当サイトは、アフィリエイト・アドセンス広告を掲載しています。

【Huion PW550S レビュー】PW517との違いや使用感など評価しました!!

今回はHuion社の液タブ・板タブで使用可能な新型ペンである『PW550S』についてレビューします。

液タブでも板タブでも無く、あくまで『ペン』が軸となるレビューです。

PW550Sペンは最近単体売りが開始された新しいペンで、まだユーザー側で明確な情報がはっきりしていない製品でもあります。

今回は実際に使用し、複数機種で動作を確かめていこうと思います。

「気になってはいるけど、まだ手を出していない……」という方も多い製品だと思いますので、今回の内容が参考になれば幸いです。

開封

ということで、開封しつつ内容や外観などをざっくりと紹介していきます。

箱には『PenTech 3.0+』の記載もあります。

内容一覧はこんな感じです。替え芯は長細い封筒(画像左にある封筒)に入っているので注意しましょう▼

付属のピンセット。ペンの芯外しの付属品としては、この形状は珍しいですね▼

ペンの形状比較です。上がPW517(恐らく最新版)、下がPW550Sです。全体的に細くなっていることが一目でわかります▼

正面から。こう見ると全然違いますね▼

上画像でもわかる通り、PW517ペンはグリップ部分にホコリが付きやすいですが、今回のPW550Sはホコリが付着しにくいです。

重さは実測で12.5g。他社の『Wacom pro pen slim』より0.3gほど軽いです。目隠しされて持つとどちらか分からないレベル▼

Wacomのスリムペンとの形状比較です。上がWacom pro pen slim、下がPW550Sです。サイズ感はかなり似ています。ボタンの位置も比較的近め▼

先端の細さ加減も似ていると思います▼

やはりPW550Sペンは細い! ペン先見える! 軽い!、これに尽きます。

Wacom系で初めてスリムペンを使った時の感動をまた味わえました。

正直なところ内部性能が完全にPW517同等だったとしても、これだけで価値はあります。

メーカーHuion
価格8,999円
Amazon 2023年4月17日時点

まだまだ謎が多い『PW550S』ペン

デジタイザーペンという製品の性質上、詳細なカタログスペックによる過去製品との比較ができません(デジタイザーペン関連のカタログスペックは、基本的に実際の使用感の参考にならない)。

そもそも、公式ホームページの製品ページの『仕様』項目は完全に空白になっています。

ですので、今回の『PW550S』ペンを検証するにあたっては、

・公式上での説明文
・実際に使用してみた結果(PW517との比較など)

この上記2点で性能・使用感を感覚的に判断する必要があります。

『Huion PenTech 3.0+』って、そもそも何?

今回のPW550S』ペンは、『Huion PenTech 3.0+』対応だそうです。これはペンに使用されている技術の名称です。

ちなみにPW517は『Huion PenTech 3.0』に対応しています。

公式情報では『Huion PenTech 3.0+』の説明として『より高いレベルの筆圧感度』と表現しています。

これがもし文面通りで、その性能がハードウェア的な電子処理の改善により実現しているのであれば、果たして『3.0+』という控えめな表現になるのでしょうか?

正直『4.0』とか、既存液タブなどとの互換性を意識したい場合でも『3.1』とか、そういった表現にしても良い気がします。

しかし実際は『3.0+』という、かなり控えめな表現になっています。

この表記をそのまま読み解くと「基盤的な基本性能は3.0と一緒だけど、ちょっとだけ製品全体の仕様を弄ってるよ」程度の可能性が高いと思います。

公式情報では『Huion PenTech 3.0+』の具体的な説明に「ペン先が細いので、絵の把握がしやすい(※意訳)」という記載があるので、ペン自体の物理的な形状変化が『+』の要素なのでは? とも考えています。

とはいえ、公式の解説動画では他にも『より細いグリップ、より高い感知精度、より高い読取精度』という表現も存在します。

液タブにおける『読取精度』は、ペン座標位置の精度に相当します。

『感知精度』は『傾き』なのか『筆圧レベル精度』なのか『on加重(=最低筆圧の低さ)』なのかは、判断に迷いますね……。

そのため公式の各種解説や動画を見た感じでは『感知精度=on加重や、筆圧精度の向上』っぽい印象は受けます。つまりハードウェア処理的にも性能が向上している……?

