【final VR3000 レビュー】FPSでの定位感が良く、VR・ASMRに最適な高コスパイヤホンです!
こんにちは、佐崎司です。
今回は、ゲームやVR用に最適化されたイヤホン「final VR3000」をレビューしていきます。
以前レビューして高評価だったイヤホン「final E500」の後継機のような位置付けなので、期待値がとても高い製品です。
目次
final VR3000について
final社はイヤホンやヘッドホンなどを扱うオーディオ機器メーカーです。ローエンドからハイエンドまで幅広い製品を販売しており、音楽鑑賞やゲーム用イヤホンなども販売しています。
「VR3000」はバイノーラル音源をより自然に、制作者の意図した通りに再現するイヤホンです。3.5mmプラグを採用しているのでPS4/PS5やニンテンドースイッチ、PCなどでも使用できます。
VRシリーズは「E500」「VR1000」「VR3000」と展開されており、どの製品もリーズナブルな価格で購入できます。
• バイノーラル音源に最適化
• FPS/TPSで高い定位感がある
• 大人気イヤホンE500の上位機種
スペック
メーカー | final |
価格 | 7980円 Amazon 2021年5月30日時点 |
ドライバー | ダイナミック型 |
感度 | 101dB/mw |
インピーダンス | 18Ω |
筐体 | ABS樹脂 |
質量 | 20g |
ケーブル | OFCケーブル |
コード長 | 1.2m |
開封
▼VR3000になります。finalのイヤーチップは硬すぎずフィット感も良くて優秀です。
- VR3000
- イヤーチップ(SS/S/M/L/LL)
- ロック付きイヤーフック
- 専用ポーチ
▼耳へのフィット感を重視したサイズと形状になっています。
▼リモコン操作では、スマホで音量調整、再生/停止、着信応答、通話などができます。
▼リモコン裏にはマイクがあります。
▼計量するとちょうど「20g」でした。
使用した感想
耳掛けできるイヤホンなので、装着感は良いです。ケーブルが服にこすれた際のタッチノイズも耳掛けすることで軽減されます。また付属のロック付きイヤーフックを使用すると、さらにしっかり装着できます。
ケーブルは絡まりにくいため、取り回しも良い印象です。リケーブルはできないので、断線した場合は買い直す必要があります。
マイクはケーブルのリモコンに付いています。積極的におすすめできる品質ではないため、別途コンデンサーマイクなどを用意した方が良いです。
音質について
音質 | 評価(5段階) |
---|---|
高域 | 3.0(3.5) |
中域 | 4.5(4.0) |
低域 | 4.0(3.0) |
解像度 | 3.5(3.0) |
クリアさ | 4.0(3.0) |
評価については価格も加味しています。()内評価は、別途イヤーチップを使用して密閉性を重視した場合の目安です。下記『フィット感と密閉度』にて関連説明あります。
VR3000 for Gamingは、「ゲーミングという名前にしては落ち着いた音だな」というのが第一印象でした。
軽く試聴した時点では、極端なチューニングはされたとは感じにくい音質です。派手な音というわけでもなく、それでいて控えめながらもVR3000としての音質を感じました。
音全体からの印象は、どちらかと言えばフラット系といえます。高域の表現が苦手な点も、フラット系のゲーミングイヤホンと特性が似ているように感じましたが、バイノーラルサウンドへの適正を意識した音作りの為か、一般的なゲーミング系よりも音の表現が柔らかい印象もあります。
そのためか、長時間の使用でもあまり聴き疲れることは無さそうです。
ASMR(バイノーラルサウンド)での使用について
ASMRなどのいわゆる立体音響に関する音源を聴く場合には、非常におすすめです。価格当たりのコストパフォーマンスは優秀といえます。
ASMRを聴く場合、単に高価なイヤホンを購入しても「実はASMRには不向きな音質だった」という可能性もあります。
