音などの重要な音は聞き逃さない、更にゲームを演出しているおと全体のバランスも崩さないという良いバランスの音質を実現しています。

上記のバランスについて、大抵のゲーミングイヤホンは両方を満たす事がありません。

このような音質をイヤホンジャックに挿すだけで得られる為、APEXだけに限らずスマートフォンやNintendo switchでのゲームプレイにも大変おすすめできます。

本イヤホンは既にゲーミングイヤホンとして人気のある同社のSE215SPEと比較をしても、足音などの音が明確にクリアなものとなっています。

このクリアさの差の原因は明白です。

ズバリ「『DD(ダイナミック)型(SE215SPE)』BA(バランスドアーマチュア)型(AONIC 3)」との差です。

イヤホンで使用されているドライバー(音を鳴らす部品)は『DD型』と『BA型』に分類され、音を鳴らす仕組みが異なります。

音質の説明でも紹介したように、AONIC 3BAです。

DD型が「低音の広がりを得意とするタイプ」なのに対しこのBA型は「高域などの繊細な音まで分離良くクリアに聴きとれるという特徴があります。

上記の特徴から、SE215SPEと比較をすると低域が抑えられたことで音が全体的にクリアになり、更にBA特有の分離の良さにより足音もくっきりと聞こえるという明確な違いを直ぐに感じる事ができます。

APEXの場合だと、ゲームの仕様上聞こえる足音の限界距離まで足音がしっかりと聞こえます

それでいて、足音以外の音のバランスも極めてフラットで音に変な特徴もありません。そのため自然なゲーム体験が可能です。

音の距離感・空間表現についても優秀です。

BA型のフルレンジドライバーということで、音の細かなニュアンスの違い(音から伝わる距離感)も正確に表現してくれます。

FPSにおいてはいわゆるバトルロワイヤル系』な広範囲のマップを利用したタイプのゲームにも適しています

例えば、安価なマルチドライバーのBA型の場合では、音にメリハリがあったりクリアさは十分にあるものの、音質が尖ってしまっていたり、空間表現や定位の表現が苦手なものが多いです。

しかしAONIC 3 の場合は『ミドルレンジ帯以上の高性能なBA型ドライバーを有している』ため、低域~高域まで安定した音表現により空間表現・距離感の表現が可能になっています。

また、AONIC 3はバトルロワイヤル系に比べて比較的空間の範囲が狭いマルチ系』のFPSに対しても適しています

一定の狭い空間上の範囲となると、ゲームプレイ中に多数の音が重なる状況も増えてきます。

AONIC 3はBA型の恩恵である音の分離の良さ、解像度の高さを活かすことで、一定の狭い空間においても多数ある音情報をそれぞれしっかりと輪郭と定位間をもった音で表現してくれます。

通常、『フルレンジのBAドライバー一基だけは様々な音域の混ざった表現は、どちらかというとBA型のマルチドライバーやBA+DDのハイブリット型に比べて少し苦手』と思われがちです。

しかし、FPSにおいてはゲーム的な効果音が入り乱れる場合があったとしても、同時に発生する音域の範囲は限定的なケースが殆どです。

更にこれまでも述べたように、AONIC 3のドライバー性能自体が安定した音質で優秀なこともあり、SE215SPEと比較をしても帯域の異なる音同士のぶつかり合いでも埋もれにくく『高解像度かつ高分離』を体験することが可能です。

PS5では3Dオーディオを使用した場合、空間表現や定位の表現力が更に豊かになります

AONIC 3の場合はBA型のクリアさと高解像度の性質のおかげで、3Dオーディオを使用する前の恩恵を残したまま、3Dオーディオの効果も得ることができています。

そのため、PS5の場合は3Dオーディオの使用を積極的におすすめしたいです。

手軽に後方定位や空間表現を豊かにすることができます。

その効果は絶大で、『一般的なゲーミングイヤホン+DAC+イコライザ調整』でやっと得られるような高品質な空間表現を『AONIC 3をコントローラ挿し+3Dオーディオ』のみで簡単に得ることが可能です。

AONIC 3は音楽鑑賞などのFPS用途にも理想的な音質の為、音楽鑑賞もFPSも、これ一つで全て済ませたい!」という方にもイチオシです。

MixAMPを使った場合dolby音響を使用した場合にも残響感、いわゆるお風呂場感が少ない印象をうけました。

通常、Dolbyを使用すると高確率でお風呂場感を許容する必要が出てきます。

その点、AONIC 3についてはそのお風呂場感が少ないため「dolbyの音響効果は少し苦手だな……」という方でも許容できる範囲の可能性があります。

もし、dolby効果がそれでも気になる場合は、微妙にイコライザで調整してみるのも良いと思います。

最後に

音楽鑑賞については、BAドライバの「中高域の鮮明さ・クリアさ・高解像度」が素晴らしく、安定のSHURE製品といったところです。

またFPSにおいても、今まで使用してきたイヤホンの中でもトップクラスに足音を聞き取りやすいので、ApexLegendsやフォートナイト、CODなどで使用しやすいです。

音楽鑑賞はもちろん、FPS用途にもおすすめ出来るイヤホンです。