……

……と、こんな感じで妄想しだすとキリが無いので、結局は『実際に使ってみて、使い心地が良ければそれで良し!』という判断が良いでしょう。

公式の説明分は言葉遊び程度に思っておいた方が気楽かもしれません。

この後実際の検証も行い、結果についても考察しています。

『PW550S』対応機種について

公式情報上は『PW550S』に対応している機種は以下となっています。

· Inspiroy 2 S · Inspiroy 2 M · Inspiroy 2 L · Kamvas 22 · Kamvas 22 Plus · Kamvas 24 · Kamvas 24 Plus · Kamvas Pro 13 (2.5K) · Kamvas Pro 16 (2.5K) · Kamvas Pro 16 (4K) · Kamvas Pro 16 (4K) Plus · Kamvas Pro 24 (4K) · Inspiroy Dial 2 · Inspiroy Keydial · Inspiroy Giano

一見整合性が無いようにも見えるラインナップですが、一応ペン座標精度が一定の精度に上がった機種以降』という明確な線引きがあるようにも見えます。

ただ、既に各所でも、「PW550S対応機種以外でも、PW517ペン対応の機種なら使用できた」という報告は上がっています

幸い私の手元には、『PW550S対応機種』、『PW550S対応機種一覧に無いPW517対応機種』の両方があるので、この件についても検証していきます。

今回検証に使用する機種は以下の通りです。

PW550S対応機種 · Kamvas Pro 13 (2.5K) PW550S対応機種一覧に無いPW517対応機種 · Kamvas 13 · Kamvas 16 · Kamvas Pro 24 (2.5K)

特にKamvas 13はPW517ペン対応の最初期機種のため、「この機種で問題無く使用可能なら、もうPW550SペンはPW517ペン対応機種で使って問題無いのでは?」という結論に至れます。

これらの機種に対する検証についても、これから考察していきます。

実際に使用してみる

ということで、さっそく『PW550S』を実際に使用してみました。

ここでは検証機として『Kamvas 13』『Kamvas 16(2021)』『Kamvas pro 13(2.5k)』を軸に使用していきます。これらの機種は『比較的所持者が多い』『PW517ペン系の初代機種と最上位機種』という点においても検証面で丁度良いです▼

幸いな事に、手元には『PW517ペン対応の中でも最も古い機種』である『Kamvas 13』と、液タブ系では『PW550Sペン対応の最新系の機種』になる『Kamvas pro 13 (2.5k)』を所持しているため、この2種類での動作確認を中心に行います。

『Kamvas 13 』での動作確認

まずはPW517ペンに対応している機種の中では最も古い『Kamvas 13』でPW550Sが動作するかをテストしました。

『Kamvas 13』は公式情報ではPW550Sに対応していない機種です。

ぶっちゃけ、この機種で正常に動作すれば「PW550SペンはPW517ペンに対応している機種であれば使用可能」と判断して良いでしょう。

ということで実際に使ってみました。

ひとまずポインティング精度は問題無さそう▼

サラサラーっと試し描きをした限りでも、公式対象外機種での使用でも問題無く筆圧制御も行われています▼

『Kamvas 13』にて、『PW550s』と比較用に『PW517』のそれぞれを使用した結果、こんな感じになりました(傾き検知による筆圧制御はOFFにしています)▼

『Kamvas 13』での使用のため、通常芯のみでの検証をしています。

旧機種にPW550Sペンを使用しても『描き味は極めて良好でした。心なしかペンの入り抜きの制御もしやすくなった印象です。ペンの傾きに対してのペン座標の処理精度についても差は確認できませんでした。

フェルト芯ももちろん使用可能ですが、AGフィルム上でフェルト芯を使用する場合には摩擦によるフィルムへの影響が懸念されます。そのため、フェルト芯の使用には注意しましょう。

Kamvas 16(2021)でも同様に使用可能です▼

『Kamvas pro 13 (2.5k)』での動作確認

続いて公式として対応機種に指定されている『Kamvas pro 13 (2.5k)』での動作検証をしていきます。

『PW517』と『PW550S』のペンに、それぞれ『通常芯』『フェルト芯』を使った際の描き味を簡単に試してみました(傾き検知による筆圧制御はOFFにしています)▼