上記のような高コストかつハイリスクな手段でAMSRで使用したいイヤホンを探すぐらいなら、確実に高品質な環境が提供されるVR3000を入手する方が良いです。
そう思わせるぐらい、ASMRに対しての適正があります。音源に対しての不自然な強調も無く、それでいてASMR特有の「音から存在感を感じる」ことができます。
ASMRのより細かい音質の好みが人によってはあるとは思います。より自分の好みを突き詰めたい場合には、標準イヤーチップ以外のものを試してみることをおすすめします。
ASMRのコンテンツでよくある『耳かき』などの『耳元で鳴っている表現』については、好みがわかれそうです。
通常のイヤホンに比べて臨場感が増しているのですが、欲を言えば『耳かき』系の音はもう少し密閉性の高めの別途イヤーチップに変えた方が良いかもしれませんが、コンテンツの全体的な音のバランスによって好みで選択しましょう。
密閉度やドライバと耳の密着度の差でも聴こえ方に変化があるため、新しい発見があると思います。イヤーチップの模索を推奨したい理由は、ASMRの音源に対してコンテンツの一連の音を違和感無くイコライザで音調整をすることはなかなかに困難なためです。
finalのE500やVR3000に対する「ASMRに向いているらしい」という評判はかなり有名です。そのため、個人や小さな団体で制作されているASMRコンテンツにおいて、製作者サイドでの試聴環境として比較的価格の手頃なE500やVR3000が使用されている可能性も高いと思います。そう言った意味でも『ASMRにおけるスタンダードなイヤホンのひとつ』であるVR3000はおすすめです。
VRやゲームについて
VR3000は空気感というか、空間的表現(自然な音の広がり)が上手いです。
音響効果に対しての過剰演出も少な目で、違和感を感じにくい自然な音質を提供してくれます。そのため、FPSやオープンワールド系のゲームにもおすすめできます。
音楽鑑賞用途には厳しい
VR3000での音楽鑑賞はおすすめしにくいです。どうにも高域の音が容易に割れがちで、音楽鑑賞が快適とは言い難いものがあります。
理由は明白で、メーカー自体が謳っている「バイノーラル音源を聴く際の、高域の違和感が無いようにチューニングした」ことが影響しているのだと思います。
元のバイノーラルサウンドのデータ上に存在する高域の反響音のようなものを緩和する手段として、「高域の出力を抑えた」ことが予想できます。
VR3000はクリアさも兼ね備えている点と低域~中域の表現力は良いのですが、「高域の割れ」が音楽鑑賞に向かない割れ方をします。イコライザで調整をする場合も「割れないように高域を下げる」しか手段が無く、楽曲によって聞くに堪えないレベルで音が破綻してしまします。
一応「密閉性の高いイヤーチップ」を付けることで、音割れは相当緩和されました。以下の『高域ついて』の内容も参考にしてみてください。
高域について
通常のゲームプレイやASMR音源では聴く機会が少ない高域の音ですが、音楽鑑賞などに使用すると問題点が浮き彫りになります。
通常のイヤーチップを用いた場合は、特に情報量が多い楽曲などで高域の音が強めの場合、高域の音がシャリシャリに割れやすい印象があります。
更にイコライザなどで高域を強くしようものなら、すぐに高域が割れだすような状況です。通常この音割れの仕方はドンシャリが好きな方にとっても「好ましくないタイプの割れ方」をした音なので、出来れば何らかの手段で回避したいところです。
この高域の極端な音割れについては緩和方法があります。高域のシャリシャリ感や割れてしまう場合の対処法としては『低反発系のイヤーチップを別途用意して、密閉性を強くして装着する』という方法です。実際に試してみると分かりやすいのですが、密閉性を高めることで音の抜けが減少して音質に変化が生まれます。
通常、密閉すると低~中域の音を逃さない事に繋がるのですが、同時に高域の伸びも抑えられてしまいます。ただ、今回の場合は「高域の伸び」というよりは、密閉度を強くすることで「高域で割れてしまっていた音」が程よく軽減されます。結果として聴きやすい音質に変化します。
