【iOSアプリ開発】AppStoreConnectのデジタルサービス法対応について
こんにちは、ハッサンです。
今回はiPhoneやiPadアプリ開発者向けの内容になります。アプリ開発者向けのAppStoreConnectで表示されたデジタルサービス法について現時点で調べたことを備忘録としてまとめておきます。
※2024年5月7日 承認時の注意点など追記しました
目次
App Store Connectで表示されるアラート文
デジタルサービス法に基づいて、アカウントに関する情報を提供および確認しなければなりません。これを怠ると、特定の国または地域において、支払いに遅れが生じたり、コンテンツが配信から削除されたりする場合があります。
2024年3月14日頃から上記のアラート文がApp Store Connectで表示されるようになりました。
デジタルサービス法は『ヨーロッパ連合(EU)が提案している新しい法律です。この法律は、オンラインプラットフォームやデジタルサービスプロバイダーに対する規制を強化し、ユーザーの権利やデジタル空間の安全性を向上させることを目的としています。』とのことです。
要するにEU圏内で配信するには規制に従って以下の情報をAppStoreで公開しなさいとのことです。
法人
・電話番号
・メールアドレス
個人
・住所または私書箱
・電話番号
・メールアドレス
ただしデジタルサービス法はトレーダーに該当する場合において適用されるようです。
トレーダーとは
トレーダーの定義は、『私企業か公企業かを問わず、自己の商取引、事業、技術または職業に関連する目的のために、自己の名において、または代理人を通じて行動する自然人、または法人』だそうです。
上記を自分なりに解釈するとアプリ配信者のほぼ全てがトレーダーに該当するように思えます。該当しないのは金銭のやり取りが無く、何らかの情報も配信しない個人向けアプリのみ?な気がします。このあたりは法律の解釈になるので素人には難しいところです。
EUで配信しているかどうか
AppStoreConnectのアプリ配信でメイン言語を英語にしている場合は全世界に配信されるのでEUも対象になっているはずです。
メイン言語を日本語にしている場合は、もしかすると今回のアラート文はAppStoreConnectに表示されないのかもしれません。
EUで配信しない設定に変更した場合どうなるかは現時点では不明です。
情報公開はEU圏だけ?
『EU圏内の消費者に向けて AppStore のプロダクトページでそれら情報が公開されます。』との文言があるので、EU圏のみ公開されるようです。
個人的にはEU圏のみとはいえ住所や電話番号を公開することにものすごく抵抗があります。結局日本からでも何らかの方法を使って調べることは可能だろうし、海外のSNSでさらされたりとリスクはつきまといます。このあたりの考え方はアプリの規模にもよると思います。
デジタルサービス法の対応について
住所または私書箱
これが最もやっかいな項目だと思いますが、個人開発者は私書箱を選択するのが良いと思います。
私書箱とは『日本で一般的に使用される用語で、郵便局などで貸し出される個別の受け取り箱のことを指します。これは、特定の個人や法人が郵便物を受け取るための専用の箱であり、他の人が中身を見ることができないようになっています。』とのことです。
私書箱は郵便局で登録できますが条件が厳しいため、私設私書箱を使うのが良いと思います。私設私書箱は企業が行う有料の私書箱になります。
私設私書箱は個人であれば1ヶ月あたり1500〜3000円程度で借りられます。クラウド上で郵便物の開封やスキャンなどのサービスもあるので色々便利そうです。
他にもバーチャルオフィスという方法もありそうです。月額1000円程度で郵便物の受け取りや電話対応などしてくれる仮想のオフィスを借りれるようです。
いろいろ書きましたが、私設私書箱やバーチャルオフィスがAppStoreConnectで登録可能かはまだ不明です。お寄せいただいた情報からバーチャルオフィスでの登録も承認されたようです。
また、いづれの方法も犯罪目的で使用されないよう審査が必要な場合もあるようです。
電話番号
個人で使用しているスマホの番号ではなく新たに格安SIMで済ませるのが良いでしょう。1ヶ月あたり1000円程度で済みます。
もしバーチャルオフィスがAppStoreConnectで登録可能なら電話対応サービスを使用できるかもしれません。
メールアドレス
もともと開発者連絡用のメールアドレスで問題ないでしょう。
承認時の注意点
住所に関してはバーチャルオフィスで承認されたようです。お寄せいただいた情報によるとGMOオフィス、DMMバーチャルオフィスなどで可能だったとのことです。各オフィスにて証明書が発行されるので、それらをApple側に送信すれば良いようです。
電話番号の注意点としてトレーダー登録時に海外からのSMS認証コードが届かない可能性があることです。海外からのSMS拒否設定を無効にしても届かないケースがあるようです。ただ直電にて認証コードを聞く方法もあるのでそちらを試しても良いとのことです。直電は機械的に英語で音声コードが流れるので会話する必要はないです。ただし聞き逃す可能性があるのでスマホの音声レコーダーなどで録音することをおすすめします。
またトレーダー承認時に法律的に有効な本人確認書類を求められます。個人事業主であれば開業届の画像で問題ないようです。
バーチャルオフィス、格安SIM合わせて月額1000円以下(初期費用除く)に抑えることが可能なようです。もしEU圏での売上が1000円以上あるのであれば、EU圏で配信しても良いかもしれません。
ここで記載したことはApple側の個別審査があるため結果が異なる可能性もありますのでご注意ください。
最後に
本記事は個人的に調べたもので確証はありませんし、実際にAppStoreConnectで試していないので推測で書いています。
個人開発者でも私書箱や格安SIMなど使えばなるべく個人情報を公開せずに済みそうですが、どなたかお試しになった方はコメントしていただければ幸いです。他にも間違っている部分があるかと思いますのでコメントにてご指摘いただければ幸いです。
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