『Kamvas 13』の時と同様に、上画像での試し描きは「大体同じぐらいの筆圧はこのぐらいかな?」という感覚で描いてみました。

通常芯・フェルト芯に関わらず、PW517よりもPW550Sの方が「心なしか同じ程度の力加減でも描画時の筆圧レベルが軽めになった……かな?」という印象です。

同様に『Kamvas 16(2021)』でも検証してみましたが、結果に変化はありませんでした。

PW517ペンに対応している機種であれば、PW550Sペンも使用可能」という認識で問題無さそうです。

仮に「厳密には公式対応機種で使用する場合のみ、厳密な挙動が異なる」だったとしても、実際に使用した限りでは実感できるほどの大きな差が生まれなかったので、PW517ペン対応の液タブで、細いペンを使いたい!」という方には、所持機種を問わず大変おススメなペンであることは間違いないです。

もう少し細かめに検証してみる

公式アプリ内の『圧力テスト』項目を使用し、2種類のペンへの筆圧の掛かり具合を確認してみました。

結果、試し描きで得られた感覚と同様(大きな差は無いが、微妙に差はある)な筆圧レベルの反応をしていました。

あまり強く力を掛けれないような持ち方(指二本で持っているだけ)であっても、PW550Sにおいても垂直に立てた状態であれば筆圧レベル8191まではさほど苦労無く到達します▼

そのため「PW517よりも劇的に筆圧感度が変わったよ!」などという事は無いです。PW550Sに対して過剰な期待を持ちすぎてしまうと、実際に使用したときに肩透かしを食らってしまうと思います。

ペンのポインティング精度も体感上は変わらず

『Kamvas pro 13 (2.5k)』にてPW550SペンとPW517ペンを使用し、物理的に物差しを使って1本10秒ほどの時間を掛けて複数の線を引いてみました▼

拡大するとこんな感じに▼

どちらのペンが優秀かという事も無い印象です。

少なくとも私は、上画像の線が全て同一色の場合に「どの線をどっちのペンが描いたのか」の見分けは付きません。

PW550Sペンによる明白な進化は無いといえますが、逆を言えば「現状でも不安要素が少ないPW517の精度を維持している」ともいえるでしょう。その為、この検証結果については特に不満もありません。

同じ液タブに対してペンを変えてるいるだけなので、極端に描画性能が変化することが無い事は想定内でしたので……。

とはいえ、もうちょっとまともに描いてみる

「PW550Sの実際の性能や使い心地は、大体体感出来たっぽいかな?」と思いつつも、もう少しちゃんと描いて比較してみようと思います。

ということで、今度は普段から使用している『Kamvas Pro 24(2.5K)』を使って実際に描いて使用感を比較してみました。

主な使用環境

  • OS : Windows 11
  • CPU : Intel Core i7-8700K(3.7GHz)
  • RAM : 32GB (DDR4-2666)
  • GPU : GeForce RTX 3060 12GB
  • 液晶タブレット: Kamvas Pro 24(2.5K)

正直なところ『使用感』と言っても、「どちらが優秀か!?」という感じでは無いです。

そもそもPW517ペンの時点で使い心地に大きな問題は無く、ここまでの検証でもPW550Sも問題無く使用可能であることも確認できているため「同じような力加減と感覚で描いたら、こんな感じになるよ?」という事と「PW550Sペンの物理的な構造の差が、実際に絵を描いているとこんな感じに違うよ」が判断できればなぁ……程度の気持ちで比較していきます。

ということで、まず最初に適当にラフ絵を既存のペン(PW517)で描きます▼

この下描きを基に、ペン設定を一定に保ったままPW517ペンとPW550Sペンのそれぞれで清書(っぽいもの)をしていきます。

まずはPW517ペンから……▼

……いつも通りですね。特別大きな不便は無い印象です。そもそも不便があったなら、ずっとPW517ペン機種を使い続けていないですからね。

PW517ペン自体にも世代があり、過去世代のPW517ペンはペン先がもう少し太くなっていました。その頃と比較をしても、現状のPW517 ペンはかなり使いやすくなったと思います。

余談ですが、一時期『Wacom cintiq 16』か『Huion kamvas 13』かのどちらを使い続けるか悩んで交互に使っていた時期があったのですが、「諸々(デバイスのサイズ感・色域・ペン性能)を総合的に比較した結果、『Huion kamvas 13』を使い続けることになったという」経緯があります。