完全に密閉した状態でVR3000を使うのであれば、イコライザでの調整を行っても音が破綻しにくくなります。標準のイヤーチップでは音楽は聴けないと感じた人でも、イヤーチップを変更することで十分に聴けるレベルになります。
フィット感と密閉度
上記で少し触れたように、イヤホンにおいて『耳の穴を密閉しているかの有無、音抜けの存在の有無』は重要です。
よく「フィット感が良い」とか「密閉性が良い」といった言葉がイヤホンでは使われます。今回のVR3000についても「フィット感が凄く良い」と感じました。しかし、あくまで個人的な持論ですが、「圧迫感が無くてフィット感が良い」と感じている状態では、密閉度についてはやや低い状態の事が多いと私は思っています。
つまり「多少は『音の抜け』が存在している」ということです。
今回のVR3000が、人によって音楽鑑賞に対しての評価が異なる点についても、「装着した人によっての密閉性の差」だと思います。
オーダーメイドじゃないイヤーチップで「圧迫感が無くてジャストフィットで密閉抜群」などというものは存在しません。耳の穴の形状は人によりけりで、その穴を圧迫感無く密閉することは不可能でしょう。
「着脱しやすくて圧迫感も無い」という時点で「一定の『抜け』が発生している」と考える方が妥当です。
繰り返しになりますがVR3000は、イヤーチップを密閉性の高いものに変えるだけで、高域の耳障りなシャリシャリ音が軽減、場合によっては認識できないレベルまで下がります。
反面、密閉性を上げるとクリアさ軽減し音がこもりがちになり、音が全体的に柔らかくなることが多いです。
上記を少しでも緩和したい場合には、イコライザの設定などで音質を調整すると良いでしょう。
他の方の感想では「この人の感想は密閉度低そうなときの音の事を言っているな……」や、イヤーチップを密閉性が高いものに変えた上で「フラットっぽく、高域は割れずに伸びない」という感想をしている人もいます。
どちらが正解という訳でもなく「どちらも正解」です。イヤホンのこういった性質はVR3000に限った事では無いのですが、今回はこのフィット感の差が高域の聴こえ方に重大な要素となっているために言及しました。
イヤホンによっては「多少音の抜けがあった方がクリアさが増し、低域も引き締まって良い」という場合や「完全に密閉されていた方が、高解像度の繊細な音を忠実に聞き取れる」場合など様々です。
『どれが一番正しい』という答えは存在しないものとして、自分に合った装着感やイヤーチップを突き詰めていくことをおすすめします。
リズムゲーム(音ゲー)との相性は比較的良い
ベストとまでは言えませんが「予想していたよりは良いかな?」という印象です。
音楽鑑賞用途と同様、曲の種類によって相性にムラは存在します。しかし、リズムゲームの楽曲のほとんどは、「リズムを取って曲に合わせて押す」というゲームの性質上、「打鍵感やリズム、旋律がわかりやすい」ものになっています。
上記の理由から、音情報が過剰になりすぎてメリハリが無くなるということが起こりにくいです。また、VR3000は高域以外の表現力は豊かなため、高域以外の音をしっかりと楽しむことは可能です。
ただ、高域が強い曲では、標準のイヤーチップではどうしても音割れが耳につきます。高域の割れを何とかしたい場合には、上記で触れたように別途密閉性の高いイヤーチップを使ってみるのも良いでしょう。
あとは中域が全体的に若干強めですが、極端なチューニングでも無いので過剰には気にならないと思います。
PS5でのApexLegendsについて
PS5でApexLegendsを使って足音の聴こえ方などを検証しました。
コントローラ直挿し + 3Dオーディオ無し
VRやASMRだけでなく『ゲーミング』用途も謳っているだけあって、FPSでも快適な印象を受けました。足音の表現についても、特別な強調などは無いものの、しっかりと輪郭を感じる事ができるクリアな音質で、方向や距離の把握もしやすい印象です。
また、音楽鑑賞などで気になっていた高域の音割れについては、スナイパーライフルなどの甲高い音でも音割れなく自然で聞き取りやすい音質でした。
コントローラ直挿し + 3Dオーディオ有り
ASMRへの適正が活かされているためか、音響効果特有の違和感も非常に少ないです。
元々フラット気味なチューニングのため、足音をピンポイントで知るタイプでは無いですが、音響効果に負けてぼやけすぎることも無く、前方後方や左右方向の判別についても自然な音から判断できます。
また、3Dオーディオ無しの場合に比べ、足音の可聴範囲ギリギリの距離での認識もしやすかったです。発砲音などの違和感も少なく、VR3000の評判が良い事についても納得ができるレベルだと思います。
MixAmpProTR + Dolby無し
純粋にコントローラ直挿しを更にクリアな音質にした印象があります。音源の品質が良いと、その分より良い音質を提供してくれるイヤホンだと再認識できました。
MixAmpProTR + Dolby有り
Dolbyの音響効果は3Dオーディオに比べて強めの加工が掛かるため、VR3000を使用した場合にも若干の『お風呂場感』を感じました。また、イコライザを使用していない場合には、Dolbyの効果が強いせいか「前方と後方は判断ができても、左右の定位が非常にわかりにくい」という結果でした。
ただ、イコライザを使ってFPS向けにチューニングをすれば、空間把握や前後左右の定位もわかりやすくなり好印象でした。MixAmpでDolbyを利用する場合には、必ずイコライザも活用しましょう。イコライザ設定込みでの使用は、音質のクリアさと定位の良さを兼ね備えていておすすめです。
Nintendo SwitchでのApexLegendsについて
どうしてもハードウェア面での差なのかPS5の各種接続方法に比べて若干フラットさが増したような印象があります。
足音の可聴範囲ギリギリの距離の場合においても「PS5のコントローラ直挿しよりわずかに聴きづらいかな?」と感じました。
ただ、PS5のコントローラ接続は実質無線接続のため、音質(音の品質)という意味ではNintendoSwitchに挿しているときの方が良く感じました。
ただ、上記の違いはハードウェアの違いによるものです。Nintendo SwitchでApexLegendsを使用する場合にも、自然な音表現と定位の良さは効果的に使用できていたのでおすすめです。
ゲームプレイ全般についての感想
『この価格帯でのゲーミングイヤホン』という観点で評価をしても、コストに見合った良い製品だと感じました。イヤホンにも関わらずヘッドセットに負けないような空間表現ができていると思います。
また、懸念していた高域の音割れについても、ゲームプレイ時には全く影響が無く快適にプレイができました。
final E500との比較
VR3000とE500の比較もしてみました。基本的には「VR3000はE500と同傾向の上位機種」と考えて問題ありません。
ASMRやゲーム用途で使用した場合、基本的な表現力はどちらも良いのですが、音質の全体的なクリアさや解像度の良さはVR3000が優秀です。
ただ、音楽鑑賞については使い方を適切にすればE500の方が安定している印象です。E500は、VR3000よりもかなり「当たり障りの無い」音質です。クリアさや解像度、低域の表現力が控えめなものの、高域の目立った割れもありません。E500は音全体として「高品質では無いものの無難に安定している」のですが、VR3000はE500に比べるとやや特徴的なチューニングがされていると感じました。
ただ、VR3000のイヤーチップを密閉度の高いものに変更した場合には、高域の割れが緩和されてE500の純粋な上位機種のような音を出してくれます。
最後に
高級な製品に比べて手ごろな価格帯でASMRを十分に堪能できる点や、FPS用途でも自然な音を活用した空間表現・定位の良さからもおすすめできる良い製品です。
特にASMR用途に関しては、「どんなイヤホンを買うと良いのか」が分かりにくいため、『ASMR向けに無難かつ高品質でコストパフォーマンス良し』という意味でも、おすすめです。
final E3000のレビュー記事はこちら▼
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