Huion系の液タブは昔から『超高性能!』とまではいかないものの「必要十分」の性能ボーダーをしっかり超えている点が良いですね。

お次はPW550Sペン▼

PW517ペンの場合と比較をすると、明らかに手元周辺の視界が広がります

上のそれぞれの画像を比較すると一目瞭然です。

そういった視覚的な効果と手で持っている感覚の差の為か、完全な別製品を触っているような感覚になります。

カーソル周辺の視界確保を究極的に求めると板タブに行きつきますが、「液タブは使いたいけど、手元も可能な限り見えた方が良い」と感じる方は多いと思いますので、この点は使いやすいと感じる方も多い筈です。

左が『PW517ペン』、右が『PW550S』ペンで描いたらこんな感じになりました▼

今回はそれぞれ標準芯で、Clip studio paint上ではペン設定は全く同一のものを使用し、描く時も「特にいつも通りの力加減で、いつも通り描く」という方法で検証しています。

一度描ききった後には線の強弱表現を追加で行ったりはせず、描き切った直後の状態を比較しています。

描いている時には「あ~……コレ、ほぼ同じ結果になるんじゃないかなぁ……?」と思ったりしていましたが、実際描きあがりを比較してみると全体的に全く異なっていることがわかります。

過去に行っていた『PW517ペンにおける通常芯とフェルト芯との描き味の比較』に近いような結果になっています。

PW550Sペンの方が本体自体が全体的に軽量で細いためか、ペンを持って筆圧を掛ける際の力の掛かり方が若干控えめになっているように感じました。

また、芯自体の太さがPW517よりもPW550Sの方が細いため、筆圧が掛かった際の力の掛かり方が芯の柔軟性で若干マイルドになっている印象です。

特にペンを普段比較的寝かせ気味で使用している方は筆圧感度の差を感覚的に感じやすいと思います。そのため、鉛筆のような感覚で描きたい方にはおススメです。

反面、ペンを垂直に立て気味に使用している方は、PW517ペンを使用時との筆圧レベルの差を感じにくいかもしれません。

サイドキーの使い勝手も向上?

これは完全に感覚的な個人差が強いと思います。

今回のPW550Sについて「既存のPW517ペンよりも、ペンのサイドキーを間違って押してしまう可能性が少ない」と感じる方も居るようです。

個人的には「元のPW517ペンでもサイドキーの位置や構造に不満は無かったので違いがわからない」というのが本音なのですが、PW517ペンのサイドキーを間違って押してしまうことが結構ある」という方も、PW550Sペンの購入を検討してみると良いかもしれません。

また、既存のPW517ペンで不満が無かった方の場合でも、サイドキーの操作感について戸惑うことは無いでしょう。

【注意】既存の芯は使用不可

PW550Sペンでは、既存のPW517ペン用の芯が使用できません

現時点(2023年4月時点)では替え芯の個別売りがまだ行われていない点には注意が必要です。もっとも、今後の主力ペンの一つな筈なので、そのうち取り扱いが始まると思います。

あと余談ですが、芯の太さ的にWacomのPropen2用の芯は入るらしいですが、一度挿してしまうと抜けなくなるようなので試さない方が良いです。また、非公式のWacom用ステンレスペンも使用可能らしいですが、この辺の使用は完全に自己責任で行いましょう

まとめ:細いペンを求めている人にはおススメ!

PW550Sペンは、Huion製品を使用中の方で細いペンが欲しい」という方は迷わず買いです。

ハードウェア面での進化具合は正直なところ体感が難しい点もありますが、PW517ペン相当の性能で、ペンが細くなった!』というこの一点だけにおいてもHuion液タブユーザーにとっては存在価値が高いです。

「ペンのサイズはPW517ペンでも良いけど、より高性能なペンが欲しい」という方は「過剰な期待をしなければアリ」だと思います。「明らかな筆圧レベルの向上」というものは体感できるかどうかは個人差が大きいよう(人によっては「PW517にくらべて、PW550Sで筆圧レベルが大幅に向上した」と感じるらしい……)なので、『実際に使ってみてのお楽しみ』ぐらいの感覚で使用するのが良いと思います。

ただ、『既存のPW517ペンよりは全体的に筆圧の掛かり方が柔らかめで、細かな描きこみもし易い』と感じました。

Huion液タブユーザーなら、とりあえず一本持っておいて損は無いです!

公式販売サイトはこちら